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剛力彩芽と学ぶSDGs コロナ禍にも通じる生物多様性の保全の現状

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年6月30日 18時30分

剛力彩芽と学ぶSDGs コロナ禍にも通じる生物多様性の保全の現状

女優・剛力彩芽が、生物多様性保全の現状、課題を学んだ。

『SDGs MAGAZINE』

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SDGs 目標15「陸の豊かさも守ろう」<前編>

持続可能な開発目標「SDGs(エスディージーズ)」を学べるニッポン放送の特別番組『SDGs MAGAZINE』。2021年5月1日に放送された第14回はSDGsのゴール15「陸の豊かさも守ろう」がテーマとなった。“ミスターSDGs”こと慶応大学大学院教授で同大学SFC研究所xSDG・ラボ代表を務める蟹江憲史氏がゲスト出演し、女優・剛力彩芽が生物多様性保全の現状、課題を聞いた。

SDGs17の目標の一覧

SDGsの17の目標をウエディングケーキの形で説明した「SDGsウエディングケーキモデル」の土台に位置付けられているのが“生物圏”の概念だ。“生物圏”にあたる4つの目標(6、13、14、15)の中から、今回は5月22日の「国際生物多様性の日」を迎えるに当たり、目標15「陸の豊かさも守ろう」にスポットが当てられた。

<陸の生態系の現状>

「国際生物多様性の日」とは、1992年5月22日に生物の多様性を守るための「生物多様性条約」が国連会議で採択されたことを受けて国連によって定められた記念日のこと。世界の人々に生物多様性の危機と、その保全を改めて認知してもらう国際デーに際し、剛力が基本的な知識や現状を蟹江教授に尋ねた。

剛力:今回のテーマは目標15なのですが。

蟹江:まず、よく見てほしいのは『陸の豊かさ“も”守ろう』になっていることです。

剛力:本当だ!

蟹江:その前の目標14が『海の豊かさを守ろう』になっていて、海を守るし、陸も守る、ということ。全部つながっているとわけですね。目標15が言っているのは陸上の生態系。森であるとか、木であるとかいろいろありますが、そうした陸の生態系を守ろうということです。

剛力:陸と言われると人が暮らす場所というイメージですが、具体的にどういったことが起こっているんでしょう。

蟹江:陸は植物であり、生き物がいっぱいいるところですよね。アマゾン熱帯雨林が毎年減ってしまっているとか、インドネシアの森林が伐採されてしまっているとか、ニュースでもよく見ると思うんです。まず、森林でいうと毎年1300万ヘクタール、つまり東京都の59から60個分くらいの森林が毎年なくなってしまっています。南米のアマゾン、インドネシアの森林、アフリカのジャングルなどが失われている。この話は貧困とも密接に関係があって、農業をするよりも木を切り倒してそれを売ってしまうとか、その木を植え直さないで切り続けてしまうとか、そういったことが行われているんです。

『SDGs MAGAZINE』

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ブラジルやペルーなど南米7カ国に広がるアマゾンは、日本の国土の約15倍に及ぶ550万平方キロメートルもの面積を誇り、それが失われている現状は、なかなか日本では実感しにくい部分でもある。ただ、地球上の酸素の2割を生み出しているといわれるほど、アマゾンは重要な役割を果たしており、生態系に及ぼす影響も計り知れない。

蟹江:世界最大の熱帯雨林であるアマゾンは『地球の肺』とも呼ばれているのですが、どんどん危険な状態になっています。これが失われると、温暖化にもつながっていき、大変な状況なんです。あとは、野生生物。年間4万種類の生物が絶滅していっている。生物って、その生き物を食べて生きている生き物もいて、全てが回っているんです。絶滅することで、生き物の循環自体がおかしくなってしまう面もあります。

生態系の保護は、新型コロナウイルスなど感染症のパンデミックとも関わりがあると、蟹江教授は説明する。

蟹江:人間がどんどん開発を進めていけば、人間と動物の距離が近づいていき、動物だけの感染症だったものが人間にも広がってしまいます。人間は移動する距離も多く、どんどん伝わってしまう。だから2000年以降、エボラ出血熱やSARS(重症急性呼吸器症候群)など、動物が持っていたものが人間に広がっていく感染症が、非常に増えているんです。それは、人間がどんどん自然を侵略していっている結果ですね。目標15は、そんなところにまで関係している。実は、今のコロナ禍にもつながっている非常に重要な目標でもあるんです。

剛力:そういった話もそうですし、人間って進化しているはずなのに、退化している気が最近、します。

蟹江:実は、SDGsに書いてあることなんて小学校で学ぶことばかり。『海の豊かさを守ろう』『陸の豊かさも守ろう』、自然を大事にしましょうって、常に言われることじゃないですか。それができなくなるっていうのは、確かに大人になるにつれて退化してしまっているといえるかもしれないですね。

剛力:せっかく技術などが発展しているのに、自然なものをどんどん破壊していってしまう……。

蟹江:そこを考えさせてくれるのが、この15番でもあるということですよね。

<陸の豊かさを守るためにできること>

剛力:私たちに何ができるのでしょう。

蟹江:例えば、森を守る『FSC認証』というマークがあるのですが、その認証されたものを買う、使うというのが一つの方法だと思います。ティッシュペーパーやトイレットペーパー、ノートにも認証紙というのがあるんです。

