岸惠子「これまでの人生で3回、卵を割りました」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年6月21日 11時15分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(6月14日放送)に女優の岸惠子が出演。『岸惠子自伝— 卵を割らなければ、オムレツは食べられない』から、波乱万丈な自身の人生について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。6月14日(月)~18日(金)のゲストは女優・岸惠子。1日目は『卵を割らなければ、オムレツは食べられない』というサブタイトルについて—
黒木)大先輩でいらっしゃいますし、日本の映画を牽引して、それで名作という名作の映画にご出演なさって、そしてパリに行かれて、そしてまた映画の出演をなさって、本当に私から拝見していると、とても華やかで羨望の目で見ていました。もちろんそうなのですが、この『岸惠子自伝— 卵を割らなければ、オムレツは食べられない』という岩波書店から出された本を読ませていただいたのですけれども、「波乱万丈」という言葉が陳腐に聞こえるくらい、いろいろなことがおありなって。
岸)いろいろなことがありました。
黒木)いろいろなことをご経験されて、そしてアクティブであり、好奇心旺盛であり、いろいろなことを女優以外でやっていらっしゃるというのに。
岸)女優の部分は、私の人生でほんのわずかです。それで、私は「自伝」と言われるのが嫌だったのです。私は「自伝的エッセイ集」にしたかったのです。自伝を書いたらこの3倍も4倍もいろいろなことがあるのです。ここでは、さまざまな国で見たこと、聞いたこと、驚いたこと、酷い目に遭って、それを振り切って立ち上がったことなどは、省いていますので、「自伝」というのはちょっと心残りだという感じがあるのです。でも、メインと思われることだけを書きました。
黒木)この岸惠子自伝のサブタイトルに「卵を割らなければオムレツは食べられない」とあるではないですか。これはご結婚なさったイヴ・シァンピ監督がおっしゃった言葉のようですけれども。
岸)これは、フランスの有名なことわざなのです。何か新しいものをつくろうとしたときには、それまでのものを壊してでないと進めないことがあるでしょう。「卵は割りたくない、でもオムレツは食べたい」というのはダメなのだと。崩壊からの創造のように、「何かをつくりたかったら、それまでのものを壊す勇気と覚悟が欲しい」と言われました。
黒木)最初にサブタイトルを読んだときに、「卵を割らなければオムレツは食べられない」って、当たり前だと思うのです。だけど、どういう意味かというのは、本を読んで行くと「なるほど」とわかるのです。このようにして岸さんは卵を3回割られているのですよね。
岸)3回割りました。
黒木)自分のことを考えて、私は何回割っただろうと思って……。
岸)たぶん、割っていらしたわよ。
黒木)そうですか。1回しか割っていないのではないかと思って、まだまだ私は岸さんに及ばないと。
岸)まだ先が長いということですよ。
黒木)でもそういう意味でも、すごく励まされましたし、本当に人生というのはすごいなと思いました。素晴らしい本です。それでこのなかにも書いてある、『巴里の空はあかね雲』とか、『砂の界へ』という本も読み始めました。
岸)嬉しいわ。ありがとうございます。
黒木)たくさん本をお出しになっていらっしゃるので。
岸)そんなに出していないですよ。『パリのおばあさんの物語』という翻訳はしましたけれど。私の身の回りにたくさんユダヤの人がいるのでわかる話だから。エッセイはいろいろなところに書いていますけれども、本になったのは12冊くらいです。少ないです。映画も少ないです、私。ものすごく、生きることに夢中になって、旅することに夢中になって。
黒木)「生きることに夢中になって」とおっしゃいましたが、本当にその言葉が胸に染みます。
岸惠子(きし・けいこ)/ 女優 作家
■1932年神奈川県生まれ。
■1951年公開の「我が家は楽し」で映画デビュー。「女の園」、「君の名は」が大ヒット。「亡命記」では東南アジア映画祭最優秀女優主演賞を受賞した。
■24歳で結婚のため渡仏。仏語・仏文化の専門校「アリアンス・フランセーズ」卒業後、ソルボンヌ大學にも進学。その後、「おとうと」「黒い10人の女」「約束」「細雪」「かあちゃん」など、多数の映画に出演されている。
■作家としても活躍され、『巴里(パリ)の空はあかね雲』で文芸大賞エッセイ賞を受賞。『ベラルーシの林檎』では日本エッセイストクラブ賞を受賞した。
■小説『風が見ていた』『わりなき恋』『愛のかたち』を発表し、そのほか数々のエッセイも出版。
■2004年旭日小綬章を受章。2011年にはフランス共和国政府より芸術文化勲章コマンドールを受章。
■2021年5月には岩波書店より『岸惠子自伝— 卵を割らなければ、オムレツは食べられない』を出版。
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