亀田誠治~音楽プロデューサーとして最も気を付けていること
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年5月12日 8時10分
黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に音楽プロデューサー・ベーシストの亀田誠治が出演。音楽プロデューサーになった経緯、また、その仕事について語った。
黒木)今週のゲストは音楽プロデューサー・ベーシストの亀田誠治さんです。数多くのすばらしいアーティストの方々のプロデュース、アレンジを手がけていらっしゃいますけれども、略歴を拝見すると、ニューヨーク生まれなのですが、ベイビーのときに帰って来たからバイリンガルではないという。
亀田)プロフィールに「出身地ニューヨーク」とよく書かれているのですが、嘘ではなくて本当にニューヨーク生まれです。でも1歳で海外駐在員だった両親と日本に戻ってしまいました。英語はいまでも仕事で使いますが、大人になってから勉強しました。
黒木)それからピアノやベース、ギターをやられてバンドを組まれ、大学を卒業なさってからデモテープをいろいろなところに送ったけれどもダメだった。そのうちにあるところからお声がかかって、スタジオに行くようになったということですが。
亀田)学生時代からたくさんのデモテープを仲間とつくって応募しました。いろいろなオーディションやコンテストを受けて、大抵優勝するのです。ところが、声がかかるのはボーカルの人や、ギターの仲間、ドラムの仲間なのですね。曲をつくって、録音も全部のことを私がやっているのにもかかわらず、「亀ちゃんはスタジオに遊びに来なよ」なんて言われるのですよ。結局は自分がやっていることは下支えであって、下支えのプロフェッショナルになるためには、もっと修行を積まなければいけないと思うようになりました。そして仲間たちが出世して行くスタジオに顔を出して、仕事の様子を見てみたのです。すると、いま自分のやっていることの延長上にあるなということがわかったのです。
黒木)延長上に。
亀田)「これはここを磨いて行けばいいだけだ」ということがわかったのです。やがてスタジオに通っているうちに「曲を書いてみないか」と言われて、あるアイドルグループの曲を書いたら、それが当選して、「アレンジもなかなかいいからアレンジまでやってみようか」となったのです。当時はバブルの余韻もあって、音楽業界も若手にチャンスを与えようというおおらかなところがありました。そういうなかで、いくつかの現場で「アレンジだけではなく、全曲トータルで関わってよ」と言われてやって行くうちに、「これってプロデュースということ?」と思い始めたのです。ちょうどそのとき小室哲哉さんや小林武史さん、つんくさんなどのプロデューサーブームが始まっていたころでした。そのうちにだんだんそっちの方の歯車も回るようになりました。でも、自分が作品づくりに1から関わって、名実ともに音楽プロデューサーとしての成果を出せたのは、1999年~2000年にかけての椎名林檎さんのミリオンヒットだと思います。
黒木)亀田さんでも最初はそうだったということは、誰にも可能性がありますね。
亀田)最近、20代のすばらしい才能のアーティストに出会ったりすると、いい影響を受けますね。先日もYOASOBIのお二方と話をしていて思ったのですが、「自分が20歳のときにこんなことは言えなかったし、常に若い世代が前を行っているのだ」と。そこを一緒に併走したり、背中を押したり、ときには引っ張ったりするのが私たちの仕事なのではないかなと思います。いつもそこに気を付けています。
黒木)『十二単衣を着た悪魔』という映画の監督をやったのですが、そのなかでいちばん心に響いたのが、「若い人には負ければいい」ということです。「時代は動いて行くのだ」、「いつまでも同じ場所には立っていられない」と。「そういう気持ちこそが人間の品格というものだ」というセリフがあるのですが、まさにそれに惚れまして、それで映画にしたいと思いました。
亀田)本当にその通りだと思います。現場監督として、音楽プロデューサーとして、自分より優れている若い才能があれば、その人のよいところを見出してあげる、認めてあげるということは、ものをつくって行く上で大事なことだと思います。特にアーティストと向き合う立場の人は。
亀田誠治(かめだ・せいじ)/音楽プロデューサー・ベーシスト
■1964年生まれ。音楽プロデューサー・ベーシスト。
■椎名林檎、平井堅、スピッツ、GLAY、いきものがかり、JUJU、エレファントカシマシ、大原櫻子、石川さゆりなど数多くのアーティストのプロデュース、アレンジを手掛ける。
■2004年に椎名林檎らと東京事変を結成(2012年解散・2020年再生)。
■2005年より「ap bank fes」 にBank Bandのベーシストとして参加。
■2007年に第49回、2015年に第57回の日本レコード大賞で編曲賞を受賞。
■2019年にフリーイベント「日比谷音楽祭」の実行委員長を務め、10万人を動員。
<日比谷音楽祭>
■亀田誠治さんが実行委員長を務めるフリーライブイベント。入場・参加は無料。会場は日比谷公園、東京ミッドタウン日比谷。
■2019年に初開催。
■2020年は新型コロナウイルスの影響で現地での開催を中止。生配信を中心にアーティストのトークやリモートセッションなどが実施された。
■2021年は5月29日・30日に開催されることが決定。各ライブは無料で鑑賞可能。日比谷公園大音楽堂でのライブ鑑賞は抽選制チケット。またオンラインで生配信されることも決定。
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