安倍前総理に訊く~辞任を決断した本当の理由
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年6月14日 12時25分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月14日放送)に安倍晋三前総理大臣が出演。総理大臣を辞任する際の決断について語った。
安倍前総理に訊く~辞任することにつながった持病
安倍前総理が特別インタビューとして6月14日(月)~18日(金)のニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」は毎日出演。ここでは辞任する際の決断について訊いた。
飯田)安倍前総理の辞任表明が2020年8月28日でした。総理としての連続在任日数は2822日ということで、憲政史上最長でした。須田さんは安倍前総理とはいろいろな番組でお会いしていますよね。
ジャーナリスト・須田慎一郎)ニッポン放送でも私の番組(『須田慎一郎のニュースアウトサイダー』)で2回ほどインタビューさせていただきました。ちょうど1回目のインタビュー時に北朝鮮からミサイルが飛んで来て、途中退席のような形になりました。
飯田)収録途中で、そうでしたよね。
須田)「また来るよ」と言われたのですが、本当にまた来ていただいて。義理堅い方ですね。安倍前総理を好きな人が多いというのは、そういうところにあるのだろうと思います。
飯田)まずは総理を離れてから1年。辞任の決断や現在の体調などを伺いました。
回復へ向かっている「潰瘍性大腸炎」
飯田)この時間は安倍晋三前内閣総理大臣にお話を伺います。安倍さん、よろしくお願いします。
安倍)よろしくお願いします。
飯田)総理を離れられてから随分経つわけですけれども、体調はいかがですか?
安倍)持病の潰瘍性大腸炎が悪化したために、あのような形で辞任することになってしまい、皆さまにはご迷惑をおかけしました。新しくつくった免疫を抑制する薬があって、この免疫抑制剤が大変よく効いています。点滴で入れて2時間ぐらいかかるのですが、それを8週間に1回やっていました。先般、人間ドックで、腸を内視鏡などですべてチェックしたら大変よくなっていまして、免疫抑制剤も打たなくていいのではないかということになりました。いままで飲んでいた薬は飲み続けるのですが、これはもう卒業してもいいのではないかということになり、一安心しているところでございます。
辞任を決断した理由
飯田)体に不調を持ちながら働いている方は、たくさんいらっしゃると思います。そういう方々のためにも、「自分が折れてはいけない」という思いなどはありましたか?
安倍)安倍政権においては「働き方改革」を始めました。さまざまな障害を持っておられる方々、さまざまな困難を抱えている人たち、あるいは私のような持病を持っておられる方々がいらっしゃいますが、その持病をコントロールしながら働き続けることができる、そういう働き方を可能にする改革を進めて来たのです。しかし、私の場合は、やはり国民の生命と財産を守る最高責任者でもありますから、しっかりとその責任を果たせないと判断したときには辞めなければいけないと思っております。だから、昨年(2020年)はそういう判断をしました。
飯田)なるほど。
安倍)2007年の第1次政権のときに最後の最後まで頑張った結果、急に投げ出す形で大変なご迷惑をかけましたから、今回は事前に時間を取る形で表明させていただき、あとを菅総理、当時の官房長官に引き継いでいただきました。急な話でしたから、菅さんも大変だったと思います。ただ、私とともに7年8ヵ月も官房長官として国政全般を見て来られましたから、立派にあとを継いでいただいたと思います。
飯田)公表したのは8月の終わりごろでした。決断されたのはいつごろだったのですか?
安倍)最初に体調に変調をきたしまして、どうしようかということになりました。いつも行っている病院に行って、検査を受けた結果、少し悪化の兆候があり、薬の量を増やすなどで対応しました。治療がうまく行けば、そのまま続けようと思ったのですが、残念ながら状況が悪化しているということで、先ほど申し上げた新しい薬の点滴を始めました。そこから改善が見られたのですが、このまま改善し続けるかどうかという不安もあり、しかもコロナ禍でもありますから、スムーズな政権交代をするには、元気な状況で引き継ぎをするべきだと考えました。もちろんやり残したことは多々ありますし、コロナ禍でもありましたから、断腸の思いではありましたが、そう判断しました。
第1次政権での失敗~「何が悪かったのか」をノートに書いて反省
飯田)2007年に第1次政権があり、それが志半ばで終わってしまったあと、安倍さんご自身がノートに「次にもしやることがあったら、何をやる」と書き留めていらっしゃったというエピソードを聞いたことがあるのですが、いまもそういうノートがあるのですか?
安倍)いまはそういうノートはありません。当時、現在よりも10歳以上若いのですが、たった1年で終わってしまった。大変な批判を受けるなかでの辞任となりました。自信も失い、誇りも粉々に砕けてしまい、失意のなかで「何が悪かったのだろう」と、そういう思いを整理する必要がありましたから、そうしたものをノートに書き留めていました。そのなかで徐々に体力も戻り、地元に帰ると、やはり地元の皆さんは温かいですから「安倍さん、何をやっているんだよ」と叱られますが、「まだ若いのだからもう1回頑張れよ」と励ましていただいた。それがまさにエネルギーとなって、乾いた砂に水がまかれるようにどんどん吸収され、私ももう一度自分の人生をかけてみようという気持ちになりました。そのなかで、前のできごとを反省し、参考にする必要があるので、「何が悪かったのか」ということも書き留めてみようと思ったのです。
キーパーソン的な動きをする最近の安倍前総理
飯田)安倍さんのインタビューの模様を、まずはオープニング、さわりの部分という感じでお聞きいただきました。失意の2007年があり、そして2012年に再登板ということになりましたが、ノートにいろいろ書き留めていて、いまはそういうノートはないというように苦笑しながらおっしゃっていました。
須田)このインタビューなのですけれども、普通であれば、総理大臣を終えられてという思い出話に花が咲くのですが、安倍さんは現役感満々ではないですか。
飯田)そうなのですよね。
須田)最近はいろいろとキーパーソン的な動きをしているので、その一言一言に「何か裏があるのではないか」とか「何か意味があるのではないか」ということで、聞きいってしまうところがあって、非常にいいタイミングでのインタビューになったのではないでしょうか。
飯田)いま聞いていただいたところは、最初のパートなので、ジャブ的に、匂わせ的にノートの話なども聞いておいて、いろいろと球を持ちながら、どこで投げるかとタイミングを図っていました。血色もよくいらっしゃって、元気でした。
須田)最近の動きを見てみると、秋の総選挙へ向けてのさまざまな布石など、激しく動いているなと。台湾のワクチンもそうですね。
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