オフィス需要が下がり「事務系正社員の仕事」が減少~5月の失業率3.0%
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年6月30日 11時35分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月30日放送)にエコノミストで複眼経済塾塾頭のエミン・ユルマズが出演。新型コロナウイルスの影響で厳しい状態が続く日本経済について解説した。
5月の失業率3.0%~5ヵ月ぶり3%台
総務省が6月29日に発表した5月の全国の完全失業率は3.0%で、前の月と比べて0.2ポイント悪化し、5ヵ月ぶりに3%台となった。総務省は「新型コロナウイルスの影響で厳しい状況が続いている」としている。
飯田)また、厚労省が29日に発表した5月の有効求人倍率は、前の月から横ばいの1.09倍でした。雇用は厳しいということも言われていますが、ユルマズさんは足元の経済をどうご覧になりますか?
失業率の数字よりも正社員の仕事が減っていることが問題~女性の立場が厳しくなっている
ユルマズ)数字上はそれほど悪くないのです。ただ、アメリカでも同じことが起きていますが、リーマンショック以降、危機が起きるたびに、失業率の数字だけではなく、職の質が悪くなっているのです。給料の高い職がなくなって、前より条件の悪い仕事に就いてしまっているのです。
飯田)前職よりも悪い条件に。
ユルマズ)数字上は失業率が低く見えているのですが、それが大きな問題だと思います。レストランなどが動き出したので、非正規、パートや派遣社員は増えていますが、正社員の仕事は減っているのです。しかも女性の立場が厳しくなっています。
オフィス需要が少なくなり、事務系の仕事が減っている
ユルマズ)今回のコロナをきっかけにオフィス需要が少なくなり、AIを使って自動化にしたりアウトソーシングしたりして、総務などの事務系の仕事が減っているのではないでしょうか。そうすると、事務系の仕事には女性が多く雇用されているので、その影響もあるでしょう。仕事の多さだけではなく、質や給料も考えなければいけないと思います。
パラダイムチェンジしなければこの傾向は続く
飯田)業種別の有効求人倍率などを見ると、事務職は0.5くらいの数字になってしまっています。非正規が増えるということになると、その流れは、ご指摘になったリーマンショックのころから危機のたびに深刻化していると。パラダイムチェンジしないことには、ずっとこの傾向が続いて行ってしまうということですか?
ユルマズ)おっしゃる通りです。1つのパラダイムチェンジがあるとすれば、いまの米中対立、新しい冷戦をきっかけに、高い給料の製造業の仕事がアメリカと日本に戻る可能性があります。いまは製造業が海外に出て行ってしまい、残るのは飲食店などのサービス業です。そのサービス業もアルバイトとパートではないですか。アメリカもそうなってしまっている。いまはみんな失業給付をもらっていて、「どうせレストランで働いていても大して変わらない」ということで、失業給付が続いている間は働かない。そのために、アメリカでは働き手が集まらない。アメリカのマクドナルドは「アルバイトの方にはボーナスを出します」と言っているのに、人が集まらないのです。
間違っていた「アメリカ型経営」
ユルマズ)日本は経済危機が起きても、アメリカのように大量に人を解雇することはなかったのだけれど、リーマンショック以降、日本でもリストラをするようになりました。
飯田)「リストラすることが経営を真面目にやっていることだ」というような評価が高まりましたよね。
ユルマズ)「アメリカ型の経営を目指そう」と言って、そうして来た。でもいまになってアメリカが「私たちが実は間違っていた」と。「ステークホルダー重視の経営に返そう」と、むしろ本来の日本企業がやっていた方法に、アメリカは戻そうとしているのです。そのような状況なのに、日本が後追いで「間違いだった」と言っているアメリカを真似るというのは本末転倒ですよね。
飯田)海外に工場が次々と移転して行くような、「グローバル化が美徳」という流れがもう既に変わって来ていると。
ユルマズ)変わっています。安全保障上の理由からも、特に戦略的なもの、付加価値の高い商品の製造は、中国経済とアメリカ・日本、もしくはアメリカの同盟国はデカップリングさせないといけません。従って、これは明らかにアンチグローバル化の流れ、もしくはブロック経済化の流れです。この前のG7を含め、日米やクアッドの動きなど、インド・日本・オーストラリア・アメリカから考えると、明らかにブロック化の流れに向かっています。でもそれが日本経済にとってはいいのです。
飯田)日本経済にはいい。
ユルマズ)日本経済の不況、もしくはバブル崩壊が起きたのは、前の冷戦が終結したからだと思います。ベルリンの壁崩壊の1ヵ月後に、日経平均が史上最高値を記録しているのです。
飯田)なるほど。そこから「ガタッ」と下がって行って、いまの流れに来たと。
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