バイデン政権が抱える“2つの不安要素”~米大統領が施政方針演説
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年4月30日 11時35分
米上下両院合同会議で演説するバイデン大統領(中央)(アメリカ・ワシントン)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月30日放送)に中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が出演。現地4月28日に行われた米バイデン大統領の施政方針演説について解説した。
アメリカのバイデン大統領が施政方針演説
アメリカのバイデン大統領は現地4月28日、上下両院合同会議で施政方針演説に臨み、「21世紀を勝ち抜くために、中国や他の国々と競争している」と述べ、中国への対抗姿勢を鮮明にした。バイデン氏は「専制主義が未来を勝ち取ることはない」と批判し、アメリカが勝利すると強調した上で、「アメリカは再び動き出している」と国家再生を宣言している。
飯田)一般紙は、東京新聞をのぞいて各紙、このバイデン演説を1面で書いておりますが、野村さんはどうご覧になりましたか?
明確に打ち出した中国に対する政策~予想以上に進んでいるワクチン接種
野村)見出しがそれぞれ少し違っていますけれども、中国に対する政策がはっきりと打ち出されたことは、やはり注目点だと思います。さらに、バイデン大統領がここへ来て支持を受けているのは、「ワクチン接種が予想以上の回数を達成できた」ということです。これが追い風になっているのかなという感じはします。
飯田)「政権発足から100日ハネムーン」と俗に言われて、「ここはあまり批判せずに見守ろう」というようなところがありましたが、ここから先ですか?
民主党左派が議会提出した「最高裁の判事を9人から13人に増やす」という法案~バイデン大統領はどこまで抑え込めるか
野村)「この100日間はそれなりのスタートを切った」という評価だと思いますが、今後の政権運営については、厳しい目線も向けられています。1つは、左派の人たちへの対応です。民主党のなかにはバイデンさんたち中道路線の他に、いわゆる左派の人たちがいます。この左派の人たちは、大統領選挙でもかなり力を果たしたので、「私たちをもっと中心に据えろ」という強い声があるわけです。ここをバイデンさんは抑え込んではいるのですが、「我慢ならない」ということなのかも知れませんけれど、今回、議会に対して法案を提出しているのです。その左派の人たちが出した法案というのは、最高裁の判事の数をいまの9人から13人に増やそうという案なのです。
飯田)一気に4人増やそうと。
野村)いまは保守系の判事が3人多いという状態になっているので、ここで一気に4人増やして全員を左派系の人たちにすると、自分たちのいろいろな政策が通りやすくなるということで、相当の力を注ごうとしているわけです。ところが、これは民主党のなかからも批判がありますし、もちろん共和党は反対です。ある意味では、せっかく融和路線へ向かっているのに、分断の新しい火の粉を投げ込んでいるという状況なのです。「これをバイデンさんはどこまで抑え込めるのか」ということがアメリカでは注目されています。
飯田)アメリカ国内の妊娠中絶をめぐる問題や銃規制。これが最高裁マターになって来て、それが保守かリベラルかというところで、最高裁の判事の構成で変わって来るのですよね。
野村)変わって来ます。アメリカの大統領選挙は、ある意味では最高裁判事の取り合いのようなところもあるのです。
飯田)この最高裁判事だけは終身ですよね。
野村)そうなのです。だからいまは、任期をつくろうという意見もあって、「任期をつくって、いま終身になっている保守系の人を辞めさせろ」という過激な意見もあります。
飯田)それはただ、いきなりのルール変更はさすがにまずいだろうと。
野村)「新たに選ばれた人は」ということになると思うのですが、そのような議論のなかで、とにかく最高裁をひっくり返そうという強い動きがあるのです。
銃規制に踏み込まざるを得ないバイデン政権~ここからまた分断が起こる可能性も
野村)そしてもう1つは、銃の乱射事件が頻発しているので、バイデンさんは銃規制に踏み込まざるを得ない状況なのです。
飯田)28日の演説のなかでもその話が出ていましたね。
野村)しかし、銃規制はご案内の通り、共和党にとってはなかなか認めがたい部分がある。さらに憲法に書かれているという問題もあるので、そう簡単には行かない問題なのです。ただ、結局は融和路線で、どちらかというと共和党の中道の方々と比較的政策がすり寄って来ている状況のなかで、ここにまた分断のくさびが入るということになります。いま封じ込めている、トランプ政権下における分断の状況が吹き出して来る可能性があるのです。ここを見ると、決して「バイデンさんは安泰ではない」という感じがあります。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
米大統領選でトランプは復活するのか…イェール大名誉教授が教えるアメリカ人の本音とは
プレジデントオンライン / 2024年5月2日 9時15分
-
バイデン大統領、中絶権擁護訴え 厳格規制進むフロリダ州で演説
共同通信 / 2024年4月24日 9時50分
-
中絶規制でトランプ氏批判 副大統領「自由なくなる」
共同通信 / 2024年4月13日 10時3分
-
どれだけ自民党が嫌いでも、「無能な野党」しか選択肢がない…米政治学者が憂う「日本政治の機能不全」
プレジデントオンライン / 2024年4月13日 7時15分
-
アングル:米大統領のイスラエルへの警告、与野党から批判の声
ロイター / 2024年4月8日 14時5分
ランキング
-
1同僚女性遺体遺棄容疑の男、寝袋のようなものに入れて7〜8m下の沢に落としたか…女性はつきまとい被害を職場に訴え
読売新聞 / 2024年5月3日 21時25分
-
2《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン / 2024年5月3日 18時30分
-
3【速報】「脱炭素」実現に向け連携確認 日・ブラジル首脳会談
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月4日 0時49分
-
4自民党、パー券公開基準引き下げで調整へ
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月3日 22時53分
-
5「風呂キャンセル界隈」SNSで話題 うつ病当事者から困惑の声
毎日新聞 / 2024年5月3日 17時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください