河野大臣の「デジタル社会はぬくもりである」という表現の意図~9月にデジタル庁発足
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年5月13日 17時30分
グループインタビューに臨む河野太郎行政改革担当相=1日午後、東京・永田町
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月13日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。9月1日に発足される「デジタル庁」について解説した。
デジタル庁9月に発足~行政オンライン化推進へ
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5月12日、参議院本会議で「デジタル改革関連法」が採決され、自民・公明両党などの賛成多数で可決、成立した。デジタル庁は9月1日に発足となる。
飯田)関連する6つの法案が成立したということであります。
鈴木)菅政権の「一丁目一番地」と言ってもいいかも知れません。去年(2020年)の9月に政権ができて、5月に成立でしょう。やればできますね。本当に改革をやろうと、成立させようと思ったら、本気でやればできるということです。
飯田)早かったですね。
鈴木)特措法のときも思いました。
飯田)新型コロナの。
鈴木)菅さんは「コロナが落ち着いてからやる」と言っていたのが、去年の12月くらいに感染者数が増えて、「これは特措法を打ち出さなければいけない」となったら、通常国会が始まって、1ヵ月も経たないくらいでできました。
「個人情報に介入して来るのではないか」という怖さを持つ国民も
鈴木)デジタル庁の中身なのですが、いろいろありますけれど、「何が目的なのか」というところだと思います。デジタルというと、私たちのような歳をとっている人間は、個人情報の部分などが気になるわけです。この辺りが審議のなかで、立憲民主党から「取り扱いをもう少しきちんとするべきではないか」という修正案が出たけれども、そういうものは反映されていません。「強い権力を持って、個人情報に介入して来るのではないか」という怖さはあります。これは首相の権限のようになって来ますけれども、デジタル庁を運営する人間自身が、その意識をしっかり持って欲しいと思います。
少子高齢化のなかで「デジタル社会はぬくもりである」
鈴木)「デジタル庁は何のために」ということをもっと説明して欲しいと思います。以前に取材させていただいたとき、河野大臣が非常にわかりやすくデジタル社会のことを説明してくれました。菅さんからは、用意された文章での説明だけしかありませんが、河野さんは違う表現をするのです。デジタルというと無機質で、何となく冷たい感じがしますが、河野さんは「デジタル社会は実はぬくもりだ」と言うわけです。
飯田)ぬくもり。
鈴木)少子高齢化のなかで、いままでは当たり前に人がやっていた仕事も、人手が足りなくなり、人の仕事がなくなって行く。そこにデジタル社会があるのだと。AIなどを使って、いままで人がやっていたところをやるのだと。そこで人手が稼げるではないかということです。
飯田)そうですね。
鈴木)AIなどによって稼げた人手を、本当に心を持ってやらなければならない仕事に回すことができる。少子高齢化のなかで、うまくデジタル社会になることによって、本当にぬくもりのある仕事を、ぬくもりのある人がやり、ぬくもりのある社会ができるのではないかと。「少子高齢化対策とぬくもりなのだ」ということを言っていました。私は「そういう考え方はあるな」と納得しました。
飯田)いまだと、事務作業に忙殺されて子どもの面倒をみられなくなっている学校の先生などが助かるかも知れないと。
鈴木)そういうことなのです。「少子高齢化で人口が減って行くなかで、デジタル社会はそこを助けるためにあるのではないか」という説明をしていて、私は非常にうまいと思いました。菅さんにそういうことを言って欲しいのです。
飯田)デジタル化、AI、その先というと、「仕事がAIに奪われるのではないか」と諸外国では言う人もいます。
鈴木)逆なのです。
政府は「デジタル社会の理念」を説明するべき
鈴木)デジタル庁を一生懸命やったことについて、「縦割り行政を打ち破る」ということがありました。これまで、各役所がそれぞれ違うフォーマットを使っていて、データが横で連携できない。だから遅れてしまう。いまもあるではないですか。ワクチンは厚労省がメインでやっているけれど、運搬は国交省で、冷凍庫は経産省。仕事のリレーションは総務省がやって、小学校の体育館を使うときは文科省がやってと。でも、横串ですぐデータを共有できることによって、1発でそこが調整できるのです。そうした縦割りを壊すということもあるのだけれど、政府にはデジタル社会の理念のようなものを説明して欲しいと思います。
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