介護事業所「あおいけあ」加藤忠相~施設と地域の人との交流によって生まれるもの
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年5月6日 8時10分
黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に株式会社「あおいけあ」代表取締役の加藤忠相が出演。介護施設のあり方について語った。
黒木)今週のゲストは株式会社「あおいけあ」代表取締役の加藤忠相さんです。敷地内に複数の施設があるということですが、まず壁を取り払ったそうですね?
加藤)いまは壁が物理的に全部ないです。
黒木)壁を取り払ったことによって、地域の方が近道として施設のなかを通るそうですね。
加藤)近くに小学校があるのですが、普通に通らなければいけない通学路は歩道がなくて、車がバンバン通る道なのです。ですので、私たちの施設のなかを通って、車の走らない住宅地を抜けて学校に行くのです。日大生やサラリーマンの方なども、ショートカットとして施設内を通ります。なかには、犬と一緒にグループホームに同居しているおばあちゃんがいるのですが、子どもが通ると、そのおばあちゃんに「この犬の名前は何て言うの?」などと聞いて、おばあちゃんもそれに答えてお話ししています。
黒木)そのようなオープンな空気にしているのも、地域に根差した介護を目指して行こうと考えたからですか?
加藤)最終的には、地域に出て行く方が正しいのですが、普段から知ってもらうということも大事だと思っています。建物によっては巻貝のような形になっていて、最終的には屋根に登れるようなものになっていたり、駄菓子店や食堂、カフェのある事業所があったり、アパートがついているものなどもあります。書道教室もありますね。
黒木)その施設内に地域の方が来て交流を持ち、地域資源にする。それが介護の成功なのですね。
加藤)わざとらしく「慰問に来てくれました」というようなものではなく、普段から何となく見ているというものの方がいいと思っています。学校でけん玉が流行っているときに子どもたちが駄菓子を買いに来て、おじいちゃんが「けん玉なら俺の方が上手いぞ」と、いきなりけん玉大会が始まったり。そのようなことの方が私は自然だと思います。子どもたちも常連の子は普通にいますし、スタッフもお母さんが多く、47人中5人が子どもや赤ちゃんを連れて出勤しています。その子たちの面倒を、地域の小学校の子どもたちが見てくれるということが普通に起こります。
黒木)とてもいい環境をつくられたのですね。
加藤)障害や老人福祉というのは、どうしても壁のなかから「認知症を理解して下さい」「障害を知って下さい」と声をあげるではないですか。それよりも、普段から見ている方がよほどわかると思います。地域の方たちも普通にご飯を食べに来ます。ご飯を食べながらおばあちゃんが茶碗を洗ったり、子どもの面倒を見ている姿を見て、何度も同じことを言いますが、「普通のおばあちゃんだな」と思ってみんな付き合っているのです。それを地域のなかで当たり前に知ってもらうことが重要だと思います。
黒木)いろいろなところから見学に来て、同じような施設をつくりたいと思われている方は多いのではないでしょうか?
加藤)そうですね、見学は多いです。毎週のように海外からも来ていますし、私自身も講演で日本国内、海外問わず年間120ヵ所以上を飛び回っています。
黒木)「介護とはこういうものだ」ということを多くの方に知っていただきたいものですね。
加藤)日本は最初に超少子高齢化に突入する国で、しかもかなり大きな規模で突入します。世界中の人が「日本はどうするのだろう」と思って見ています。そのときに、「やはり日本人は失敗したな」と思われるのではなくて、「日本人は乗り切ったね、すごいね」と言われるようなことを残したいではないですか。みんながこの先の日本で「どうしたら幸せに生きていられるのか」ということを、自分の仕事のなかで解決できるように考えて行きたいと思います。
加藤忠相(かとう・ただすけ)/「(株)あおいけあ」代表取締役
■1974年生まれ。東北福祉大学社会福祉学部社会教育学科卒業。
■大学卒業後、特別養護老人ホームに就職するも、介護現場の現実にショックを受け、25歳のときに神奈川県藤沢市で「株式会社あおいけあ」を設立。代表取締役。「グループホーム結(ゆい)」「デイサービスいどばた」の運営を開始。また2007年より小規模多機能型居宅介護「おたがいさん」を開始。
■「あおいけあ」ならではの地域を巻き込んだ独自のケア事業がメディアで紹介される他、2017年公開の映画『ケアニン~あなたでよかった~』のモデル事業所に。
■2019年2月には「アジア太平洋地域の高齢化に影響を与えている最も影響力のある指導者」に選ばれる。
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