「ヘアドネーション」はなぜ必要なのか~その先にある社会のあるべき姿
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年5月28日 8時10分
黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)にNPO法人「JHD&C(ジャーダック)」代表理事の渡辺貴一が出演。ヘアドネーションの先にある問題について語った。
黒木)今週のゲストはNPO法人「JHD&C」代表理事の渡辺貴一さんです。ヘアドネーションが認知されて来たいまだからこそ、その先の問題点をみんなに意識して欲しいという思いがあるそうですね。
渡辺)全体の寄付の4割が10代からだということを申し上げたのですが、そこに希望があるなと思っています。ウィッグを受け取る人も18歳以下です。同じ年代の人たちがヘアドネーションに関心を持って、寄付をいただいているのです。そこから明るい兆しを感じ取っています。
黒木)病気のことを知って、「ウィッグをつけなければならない同世代の人がいる」ということを子どもたちが知るわけですよね。
渡辺)はい。
黒木)知ったあとに、「ウィッグがなくてもいい社会にしなければいけない」と子どもたちが気付いてくれることが、次世代のいい社会につながる、そういう願いも込められているのですよね。
渡辺)ここ2~3年で、男性の寄付も100倍くらい増えています。
黒木)海外からも。
渡辺)海外からもあります。「髪は女の命」というような価値観があるからこそ、脱毛の人は苦しんでいることもあるのです。「女にも権利が欲しい」と言うウィッグユーザーの方がいまして、そう言われれば「ハッ」と、「そうだよね」と思います。50代~60代の男性で髪がない方たちは、誰からも後ろ指を指されるわけではないのに、髪がない女性が歩いていれば、やはり目立ってしまうと思います。無意識の障害を持っているのは、むしろ私たちの方ではなかろうかと感じるのです。世の中には、そういうものがたくさん散りばめられています。「男らしさ」とか「女らしさ」とか。私たちが当たり前に、空気のように思っているようなことが「特定の人を傷つけているな」と、この活動に携わって気付かされました。
黒木)この活動で気付かれたのですね。
渡辺)「女性らしさ」という概念が傷つけていることもあるのです。だから、自分を守るためにウィッグが必要になるのです。こういう人たちが少しでも生きやすくなるためには、どうしたらいいのだろうか、どのような社会であるべきなのかということを意識するようになりました。
黒木)やはり、知らなければいけませんよね。
渡辺)どうしても意識せざるを得ないのです。
黒木)6月出版予定のヘアドネーションの本『31cm』。寄付していい気持ちになるだけではない、「その先に何があるのか」ということを考えさせられる本です。ぜひ手に取ってみていただきたいと、私も切に思います。
渡辺貴一(わたなべ・きいち)/NPO法人「JHD&C(ジャーダック)」代表理事
■NPO法人「JHD&C(ジャーダック)」代表理事。
※特定非営利活動法人「Japan Hair Donation & Charity」
■1971年、宮崎県生まれ。
■日本初のカラーリスト(ヘアカラーのスペシャリスト)として、1996年から活動開始。
■2008年、THE SALON(現・KNOW HAIR STUDIO)を設立。
■2009年、NPO法人「Japan Hair Donation & Charity(ジャーダック)」を設立。脱毛症やがんの治療などで「頭髪に悩む子どもたち」のために、ヘアドネーションによる献髪のみでつくったメディカル・ウィッグを無償提供。
<ヘアドネーション>
■寄付された髪の毛から作ったウィッグを、 脱毛症や乏毛症、小児がんの治療など、何らかの事情で髪に悩みを抱える子どもたちに提供する活動のこと。ジャーダックでは、寄付できる髪の毛の長さを「31センチ以上」と規定。
<NPO法人「JHD&C(ジャーダック)」>
■2009年に2人の美容師が設立。
■寄付された髪だけでつくったメディカル・ウィッグを、髪に悩みを持つ18歳以下の子どもたちに無償で提供する「ヘアドネーション」の活動を日本で初めて開始したNPO法人。
■初の監修本『31cm』が2021年6月に発売予定。
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