新型コロナウイルス対策には「ダメージコントロール」が必要
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年8月29日 11時55分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月27日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。新型コロナウイルス対策をめぐり、参議院厚生労働委員会の閉会中審査が開かれたというニュースについて解説した。
コロナ対策の医療提供体制などを与野党が議論
新型コロナウイルス対策をめぐり、8月26日に参議院厚生労働委員会の閉会中審査が開かれ、医療提供体制の確保に向けた政府の対応や支援策などについて与野党が議論を交わした。緊急事態宣言の解除の基準について、政府の分科会の尾身会長は「大事なことは医療のひっ迫だ。コロナ患者に必要な医療が提供されているか、一般医療への制限がどの程度ならば一般市民が許容できるかという、2つの側面から考える必要がある。医療のひっ迫がどれほど軽減されるかを基準に考えるべきだ」と述べている。
飯田)医療現場のひっ迫、等々と言われています。
宮家)私は専門家ではありませんから、無責任なことは言いたくないのだけれども、アメリカで感じたことだけを申し上げますと、デルタ株というのはグローバルな現象です。私が8月上旬行ったとき、アメリカは楽観ムードで、「大丈夫、マスクもしなくていい」というようなことを言っていたわけです。しかし、その直後から急激に感染者数が増えてしまって、会う予定だった人の中で一人、対面では会ってくれない人がいたのです。「隣の人が感染してしまったから、リモートでお願いします」と。ワシントンまで行ってリモートで話をしたのですよ。
飯田)会えないから。
欧米から比べると感染者数が低い割に危機感が強い日本
宮家)それからワシントンではみんな、再びマスクをするようになりました。いまはもっと酷くなっていると思います。アメリカ中がそうなのですよね。いま日本の感染者数が2万いくつですか?
飯田)8月26日で2万4976人です。
宮家)私がアメリカに行ったときは、1週間の平均が全国で10万人を超えていました。いまは13万人か14万人くらいでしょう。ということは、人口比で言うと、まだ日本は低い方なのです。死亡率も低いですしね。だからいいと言っているわけではありませんが、国も変われば、状況も変わるのです。比較しても仕方ないのかも知れませんが、日本は「数字の割には、危機感が高いな」と感じました。
各国が悩みながら新型コロナに対する政策を選択している
飯田)有事と平時の部分で、アメリカの場合は「スパッ」といろいろな対応ができることも言われています。
宮家)中国がいちばんすごいけれども、瞬く間に封鎖して野戦病院どころかプレハブで大病棟をつくったでしょう。ああいうことをやる国もあれば、軍をうまく使って、危機管理がしっかりできている国もあり、いままでのシステムを維持しながらやる国もある。
飯田)従来のシステムで。
宮家)日本が悪いと言っているわけではないのです。保健所中心でいままでのシステムをできるだけ守りながら、何とか対応して行く。それも1つの対応の仕方だと思います。一気に「ドカン」とやる国もあれば、そうでない国もある。インパクトの大きさによっては、いままでのやり方では対応できないと判断して、ロックダウンをやっている国もあれば、それができない国もある。そういうことだと思います。
飯田)それぞれの国が悩みながら、政策を選択していると思いますけれども。
宮家)いずれにせよ、成功している国はありません。うまく行っている国など1つもないですよ。みんな困っています。そういう意味ではお互い様だと思いますね。
「ダメージコントロール」をしなければならない~新型コロナは壮大な撤退戦
飯田)いろいろな形容の仕方があると思うのですけれども、ジャーナリストの佐々木俊尚さんは「撤退戦」だと形容しています。結局、どう頑張っても、どこかに犠牲が出たり、亡くなる方が出てしまう。被害を最小に抑えるのだけれど、ゼロにはできない。そしてそれは評価されにくい。
宮家)危機管理ですよね。残念なのですけれども、ダメージコントロールなのです。でもダメージコントロールは誰かがやらなければならないのです。
飯田)野放図にダメージを受けたままでは、もっと悪くなる。
宮家)そうです。医療というものと、ダメージコントロールという意味での危機管理を、どこかでうまく結合しないといけない。いまは医療だけで防げないところに来ているのではないでしょうか。
飯田)経済、生活というものも当然ありますからね。
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