日本車を狙い撃ちした「EUの新環境規制」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年7月26日 11時35分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月26日放送)にエコノミストで複眼経済塾塾頭のエミン・ユルマズが出演。イタリアで開催されたG20環境大臣会合について解説した。
G20環境大臣会合~海洋プラスチックごみの削減などを議論
20の国と地域が参加するG20環境大臣会合がイタリアのナポリで開催され、海洋プラスチックごみを削減するため議論して行く共同声明を採択した。一方、7月23日に開催されたG20気候・エネルギー大臣会合では、各国が脱炭素について努力を表明したものの、目標時期に関しての合意に達しなかった。
飯田)日本からは小泉環境大臣が出席しています。海洋プラスチックごみやCO2の削減などというところです。
脱炭素によるEV規制は欧州市場での日本車メーカーを潰そうという政治的な意図も~移動式の充電器はガソリンやディーゼルで動く発電機
ユルマズ)流れが脱炭素に向かっているのはわかるのですが、最近のEUの電気自動車規制、EV規制などを見ると、「欧州市場での日本の自動車メーカーを潰そう」という政治的な意図を感じてならないのです。電気自動車自体はいいのかも知れませんが、すべての問題が解決しているわけではありませんし、いわゆる充電ステーションのようなものがあるわけでもありません。最近では充電する場所がないので、移動式の充電器が話題になっていますが、これがガソリンやディーゼルで動いている発電機なのです。
飯田)発電機を使って。
ユルマズ)そうなのです。これは本末転倒ではないでしょうか。それならば普通に直接ガソリンを入れた方がいい、ということになりますよね。
飯田)その方がロスが少ないですよね。
ユルマズ)フランスであれば、まだ原発を使っているので。
飯田)7割以上が原発だと言いますよね。
ユルマズ)ですので、フランスはまだいいのですが、ほとんどの国ではいまも化石燃料で電気をつくっていて、その電気はどこから来ているのだということです。電気は無から生まれているわけではないので、そのような問題を無視しがちです。どちらかと言うとこれは政治的な思惑で、いままで自動車産業を引っ張って来た日本やドイツに対する政治的な抑制のような気がしてならないのです。
ハイブリッド車まで締め出す~日本の自動車メーカーを狙い撃ち
飯田)先日、EUがガソリン車規制を新たに打ち出していて、ハイブリッドも含めて早期にやめるのだと。ハイブリッドまで締め出すというのは、完全に日本を狙い撃ちにしているような気がします。
ユルマズ)私もまさにそれが目標なのだと思います。その辺を日本はもう少し説得するべきだったのではないかと思います。単純にいまの流れに乗っかっている感じがしますが、もう少し日本の自動車メーカーのことを考えて欲しいですよね。
飯田)国際合意なのだから仕方がないのだ、というような口ぶりだったりもしますよね。
ユルマズ)それは少し違いますよね。自動車というのは、日本がここ30年間で他国のリードを許さなかった部門です。人が乗るため、安心安全がいちばんなので、そこは中国にしろ、他の周辺国にしろ、日本を追い抜くことはできなかった。今回の規制を口実に日本の自動車産業が潰されてしまうと、日本経済にとって相当な打撃になりますから、もっと訴えて欲しいですね。
バスやトラックなどはEVより水素の方が適している
飯田)トヨタ自動車は先手を打つような形で、EVだけでなく、水素エンジンの車なども打ち出して、しかも豊田社長自らハンドルを握ってレースで走らせています。ガソリンがダメなら次は水素だと、舵を切っているということですか?
ユルマズ)水素も普通のEVも同時に存在する、同時進行になって行くのだと思います。同じことを韓国の現代自動車もやっています。水素に力を入れているのですが、ルートが決まっている大型の車両、バスやトラックなどは、車庫で水素を入れて1日回せばいいだけなので、水素の方がいいのです。大型の車両はEVよりも水素の方が向いているので、おそらく同時進行させなければいけないのだと思います。
重いものを運ぶにはEVは難しい
飯田)なるほど。街乗りのような、それほど走行距離も長くなく、かつトルクが必要ないようなものならばEVでやると。
ユルマズ)そうですね。
飯田)重いものを運ぶ場合、まだまだ電気モーターではきついという話もありますよね。
ユルマズ)基本的にEVというのは、バッテリーにタイヤが付いたようなものなのです。小さい車ならいいのですが、大型トラックなどになると、バッテリーだらけになってしまいますよね。
飯田)確かにそうですね。その重さに耐えかねると。
ユルマズ)それならばガソリンのように動ける水素の方がいいですよね。
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