日本でワクチン不足の可能性も ~「3回接種」への世界的動向が進むと需給ひっ迫
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年7月12日 17時30分
Illustration of a syringe and the logo of the american laboratory Pfizer which, following its clinical trials, announces a vaccine against covid 19. Paris on 18 November 2020. Photograph by Magali Cohen / Hans Lucas. Illustration d une seringue et du logo du laboratoire americain Pfizer qui annonce suite a ses essais cliniques un vaccin contre le covid 19. Paris le 18 novembre 2020. Photographie par Magali Cohen / Hans Lucas
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月12日放送)に中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が出演。新型コロナワクチンを3回接種する「ブースター接種」について解説した。
世界では3回接種する「ブースター接種」に変わって来ている~需要が増え、日本でワクチン不足の可能性も
米ファイザーのミカエル・ドルステン最高科学責任者は7月8日、同社が独ビオンテックと開発した新型コロナウイルスワクチンについて、3回目の追加接種(ブースター接種)の許可を8月中に米食品医薬品局(FDA)に申請する方針であると述べた。
野村)日本のいま目の前の問題は、「ワクチンを打ちたいのに、打てない人がたくさんいる状況をどうするか」ということだと思います。自治体が一生懸命準備をしたので、接種スピードは上がったけれど、ワクチンを海外から輸入するスピードが間に合わないという状況です。そして、世界の感染状況が拡がって行くと、契約上、約束していても、その通りに届かない可能性があるわけです。これをどう見て行くかという問題があります。
飯田)そうですね。
野村)私がいまいちばん気になるのは、3回目の接種の話です。世界では、2回ではなく3回打つという方向になって来ています。この問題が日本で初めて報道されていたころは、「2回打って効かなくなったら3回目」ということでしたが、いま世界は「3回打つことで抗体が急激に上がる」という、いわゆる「ブースター接種」をやろうとしているのです。いままで2回打つというものだったのが、3回打つという方向に変わって来ているのだと認識しなくてはいけません。そうなると、争奪戦がまた始まるということです。
飯田)そうですよね。一部報道によると、ファイザー社は既に増産を検討しているとか。3回接種を受けると抗体レベルが2回接種時の5倍~10倍に跳ね上がるという話も出ています。
野村)その問題が世界に出て来ると、いままで2回で終わっていると思っていた国が、3回目を始めるわけです。それと、我が国の2回目がぶつかるのです。そうなると、当然、世界的な需要が増えるので、少し届くのが遅くなるという話も出て来てしまうと、また大変なことになります。その意味では、国産のワクチン開発をスピードアップしなくてはいけないということになります。
「3回接種」については専門家によって議論を固める必要がある
飯田)2回打ったものと3回目に打つものが違っていいのかなどということも、これから先の話になりますよね。
野村)いろいろな調査のなかでは、別のワクチンを打った方がいいという報道も出ていて、情報が錯綜しています。ここは専門家の方々にしっかりと議論を固めていただいて、タイミングを見計らう必要があります。
国産ワクチンの開発が遅れたのは厚労省の問題~慎重に、迅速に進めて欲しい
野村)国産のワクチンが間に合うのか、それともその前に3回目接種の話が来るのか。ここをきちんと見て、戦略的に早めに対応しないといけないと思います。今回の日本のワクチンの遅れは、厚労省のおよび腰が問題でした。「いろいろと慎重にやった」と言っているのですが、後手に回ったことは間違いありません。政権は「やれ」と言っていたのです。ところが、厚労省がおよび腰だった。ここを検証して、今度こそ勝負だと厚労省は見極めて欲しいですね。
飯田)菅さんは国会答弁でも「私もやれと言っているのですが、なかなか動かないところがある」とおっしゃっていましたね。
野村)日本のワクチンに対する慎重な世論、そして過去の裁判などが影響したところはあるのですが、もっと打つ手はあっただろうと思います。慎重に迅速に議論を進めて欲しいですね。
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