いい曲が流れても、その映画の言いたいところへ導いていなければ、映画音楽としては失敗だと思う ~音楽プロデューサー・Yaffle
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年8月9日 22時0分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(8月2日放送)に音楽プロデューサー・作曲家・編曲家のYaffle(ヤッフル)が出演。映画『キャラクター』の音楽制作の現場について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。8月2日(月)~8月6日(金)のゲストは音楽プロデューサーのYaffle。1日目は、映画『キャラクター』の音楽制作の過程について—
黒木)6月に公開された映画『キャラクター』観ました。あの劇中の主題歌もYaffle(ヤッフル)さんがすべておつくりになったということですが、私はあの映画のプロデューサーの村瀬さんと対談したことがあるのですよ。
Yaffle)そうなのですか。
黒木)音楽がACAねさんとRin音さん、そしてYaffleさんを加えた奇跡のコラボ。「半端ない破壊力。優しそうで怖い」というような。菅田将暉さんも「主題歌の概念を覆されるような音楽だ」とおっしゃっていますが、Yaffleさんの映画でのお仕事は、まず作品をご覧になって、そこからイメージをされて行くのですか?
Yaffle)そうですね。脚本をいただいてイメージを膨らませて行って、そこから本格的に取り掛かります。
黒木)膨らませるというのは、音が降りて来るような感じなのですか?
Yaffle)音楽は解釈に影響するなと思っています。脚本に出て来ない部分、例えば、この作品はクライムサイコスリラーのような映画なのですが、どの段階でお客さんに「この人が怪しい」ということを「思わせるのか、思わせないのか」ということについて、役者さんが無言の演技をされているなかで、音楽でわかりやすく「この人が犯人です」と伝えることもできるし、「もしかしたら違うのかも知れない」という音楽の付け方もできるのです。演出の方向性を聞かないと、何とも言えないところがあります。
黒木)プロデューサーが、「半端ない破壊力」と表現されていますが、それはどのように感じられますか?
Yaffle)半端ないものをつくろうという感じではなかったのですが、永井監督のはじめのオーダーが、「どこで始まって、どこで終わっているのかわからないような音楽がいい」ということでした。Fukaseさんが演じている両角の役が、持っている気味の悪さと、少しポップに見えるところがあって、「それをより気持ち悪くて不快なものに仕立てて欲しい」という監督のオーダーがありました。不快でいつ始まったのかわからず、いつ消えたのかもわからないという、いつも自分がやっている音楽とは真逆の音楽でしたね。
黒木)それでいて、演技はすごく優しく可愛く両角を演技なさって、それを不快感が観えるようにという。そのアンバランスさが面白いのでしょうね。
Yaffle)そうですね。付け方によっては、「ただ怖い」とすることもできるし、パニック映画のように仕立てることもできるのですが、そこに1つ美意識というか、そのようなものの一抹を、両角を観ているときに感じてくれたらいいなと思っています。観終わった後、「ゾワッ」とするというか、帰り道が怖くなる、気がついたら側にいる、というようなものをつくろうということを心がけました。
黒木)映画音楽は普段されているような曲づくりとは違って、物語を邪魔してはいけないし、作品は盛り上げないといけないという、そのような重責はやはりありますか?
Yaffle)ストーリーテリングがすべてというか、いい曲が流れたとしても、その映画の言いたいところへ導いていなければ、映画音楽としては失敗だと思います。
黒木)映画音楽は、『響』と『えんとつ町のプペル』と。
Yaffle)どちらももう1人の方と共作でやっています。1人ですべてやったのは今回がはじめてですね。
黒木)いかがでしたか?
Yaffle)やっている最中は、もう絶対にやらないと思っていました。
黒木)そうですか(笑)。
Yaffle)でも終わってから作品を観ると、「ああもう1度やりたいな」と思える、不思議な感覚でしたね。当然ですが、映画が主役で、監督が絶対です。音楽において、「意見が食い違う」というのはどのジャンルでもあるのですが、映画音楽に関しては、監督に「これは画と合っていない」と言われたら、「いや合ってます」と反論するのも不思議な話で。画をつくったのは監督ですし。
Yaffle(小島裕規)/ 音楽プロデューサー・作曲家・編曲家
■東京都出身。
■大学在学中の2010年末から作曲家・編曲家としての活動をはじめ、2014年、クリエイティブカンパニー「Tokyo Recordings (現・TOKA) 」を設立。
■その感度の高いプロデュースワークで、小袋成彬、藤井 風、iri、SIRUP、SANABAGUNの高岩遼、Capeson、柴咲コウ、Adieu(上白石萌歌)らのアレンジや楽曲提供、またCM音楽のほか、映画『響』『ナラタージュ』『映画 えんとつ町のプペル』『地獄の花園』『キャラクター』などの映画音楽を制作。
■2018年からは自身のアーティスト・プロジェクトを始動。海外アーティストとのライティング・セッションで生まれた楽曲をリリース。2020年9月にはファーストアルバム『Lost,Never Gone』をリリースした。
■6月11日から公開されている菅田将暉Fukase出演の映画『キャラクター』では、主題歌「Character」を手掛けた。「ずっと真夜中でいいのに。」のACAね、ラッパーのRin音と奇跡のコラボ―レーション。作品の劇中音楽も担当されている。6月9日には映画『キャラクター』のオリジナル・サウンドトラックもリリース。
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