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G7「法人税の最低税率15%以上で一致」の背景にあるもの

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年6月8日 17時35分

G7「法人税の最低税率15%以上で一致」の背景にあるもの

ロンドンで開幕した先進7カ国(G7)財務相会議(イギリス・ロンドン)

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月8日放送)に政策アナリストの石川和男が出演。G7の財務大臣会合で最低税率を15%以上とすることで一致した法人税率について解説した。

ロンドンで開幕した先進7カ国(G7)財務相会議(イギリス・ロンドン)=2021年6月4日 AFP=時事 写真提供:時事通信

法人税率15%以上

イギリスで開かれていた主要7ヵ国(G7)の財務大臣会合が6月5日に閉幕し、各国共通の法人税の最低税率を15%以上とすることで一致した。

飯田)この最低法人税率の話は、アメリカのイエレン財務長官が言い出したことですが。

「アメリカはこの分野で損をしている」と考えるとわかりやすい

石川)アメリカの人が言うということは、「アメリカはこの分野で損をしているから、何とかしたいと思っている」と考えると、わかりやすいと思います。

飯田)なるほど。

石川)法人税率の話は多くの方がご存知だと思いますけれども、企業がどこに立地して、本拠地をどこに置くかということです。法人税はそこで取られるわけです。

日本でも法人税を逃れるために海外に拠点を移す企業が少なくない

石川)私の周りでも、東京や大阪に事務所があったのが、いつのまにかいなくなっているところがある。そういう人たちからメールが来て、「いまどこにいるの?」と聞くと、マレーシアにいるとか、香港にいるなどと言う人が少なくありません。「そんな暑いところに行ってどうしたの」と聞くと、「税金が安いからだよね」と。

飯田)税金が安いから。

石川)すごく簡単。シンプルですよ。そのくらい日本の法人税は高い。アメリカもそうなのでしょうね。アメリカは日本よりも法人税が安いと言われていますが、いろいろな税金があって、企業にしてみれば、「稼いだ金を自分で使えず国に取られてしまう」ということです。そうすると取られない国に行きたくなるのは、世界共通の人情でしょう。

ルールをつくるとなると大きな壁や課題がある

石川)法人税率の安いところにみんな行ってしまうと、アメリカでもどこでも税金が取れない。特にいまはコロナでアメリカ経済も縮小していますから。数兆ドルも財政出動をして、「その財源をどうするのか」というときに、儲けているGAFAのようなところが巨額の利益を得ているのだけれど、税金がどこに払われているかわからない。「アメリカの企業なのにアメリカに税金が支払われていない」という話になったときに、こういう「課税について共通の話をしましょう」と。「誰かが課税を回避するために特定の国に逃げるようなことを止めて、自分のところで税金を取れるようにしよう」という発想です。健全と言えば健全になる。しかし実際にルールをつくるとなると、大きな壁や課題がある。世界は何ヵ国とあるわけですから。

飯田)G7だけでは決まらない。

このままでは産業空洞化が進む日本~この動きにどう合わせるのか

石川)いろいろな貸し借り関係や国際情勢のなかで、アメリカのようなところが中心となってやって行くと思いますけれども。では、日本はどうするのか。日本は法人税、「実効税率」などという言い方をしますけれども、高いです。よく「産業空洞化」と言うではないですか。

飯田)産業空洞化。

石川)ほとんどはサービス業の人です。そういう人でさえ、香港やマレーシアなどに移すということは、それなりに感じているわけでしょう。シビアな問題が多いと思った方がいいです。法人税は小さな話かも知れませんが、きちんと対処しなければ、日本は税金が高いですから、空洞化が進んでしまうと思います。こういう動きにどう合わせるかというところが、日本の課題ですね。

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