地政学を通して見るとわかる「アメリカが島国」であること
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年8月3日 11時15分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(7月27日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。地政学への理解をより深めるため、具体的な国を例に挙げて地政学を語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。7月26日(月)~7月30日(金)のゲストは地政学・戦略学者の奥山真司。2日目は、アメリカに例に挙げ、地政学について—
黒木)地政学、それぞれの国の地理的な条件を基に、他の国との関係性や国際社会での行動を考える学問ということなのですけれども。
奥山)すべてを地理で説明できるというわけではないのですけれど、その国が置かれている地理的な状況が、国の文化や統治システム、政治のシステムなどに色濃く影響を及ぼしているということは、地政学を勉強していて、つくづく感じます。
黒木)1つの国を挙げて、わかりやすく地政学を教えていただけますか? どこの国にも参りましょうか?
奥山)そうですね、では、例えばアメリカ。
黒木)アメリカ。
奥山)アメリカとい言えば、金融でもものすごいし、ナンバーワンの国というところです。我々が考えると、アメリカ大陸があり、南北アメリカだから、アメリカという国は「陸の大国」だと思いがちではないですか。
黒木)思います。
奥山)ところがあの国が一応いま世界の覇権状態で、あれだけパワフルになっているもとは、「海軍力」なのです。だから彼らは自分たちのことを島国だと思っているのです。
黒木)島国と言えば、島国ですけれど。
奥山)彼らはたくさん軍事力を持っているのですけれど、外に出て行くとき、もしくは商売するときには、必ず海を渡って行かなければならないのです。
黒木)そういう意味で?
奥山)そういう意味です。そうすると、アメリカの置かれたポジションは、少し田舎なのだけれど、島国なのです。都会はどこにあるかというと、ユーラシア大陸で、まさにここにある大きな大陸、ここに世界の人口のほとんどがいますし、自分の先祖も、イギリスなどそちらから来ている。そうなると、そちらとの関係も商売上、いろいろありますので、ユーラシア大陸という大陸と離れた島にいるという意識で、いろいろ世界をコントロールしようとしているのです。
黒木)なるほど。理解しました。
奥山)そういうことなのです。ですので、自分たちは島国となると、「島国であるという立場を力強く維持したい」と思ったら、海軍にたくさんお金を掛ける。
黒木)では日本と同じですね。
奥山)その通りです。いま日本はアメリカと同じようなシステムのなかに入って、横須賀や佐世保、呉などにアメリカ海軍の船がたまに出入りします。だから世界のいちばん強力な国が、実は世界で最も大きな海軍を持っていて、その中心は実は島国だったということです。そういうことがおわかりいただけると、なんとなく地政学のイメージができてきたかなと思います。
黒木)そうですね。それでユーラシア大陸との貿易をアメリカが盛んに行っているという、その国際情勢が見えて来るわけですね。
奥山)その通りです。
黒木)ではイギリスは?
奥山)イギリスも昔はその通りだったのですけれど、いまでも海の大国ではあります。イギリスはもともとアメリカの親分だったではないですか。
黒木)そうですね。
奥山)イギリスは昔は、いまのアメリカのように世界の海を支配していてですね。
黒木)大英帝国ですね。
奥山)1860年くらい、日本が江戸から大政奉還して明治維新になるころですね。あのころは世界でナンバーワンだったのです。ところが、そのナンバーワンの地位がだんだん小さくなって来ると、世界のボスが、イギリスからアメリカに移ってしまったのです。
黒木)イギリスからアメリカに。
奥山)過去500年の歴史を見ると、どうも海志向、「シーパワー」と言うのですけれども、海の方で貿易をやっている国の方が商売をいろいろやっているので、お金が儲かると。それで国力が強くなるという傾向が強いのです。そういう覇権はスペインやオランダに行ったあとにイギリスに行って、そこから今度はアメリカに行ったのです。
奥山真司(おくやま・まさし)/ 地政学・戦略学者 国際地政学研究所上席研究員
■1972年・横浜市生まれ。
■カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学卒業後、英国レディング大学院で、戦略学の第一人者コリン・グレイ博士(レーガン政権の核戦略アドバイザー)に師事。
■独自の情報網と分析で活躍する地政学者の旗手であり、ブログ「地政学を英国で学んだ」は、国内外の多くの専門家からも注目。新の国家戦略論を紹介している。
■著書に『地政学・アメリカの世界戦略地図』『ビジネス教養 地政学(サクッとわかるビジネス教養)』、訳書に『中国4.0』など多数。
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