川村康一、31年ぶりにアルバム発売「作らなければずっと後悔する」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年5月12日 17時20分
それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
日本の「シティポップ」が世界で注目を集めている……そんな話をよく耳にします。松原みきさんの「真夜中のドア」や、竹内まりやさんの「プラスティック・ラブ」など、洗練された都会的なサウンドが、日本の若い世代にも新鮮に響いているようです。
そんななか、31年ぶりにサードアルバムをリリースした、シティポップのアーティストがいます。川村康一さん、東京生まれの57歳。音楽との出会いは小学6年生のときで、同級生からこう言われたのだそうです。
「音楽の先生に聞いたんだ、君が学年でいちばん歌がうまいって。今度バンドを結成するから、ボーカルをやってくれない? ただし、この歌を歌えたらの話だけれど……」
渡されたレコードは、ビートルズの「オール・マイ・ラヴィング」でした。川村さんは、歌謡曲しか知らないピンク・レディー世代。借りたレコードを何度も聴いて、歌の意味もわからずに耳で覚えました。
数日後、同級生の家でオーディションがあり、覚えたばかりの「オール・マイ・ラヴィング」を歌って合格。4人組のバンドが誕生します。
「小学生なのに、僕たちはプロを目指していたんです。中学に進むとオリジナル曲をつくっていました。高校では、8人組のロックバンド『MOZANBEEK(モザンビーク)』を結成して、ライブハウスで歌ったり、大学の学園祭にも呼ばれていましたね」
当時、プロへの登竜門と言われた「NHK ヤングミュージックフェスティバル」に出場し、銀賞受賞。ゲストの佐野元春さんから高い評価を得ますが、優勝を逃したことでバンドは解散してしまいます。
その後、「川村康一 with Sunrise Party」を結成して、精力的にライブ活動を実施。レコード会社に送ったデモテープがきっかけで、1989年にBMGビクターからメジャーデビューを果たします。
25歳のとき、川村康一さんは「キティアーティスト」に所属します。このプロダクションには、井上陽水、バービーボーイズ、安全地帯、久保田利伸、来生たかお、RCサクセションも一時所属していました。
デビューアルバム『HAVE A GOOD-TIME』は、爽やかな歌声と都会的なサウンドから、11曲中6曲がタイアップ曲となり、自動車や清涼飲料水、電話会社、プレジャーボートのCMに起用されました。
翌年、セカンドアルバムをハワイでレコーディング。ハワイを代表するサーフミュージックの「カラパナ」が参加。このアルバムからも5曲がCMのタイアップ曲に決まり、高い評価を得ます。
そしてサードアルバムは、ロサンゼルスでのレコーディングが決定。プロデューサーは、マドンナやデヴィッド・ボウイなどを手がけたナイル・ロジャースに決まり、まさに時流に乗ってブレイク寸前……。ところが、あのバブル崩壊が起きてしまいます。
経営不振に陥った所属プロダクションは、分裂状態に。実績のあるアーティストは他のプロダクションに移籍しますが、若手の川村さんには移籍先が見つからず、しばらく自力でライブ活動を続けます。バブルの象徴的音楽だった「シティポップ」も下火に……。そして、サードアルバムも幻に終わります。
このまま音楽業界では食べて行けない……。川村さんは、学生時代にデザインを学んでいたので、アートディレクターの道に進みます。
「会社員になって、気持ちは“引退”でしたね。でも、僕のバックバンドのミュージシャンたちが、矢沢永吉さんや西野カナさん、EXILEなどで活躍していて交流もあったんです。いつも話題になるのが、幻に終わったサードアルバムのこと。サードアルバムはアーティストにとって特別な1枚なんです。これをつくらない限り、ずっと後悔するだろうと思っていましたね」
そんなとき、新型コロナウイルスの影響で、ミュージシャン仲間の時間が空いてアルバム制作の話が持ち上がります。川村さんは伊豆にあるスタジオを借りて、3日間の合宿を行い、31年ぶりのサードアルバム『MY PRIMARY COLORS』を完成させました。
「いまはサンプリングマシーンで、自宅にいながらアルバムがつくれる時代です。けれどシティポップは音に厚みがあり、オーディオやカーステレオで聴いてこそ真価が問われるので、スタジオ収録にこだわりました。僕のサウンドが夏の風に乗って、みんなの心に届いてくれたら嬉しいですね!」
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ぴいぴる 歌手・当山ひとみ 歌い続けてきた今だから伝えられるソウル オリジナルにこだわり…進化し続けるのが〝ペニー〟の存在意義
zakzak by夕刊フジ / 2024年9月6日 11時0分
-
ZEDD『Telos』全曲解説 ミューズらと異種交配コラボ、EDMを超越した新たな到達点
Rolling Stone Japan / 2024年9月2日 18時5分
-
シカゴが語るブラス・ロックの真髄、ジミヘンやマイルスとの交流、日本への特別な想い
Rolling Stone Japan / 2024年9月2日 17時40分
-
アーティストデビュー10周年の新作!田所あずさ、ミニアルバム『Ivory』リリース記念インタビュー
アニメ!アニメ! / 2024年8月28日 18時30分
-
チャーリー・ブリスは「永遠」 現代最高のパワーポップ・バンドが青春物語を歌い続ける理由
Rolling Stone Japan / 2024年8月22日 17時30分
ランキング
-
1「実は人種差別が1番酷い国」とは? 人気YouTuberが明かすリアルな体験「日本のネットは本当に酷い」
オールアバウト / 2024年9月17日 20時25分
-
2超一流パティシエも"満場一致"の大絶賛。「完璧」「これは本物」ローソンで食べるべき絶品スイーツとは。
東京バーゲンマニア / 2024年9月17日 18時46分
-
3「PayPay」を安全・おトクに使いたい! やっておきたい設定は何? 【不正利用を防ぐ】
オールアバウト / 2024年9月17日 20時15分
-
4「カレーをそのままゴミに出すな」ゴミ収集車が大変なことに!? “清掃芸人”が実体験から注意喚起「これはしんどい」
乗りものニュース / 2024年9月17日 18時12分
-
5ワークマン「エックスシェルター断熱防水防寒ジャケット」はマイナス20度でも寒さを感じない“着る断熱材”アウター 予約販売分はすでに完売
Fav-Log by ITmedia / 2024年9月16日 18時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください