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巨人・岡本和真をスターに育んだ「実の親」と「球界の親」

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年5月12日 17時25分

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【プロ野球巨人対ヤクルト】 お立ち台 カーネーションを手にフォトセッションに臨む巨人・岡本和真 = 東京ドーム 

話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、5月9日のヤクルト戦で、プロ初のサヨナラアーチを放った巨人の4番、岡本和真選手のエピソードを取り上げる。

【プロ野球巨人対ヤクルト】お立ち台 カーネーションを手にフォトセッションに臨む巨人・岡本和真=2021年5月9日 東京ドーム 写真提供:産経新聞社

5月9日、母の日。巨人の4番・岡本和真選手がヤクルト戦で大爆発を見せました。まずは2点を追いかける8回裏、7試合ぶりの一発となる6号ソロを放って1点差に迫ると、続く9回裏、1死一・二塁。ヤクルトのクローザー・石山泰稚投手のスライダーを踏み込んで逆方向へ。2打席連続となる一発は、無観客のライトスタンドに吸い込まれる逆転サヨナラスリーランとなったのです。

岡本選手にとって、サヨナラ打もサヨナラアーチもプロ入り初。そして「母の日のホームラン」は2018年に続いて2度目でした。

これまで、球団ごとに母の日イベントを実施することはありましたが、今年(2021年)は日本野球機構が初めて「NPBマザーズデー2021」として実施した特別な一戦。岡本選手も普段の赤いリストバンドを外してピンク色のリストバンドを着用して試合に臨み、その両手から飛び出した劇的一打。ヒーローインタビューでも、当然のように母への感謝が溢れていました。

『今まで大きなケガもしたことない。本当に丈夫な体に産んでくれて感謝しています』

~『スポニチアネックス』2021年5月10日配信記事 より

実の親へ成長した姿を届けた岡本選手。ただ、これほどのスター選手になるまでには、球界における「育ての親」とも言うべき存在も忘れるわけにはいきません。

1人は、高校時代の恩師、奈良・智辯学園高の小坂将商監督。全国から野球エリートが集まる強豪校のなかにあっても、岡本選手の打撃は入学直後から目を引くものがあったと、こんな言葉で振り返っています。

『右方向に大きな打球を打つのは天性のものがあった。打撃に関しては、フォームのバランスのことを言うくらいです。練習にしても1日700スイング、多いときには2000スイングをやるんですけど、ついてきましたしね』

~『日刊ゲンダイDIGITAL』2014年8月14日配信記事 より(小坂監督コメント)

類い稀な才能を矯正されることなく、膨大な練習量でさらに引き上げて行った岡本選手。4月27日のヤクルト戦で放った記念すべきプロ通算100号、そして、今回のプロ初のサヨナラ弾も、“天性”である右方向への本塁打でした。

もっとも、高校時代の打撃技術のまま、プロですんなりと結果が出るわけではありません。岡本選手も入団から3年目の2017年までは本塁打1本だけと苦しみました。そこで2017年オフ、意を決してある人物の元を尋ねます。稀代のホームランアーティスト、西武の“おかわり君”こと、中村剛也選手の自主トレに参加するようになったのです。

すると、「おかわり塾」を経た2018年からは3年連続でシーズン30本塁打以上を記録し、昨季(2020年)はついに本塁打王と打点王のタイトルを獲得。それでもなお、中村選手との自主トレは継続しています。

『「おかわり塾」入塾3年で本塁打王と打点王の2冠を獲得し、迎えた4年目は「高めの打ち方」に重点を置き、打撃論を吸収した』

~『日刊スポーツ』2020年12月25日配信記事 より

今季開幕直後、打撃不振に苦しんだ岡本選手でしたが、調子が上向き出したのは4月11日、レギュラー定着後では最も遅いシーズン56打席目での第1号を放ってから。このとき捉えたのは、まさに中村選手に伝授された高めの球でした。

また、岡本選手の成長を語る上では、守備力の向上も外せません。入団直後の守備の“拙さ”は巨人ファンでも頷いてくれるはず。高校時代の恩師も当時の守備について、こう振り返っています。

『股関節が硬いわけじゃないんですが、どうしても下半身のフットワークではなく、頭を落として打球を捕りにいく傾向があった』

~『日刊ゲンダイDIGITAL』2014年8月14日配信記事 より(小坂監督コメント)

それがいまや、球界を代表する三塁手へと成長。今年のキャンプを視察した侍ジャパンの稲葉篤紀監督に、巨人・原辰徳監督は岡本選手をこんな言葉で推薦したと言います。

『和真はすごく守備力も、バッティングにおいても上がってますということは伝えました』

~『スポーツ報知』2021年2月10日配信記事 より(原監督コメント)

この守備力向上を支えてくれたのは、かつての井端弘和内野守備走塁コーチであり、そして今季から1軍コーチに昇格した“元”名三塁手、ゴールデングラブ賞3度受賞の村田修一野手総合コーチの存在です。

今年の春季キャンプではその“憧れの師匠”から直接ノックを受け、身振り手振りを交えながら指導された岡本選手。それだけに、今季の目標に「ゴールデングラブ賞(=GG)獲得」を堂々と宣言するまでになっています。

『参拝した青島神社の絵馬には「“日本一”、“GGとる”」と記し、初の守備タイトルを狙う岡本。「確率的に守備(率)は、全員、10割を目指せる可能性があると思っている。リズムをつくっていけるし、ピッチャーの方も安心して投げられると思う」』

~『スポーツ報知』2021年2月2日配信記事 より

今回の母の日の一戦でも、かつて苦手としたフットワークにまつわるこんなエピソードがありました。

『巨人・岡本和は、母の日仕様でピンク色のスパイクを着用。チームメートからは「“足、動いているように見えるよ”と言われました」。普段以上?に軽快な動きに映ったようです』

~『スポニチアネックス』2021年5月10日配信記事 より

それは目の錯覚ばかりではなく、地道な守備練習で鍛えて来た成果でもあるのです。

もちろん、岡本選手を指導し、支えて来てくれた人物は他にもいます。大事なことは、こうした多様な「声」や「意見」を聞き入れる耳と姿勢を持っていること。そして、何でも取り入れようとして混乱するのではなく、自分で取捨選択できる賢さと柔軟な思考力がある、ということです。

岡本選手が大活躍した9日、巨人の大黒柱である坂本勇人選手が骨折してしまい、登録抹消。いまこそ岡本選手には、自分自身に向けていた柔軟な思考力をチーム全体に向けることが求められています。

開幕直後の打撃低迷が嘘のようにヒットも本塁打数も増え始め、打点はリーグ1位に躍り出た岡本選手。ピンクのリストバンドやスパイクがなくとも、その一挙手一投足からますます目が離せません。

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