剛力:最近は洋服などのブランドでも、毛皮を無駄に使わない、絶対に使わないというところも出てきていますが、そういうものをすごく意識するようになりました。

蟹江:あとはリサイクルやリユースを意識することですね。最近、ファッション関係だとアップサイクル(本来捨てられるはずの廃棄物にデザインなど付加価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせること)というのもあって、リサイクル素材でプラスチックのペットボトルを服に代えていくとか、そういうものが出てきていますよね。

『SDGs MAGAZINE』

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剛力がディレクションを手掛けるブランド「STYLEVOICE for Ayame Goriki」でも、エコ素材の使用などを推進しており、蟹江教授は「素晴らしいことです。そういうことをリーダーの方々がやっていくと変わっていくと思うんです」と賛同。「あとは地産地消ですよね。最近、産地が書いてあったり、生産者の顔が写真で載っていたりする商品も増えていますが、物が遠くに運ばれるということは、それだけCO2の排出が多くなるということ。地産地消なら、そこの部分をカットできるのも大きいですよね。そして、地元も元気にします」と続けた。

また、蟹江教授自身もジャパンSDGsアクション推進協議会会長として、SDGsの実現に向けて一人一人がどのようにアクションを起こすべきかを議論する官民連携の大規模シンポジウム「ジャパンSDGsアクションフェスティバル」の開催を先導している。同イベントは今回「コロナ禍からの復興と行動」をテーマに掲げ、3月26、27日にオンラインで実施された。

蟹江:SDGsアクションフェスティバルは、毎年5月くらいにドイツで行われており、SDGs実現に向けていろいろな行動を起こしている人たちが集まって、フェスのように“出し物”をしていくイベントです。それがドイツを飛び出して、初めて日本にやってきた。国連も応援して、アジアでも同じようなイベントをやろうとなり、日本国内でも開催しました。これは、ある意味凄いことです。いろいろな活動を紹介したり、いろいろな人が集まったり。本当は、リアルの場で賑わいをつくりたかったのですが、今年はこういう状況なので、まずオンラインでということになりました。ただ、今後は実際にやっていこうというのも話をしているところです。

剛力:イベントの印象はいかがでしたか。

蟹江:若者がすごく元気で、いわゆるZ世代、学生さんの世代とか、もう少し下の世代も、いろいろな行動をとっていて、みんなでやろうという動きになっていっている。今回は、それを紹介するのがメインでしたけど、今後はそういう動きをつなげて、うねりにしていきたいなと思っています。

<日本での取り組み>

番組前半の最後には、歌手のMISIAさんが歌う「LIFE IN HARMONY」という曲が紹介された。これは2010年に生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋市で開催された際に、国連本部から名誉大使に任命されたMISIAさんが生物多様性をテーマに作詞し、世界的な音楽プロデューサーであるデイビッド・フォスター氏とコレボレーションして制作されたCOP10のオフィシャルソング。同会議では生物多様性の損失を止めるための効果的かつ緊急の行動として2020年までの実現を目指す20の個別目標「愛知目標」が策定された経緯がある。

蟹江:2010年に生物多様性の条約の会議が日本で行われ、その時にできた『愛知目標』は2020年をターゲットにしていたんですよ。

剛力:2020年……。もう過ぎています……。

蟹江:そのターゲットから持ってきているものが、実はSDGsの目標15には、たくさんあるんです。

ここで改めて確認すると、目標15の各ターゲットは以下の通りとなっている。

【目標15のターゲット】
<15.1 森や野原、川や湖の生態系を保全し、回復させよう>
2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。

<15.2 森林の劣化と減少を止め、豊かな森を未来に>
2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。

<15.3 砂漠化を食い止め、劣化した土地を回復させよう>
2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。

<15.4 めぐみゆたかな山の生態系を守ろう>
2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。

<15.5 多様な生物とその住処を保護し、絶滅の危機から救おう>
自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。

<15.6 生物の遺伝子がもたらす利益を、公平に分け合おう>
国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。

<15.7 密猟や違法取引を、そろそろ撲滅しよう>
保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。

<15.8 外来種の侵入を防ぎ、地域の生態系を守ろう>
2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。

<15.9 生物多様性と豊かな生態系を維持し、私たちの暮らしに役立てよう>
2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。

<15.a 生物多様性と生態系を守るための資金を、もっと調達しよう>
生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。

<15.b 開発途上国の森林を守るために、十分なインセンティブを>
保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。

<15.c 密猟や違法取引に手を染めずに生活できるようにサポートしよう>
持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。
2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。

—–

確かに「2020年までに」という文言が多く散見される。

『SDGs MAGAZINE』

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蟹江:残念ながら2020年までにこれは達成できていないんですね。世界的に。今、その次の目標を生物多様性国際会議で決めるところなので、それが決まると、この2020年までの目標というのも、新しい目標とリンクするようになるんじゃないかなと思います。

剛力:コロナが流行してしまったというのも、人が生態系のことを考えていかなきゃいけないきっかけの一つになりますね。

蟹江:それも含めて、今後考えていく課題だと思います。

これらの現状を踏まえ、このあと番組の後半では、目標15にまつわる動物園などの取り組みが紹介された。

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