高橋洋一が解説 アメリカFRBが金融緩和を続ける本当の理由
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年7月28日 17時40分
米連邦準備制度理事会(FRB)本部(アメリカ・ワシントン)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月28日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)を開くというニュースについて解説した。
アメリカの金融政策会合「FOMC」が開催
アメリカの中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は7月27日~28日の両日、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。FOMCでは景気回復を受け、金融政策は事実上のゼロ金利政策と量的緩和策を維持する見通し。
飯田)28日の新聞の経済面にはIMFの経済見通しの最新版が載っていまして、日本は少し下方修正し、今年度は2.8%成長ということが出されております。アメリカは株が最高値を更新しています。
失業率を下げるために、高いインフレ率を求めてはいけない~アメリカの失業率はまだ高い
高橋)金融政策の話をすると、みんなインフレ率の話をするのですが、それは金融政策の基本を間違って理解しているのです。実は失業率を見ているのです。「失業率を下げるために、高いインフレ率を求めてはいけない」ということで、インフレ目標があるのです。
飯田)失業率を下げるために。
高橋)「失業率を下げるために、高過ぎるインフレはダメ」という意味なのです。失業率を見ると、6月の失業率が7月頭に発表されましたが、アメリカは失業率5.9%。まだかなり高いです。
失業率が高いままだから、金融引き締めは容認できない
高橋)失業率が高いままだから、金融政策としては、金融の引き締めは容認できないということになってしまう。失業率と金融政策が関係あるということを、日本のマスコミの人でもわからないようですが、関係あるのです。
飯田)失業率が高いままだから。
高橋)FRBの責務は雇用の維持なのです。「インフレ率がどうのこうの」などと議論して、「これから引き締めをするのだ」などと言う人がいるのだけれども、この程度のレベルだと引き締めようがありません。この失業率ですと、当分の間、金融政策と量的緩和を続けるのは当然です。これで引き締めに転じたら、FRBの議長は務まりません。こんなに高い失業率ですからね。失業率が下がって来ないと、金融政策の変更にはならないでしょうね。
失業率は4%まで下げる必要がある
飯田)アメリカの場合は、一方で人手不足感が強まっているとも言われています。失業給付金が多くて、働くよりもお金が貰えてしまうから、働かない人がいるという指摘がありますが、これも解消されて行くのでしょうか?
高橋)それは一時的な話だと思います。働く方が絶対いいに決まっていますから。どう考えても100%の失業給付などないので。
飯田)それがずっと続くなどという保証はないわけですよね。
高橋)給付金があるから働かないということは、ごく一部の人にはあるかも知れないけれど、多くはやはり働けないのだと思います。失業率が大体4%くらいまで下がるといいのです。
飯田)そうすると、あと2%ほど余地がある。
失業率が下がらないので当分、FRBは金融緩和を続ける
高橋)最後はその2%をどういうペースでやって行くかということになるのでしょう。その先を見れば、金融引き締めがあると思いますが、まだ2%くらい失業率の差があります。7月頭に発表になった失業率5.9%というのは、あまりいい数字ではない。本当はもう少し下がって5.6%くらいの予想でした。
飯田)市場予想は5.6%くらいだった。
高橋)5.6%くらいだったのに5.9%ですから、当分、金融引き締めはないと思います。失業率があまり下がっていないから、しばらくは雇用をつくるために、FRBは金融緩和を続けますという答えしかありません。
財政の崖
飯田)一方で、経済対策の両輪で財政出動という部分ですが、これに関して、財政の崖のようなものが意識され始めました。これ以上は、債務上限に引っかかるのではないかという話が出ていますが。
高橋)いつも引っかかるのですけれどね。債務上限には大体、2年に1回引っかかるのです。議会のそういう行事になるだけですよ。
飯田)特例法なりを通すか通さないかで揉めるようなところですか?
高橋)あの法律がそもそも変なので、2年に1回、こういうイベントができるようになっているのです。そのときに、いろいろな政策を議会で話し合えるようになっている。議会で話し合いが行われるきっかけになるというだけですから。あそこで引っかかるために何かをやめるということはあまりないですよ。
飯田)この状態は続いて行くと。
高橋)そうですね。
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