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和食の名店「賛否両論」店主が語る、家庭料理で“やらなくてもいいこと”

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年5月31日 11時30分

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和食の名店「賛否両論」の店主・笠原将弘さんが、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)に出演。コロナ禍での店の状況を伺いつつ、家庭料理に関するアドバイス、料理がもっと簡単になるヒント、火を使わないあえるだけの簡単レシピを聞いた。

東京・恵比寿に本店を構え“予約の取りづらい店”として名を馳せる日本料理店「賛否両論」。笠原さんはその独創的な感性と卓越した料理センスで、今もっとも注目されている料理人のひとりとして、雑誌やテレビなどで活躍するほか著書を多数出版している。

■やらなくていいこと

上柳:料理で、“やらなくていいのにやっていること”があるそうですね?

笠原:僕がいつも思うのは、ごぼうや、れんこんを酢水にさらす工程ですが、あれは、白く仕上げたい料理の時はそうした方がいいんです。酢は漂白作用があるので。

上柳:あれは色合いの為だったんですか?

笠原:そうです。ごぼう、れんこんは酸素に触れると黒ずむので。でも別に、すごいアクがあって苦くて食べられないとかではなく、色なんですよ。

上柳:ほう。

笠原:例えば、おせち料理に入れる「酢れんこん」は白い方がきれいですよね。そういう時は酢水にさらしますけど、れんこんのきんぴら、ごぼうのきんぴらでは、茶色くするのに何で白くする必要があるんだ? と。

上柳:それはそうですね。酢が勿体ないですよね(笑)

笠原:すぐに調理するなら、水にさらさなくてもいいんじゃないかなと僕は思っていて。

上柳:えっ、あくを抜かなくていいんですか?

笠原:あれ、ごぼうのポリフェノールなんですよ。

上柳:えっ、ポリフェノール!?

笠原:ポリフェノールが酸化して黒くなるだけだから、ぜんぜん悪いものじゃないんですよ。なので、きんぴらごぼうを作るとき、水にさらさずに作ると、ごぼうの味がすごく濃く感じられておいしいですよ。何となくやらなきゃいけないって思いこんで、頭でっかちになっているんじゃないかな、って思います。

■分量をきちんと測るのは、お菓子作りくらい

笠原:最近のレシピ本は丁寧に書いてありますが、みなさん、料理を難しく考えすぎ、怖がりすぎなんじゃないかな? って感じます。本当にきちんと測らなきゃいけないのは、お菓子作りの時だけでいいと思います。

上柳:お菓子はきちっとやらなきゃいけない、っていいますよね。

笠原:お菓子は、化学反応を使って膨らませたり固めたりしますから、お菓子作りの時だけは、僕も大さじとか測りを使います。でも、煮物なんかはね、何となくでいいんじゃないかなと。

上柳:ちょっと味が濃かったなと思えば、次回は薄くするとか。

笠原:味が濃かったら水を足せばいいんです。例えば、お酒小さじ1なんて、入れ忘れても分かんないですよ、正直なところ(笑)

上柳:そうなんですか?(笑)

笠原:僕は「酒小さじ1なら、入れなくていいかな」と思って省いちゃいますよ。

■自宅での「だし」の取り方

笠原:みなさん、「日本料理はだし」と言いますし、私もお店では毎日、きちんとした一番だしを引きます。かつお、昆布の一番いいところだけを水に引き出すって考え方なんですが、これは会席料理とかで出てくる上品なお椀のときだけでいいんです。でも、「レシピ本に書いてあるから」と言って、家でもその通りにやんなきゃいけないと、昆布を沸く前に引き出したり、鰹をこす時には絞っちゃいけないとか、きちんと守っていて。

上柳:はい。

笠原:家で味噌汁とかを作るなら、かつおなんて、ぎゅうぎゅう絞っていいし、昆布なんか、ちょっと煮出しちゃった方がおいしいですよ!

上柳:いいんですか? 確かに、贅沢な使い方をするなぁとは思っていましたが、上品なものだからそういうものなのかと。

笠原:味噌汁みたいに、味の強い調味料(味噌)を入れるんだったら、絶対にその方がおいしいですよ。

上柳:お店「賛否両論」では毎日、だしをどんな感じで作っていらっしゃるんですか?

笠原:うちは北海道の真昆布を使いまして、昆布は60度~70度が一番おいしいうま味が出る温度帯と言われているので、温度計で測って、60~70度をキープし、2~3時間。で、昆布のうま味を最高に引き出したところに、血合い抜きの本節の鰹節を結構贅沢な量を入れます。ただ、これを家庭で毎日やっていたら破綻します。

上柳:でも、お店はそれを毎日毎日やっているんですね。

笠原:それはプロの料理人さんはみんなやっています。家庭でなら、忙しければ顆粒だしを使ったり、アサリなんて、煮れば勝手にだしが出てきますからね。骨付きのお肉も十分うま味が出ますから、だしを取る必要がないと思います。

上柳:メリハリ、ですかね?

笠原:そうですね、毎日毎日ちゃんとしていたら疲れますから。

■最高においしい、食材の組み合わせ

笠原:日本料理では「出会いもの」という言葉を普通に使うんですが、同じ時期に旬を迎えて、一緒に組み合わせると「何でこんなにおいしいんだ!?」という、海と山の組み合わせみたいな食材のことを「出会いもの」と言います。

上柳:例えばどんな組み合わせがあるんでしょうか?

笠原:春の定番だと、「タケノコ」と「ワカメ」。「若竹煮」という素晴らしいお料理もありますし、ほんとうに誰が考えたのか、おいしいなと思います。

上柳:ああ、よく考えたらものすごく離れているものなのに、誰が考えたんでしょうね!

笠原:日本料理には、こういうものが季節ごとにいっぱいあるんですよ。夏には「茄子」と「ニシン」。秋になると「ハモ」と「松茸」とか最高ですよね、土瓶蒸しにしたりとか。冬になったら「ブリ」と「大根」。

上柳:具体的に、家庭でも簡単にできるような何かレシピはないでしょうか?

笠原:「鯛かぶら」という料理があるように、「鯛」と「かぶ」もおいしい組み合わせです。普通は鯛とかぶを煮るんですけど、鯛とかぶでサラダにしてみるとか。今、鯛の刺身はスーパーでもよく手に入るし、かぶは生でもおいしいですからね。そこに塩昆布を一緒に入れてあえると、和風のサラダになります。

上柳:笠原さんの著書『実は、一菜でいい。おいしいおかずが一品あれば、それで充分という提案』にも、その「鯛とかぶのサラダ」が紹介されていますね。

・かぶは皮を厚めにむいて、10等分のくし形切りにする。
・葉っぱは小口切りにする。それぞれに塩をふって揉み、5分置く。
・かぶは水気を軽く切る。
・葉は水気をしっかりしぼる。
・鯛は一口大のそぎ切りにする。
・これらを塩昆布で合わせる。

笠原:あえるだけで、火も使わないから簡単です。

上柳:そして、「残った皮はきんぴらに」と書いてありますね。

笠原:かぶの皮も捨てずに使ってくださいね。

料理教室を開催することもあり、そうしたときに「みんな、家庭料理を難しく考えすぎている」と感じることがよくあるという笠原さん。“おうち時間”が増えて料理をする機会も多くなり、ちょっと大変だな……と感じている人は、「この作業は何のためにやるんだろう?」と考えてみたり、「何となく」という気持ちで作ったりすると、負担が減り、料理ももっとおいしく仕上がるかもしれない。

和食の名店「賛否両論」の店主・笠原将弘さんと、上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHPから、いつでも聞くことが可能だ。

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