老後の資金はいくら必要なのか ~もはや2000万円では足りない
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年8月20日 8時10分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(8月12日放送)に生活経済ジャーナリストの和泉昭子が出演。老後に必要な蓄えとそれを手助けする新たな制度について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。8月9日(月)~13日(金)のゲストは生活経済ジャーナリストの和泉昭子。4日目は、老後の生活を支えていく上で必要な資金の問題、そして「iDeCo」について—
黒木)不安定な社会情勢でもあるので、老後の資金というと、どのように考えればいいのでしょうか?
和泉)コロナの前からなのですが、年金について、将来どのくらいの価値になるかということを厚生労働省が5年に1回ずつ試算をしています。いまから25年後くらいには、経済がすごくうまく行って85%、そこそこな感じだと75%くらいになってしまうのです。
黒木)うまく行って85%。
和泉)ピンとは来ないかも知れませんが、いまでも年金だけでは暮らせないと言われているのですが、そこからさらに八掛けくらいでイメージしていただかないと厳しい世の中になるかと思います。
黒木)八掛けですか。
和泉)1年間で80万円くらいです。そこに会社員の人や公務員の人だと月10万で年間120万円くらいが付いて200万円くらいもらえる人が多いのですが、それがざっくり八掛けだと160万円くらいになってしまうというイメージです。
黒木)160万円。
和泉)将来のことなので貨幣価値が変わるのですが、そのようななかでは、若いいまから準備するのが、教育費も掛かるのにとか、ローンもあるのに、と思われると思うのですが、そのように考えるというよりは、将来に向かって木の枝葉が伸びて広がって行くようにしていただきたい。木は根っこも広がって行くではないですか。同じように、人も歳を重ねるごとに、しっかりとした基盤をつくるために根を生やす。そのためにお金を増やして行くのだと考えて準備をされて行くと虚しくないかなと思います。
黒木)まだ具体的にはわかりません。数年前であれば、老後の資金は2000万円ないといけないという発表がありました。
和泉)あれはどのような計算をしているのかと言うと、先ほどの年金が八掛けになる前の、いまの水準のままなのです。
黒木)いまのままだと、ということですか。
和泉)それでも足りないということなので、一般的にお年寄りが使っている金額といまもらっている年金額の差があるのです。それを毎月いくら足りない、12倍するといくら、平均余命まで生きると何十年あるから、すると2000万円になりますね、というものなのです。あれが出てから、当時は88歳ぐらいまでで計算をしていたのですが、最近では「人生100年時代」と言われるようになっているので、もう少しいるかな、という感じになっています。
黒木)先ほどのお話に戻ると、根っこを増やして行って、お金を増やして行くとおっしゃっていましたが、何をして増やせばいいのでしょうか?
和泉)「自助努力で用意したら国が応援します」という制度ができているのです。「iDeCo(イデコ)」というのを聞いたことがありますか? 個人型の確定拠出年金といって、愛称が「iDeCo」と言います。
黒木)はじめて聞きました。
和泉)確定拠出というのは、自分で決まった金額を拠出、出しますよ、というもので、将来の年金に育てるものです。個人型と付いているのは、企業に勤めている方だと企業型というものもあるのですが、個人でお金を出して将来の年金をつくる制度が用意されているのです。これは何がいいのかと言うと、掛け金が、所得控除といって、自分が稼いだお金のなかから税金を計算するときに、控除が取れるのです。ですので、結果的に税金が安くなる。20%税金を払っている人であれば、掛けただけで……掛けるというのは、将来の自分のためにお金を出しているので、なくなっているわけではないのですが、それでも税金がその分戻って来るということなので、20%の運用利回りがあるということなのです。
黒木)それは掛けたお金よりも多くはならないのですか?
和泉)多くしたいから皆さんやるのですが、いまは金利が低いので、元本が保証されている商品だと増えないのです。しかし、株式が混ざっていたり、外貨が入っていたり投資をして行く方がいいのですが、そうすると当然、長い間には上がったり下がったりするので、少しハラハラドキドキするかなということですね。
黒木)ということは、株式と近いものがあるということですか?
和泉)そうですね。ただ、「iDeCo」の場合は、株式そのものを個別に買うというよりは、それをプロが運用する投資信託という商品があるのですが、そのようななかでコツコツ運用して行くことによって、先ほど申し上げたように節税をしながら、途中の運用益にも税金がかからなくて、将来もらうときにも公的年金と同様の税優遇がありながらもらえますというものができているのです。
和泉昭子(いずみ・あきこ)/ 生活経済ジャーナリスト
■横浜国立大学卒業後、福武書店(現・ベネッセ・コーポレーション)に勤務。
■退社後、日本短波放送(ラジオNIKKEI)を経てフリーのキャスターに転身。
■NHKを中心にニュース・経済番組などを担当。
■1995年にCFPを取得後、マネー・キャリア・コミュニケーションに関する情報発信やコンサルティングを手掛ける「株式会社プラチナ・コンシェルジュ」を設立。
■ファイナンシャルプランナーのパイオニアであり、政府はじめ各官民間機関の委員、理事、大学教授を歴任。新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・講演などにも数多く出演。
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