コロナ禍で新たに始めたリサイクル事業 ~マザーハウス代表取締役兼デザイナー・山口絵理子
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年9月13日 20時10分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(9月2日放送)に株式会社マザーハウス代表取締役兼チーフデザイナーの山口絵理子が出演。新たなリサイクル事業について、また自身の原動力の源について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。8月30日(月)~9月3日(金)のゲストは株式会社マザーハウス代表取締役兼チーフデザイナーの山口絵理子。4日目は、新たに始めたリサイクル事業について—
黒木)現在6ヵ国の途上国でバッグ、ジュエリーなど、いろいろな製品を生産していらして、国内外に40のお店で販売をしていらっしゃるマザーハウスですが、最近は、工場でつくった方が最後まで責任を持つリサイクルを考えていらっしゃると。それについて少し説明していただけますか?
山口)いつも春は新作を打ち出すタイミングなのですが、このコロナ禍です。社内でも、例年のように打ち出すよりは、いまは「クローゼットにあるものを大事にしたい」という気持ちの方が強くないかといことが会議で出て来ました。うちのコアなお客様は、40個くらいカバンを持っていらっしゃるのです。そういう、古くなって使わなくなったものを回収した方が、新しいものを生み出すよりいいのではないかという話が出て、回収を始めました。回収して、全部解体して、皮の端切れにして、それで新しい鞄によみがえらせたのが、キャメルの……。
黒木)それがこちらですね。新品ですね。
山口)嬉しい。
黒木)これは使わなくなった皮のバッグを解体して、再びつくって、もちろんデザインをされて、こうなったということでしょうけれども。これはその回収した方にまた買っていただくのですか?
山口)いえ。
黒木)そうではなくて、回収は回収で。
山口)そうなのですよ。おっしゃる通り。
黒木)そのなかから、こういうツートンであったりというようなこの革だったらこのデザインにしていこうとか、そういうことなのですね。
山口)そうです。
黒木)この革がすごく美しいのはなぜですか。リサイクルなのに。
山口)裁断する前にクリーニングやアイロンなどをやっています。
黒木)それも手作業で。
山口)そうです。
黒木)回収されるときに、「このバッグにはいろいろな思い出がある」というお手紙をいただいたという話も伺ったのですが。
山口)それはもう涙なしには読めませんでした。このバッグを娘からプレゼントされて、大事に使って来てと、A4びっしりに書いてくださって、そういう思いをつなぐという責任がメーカーにはあるなと思いました。
黒木)工場の方々もみんな励みになりますし、モチベーションが上がりますね。
山口)上がります。
黒木)その山口さんのその原動力は何ですか?
山口)15年やって来て、そのときどきでモチベーションの源泉が変わっていたなという感じもしています。起業当初は「メイドインバングラデシュなんていらないよ、ネガティブなんだから」と言われるたびに、負けず嫌い精神で「絶対できる、絶対できる」と思っていた気がするし、10年目くらいのときは、ブログに寄せられたお客さんからの温かい応援の言葉に対して、「リアルに期待に応えたい」という気持ちが強かったなと思います。いまは、仲間の成長を見られるのも純粋に面白いし、10年後にどんなプロダクトをつくっているのかと想像する楽しさもあります。これは異なるモチベーションの源泉を見つけて行く旅でもあるなと思います。
黒木)未来図が不可能ではなく、可能になって来ているわけですから。
山口)2024年にバングラデシュの工場を新しくするのです。いままでは大きい工場ではあるけれど、家賃を払って、建物も誰かの建物のなかに入っているという状態だったのですが、いまの5倍くらいの広さを買ってしまったのです。
黒木)2024年。もうあと3年ではないですか。
山口)「バングラデシュにこんな工場あるのか」という建築物になるので、それができたときに働く概念とか、工場に行く気持ちが変わるというのがゴールです。
山口絵理子(やまぐち・えりこ)/ マザーハウス代表取締役兼デザイナー
■1981年・埼玉県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。
■ワシントンの国際機関でのインターンを経て、バングラデシュBRAC大学院開発学部修士課程終了。
■2年後に帰国し「途上国から世界に通用するブランドをつくる」をミッションとして、2006年に株式会社マザーハウスを設立。
■世界経済フォーラム「Young Global Leader (YGL) 2008」選出。
■ハーバードビジネススクールクラブ・オブ・ジャパン アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2012を受賞。著書に『裸でも生きる』シリーズ3作などがある。
【マザーハウスとは】
■『途上国から世界に通用するブランドをつくる』という理念を掲げ、2006年に設立。
■バングラデシュをはじめ、ネパール・インドネシア・スリランカ・インド・ミャンマーの計6ヵ国で、それぞれの地域の素材や文化を活かしたモノづくりを展開。バッグ・ストール・ジュエリー・アパレル等のデザイン・生産を行い、素材開発から店舗運営までを一貫で手掛けている。
■生産地は6ヵ国。販売は国内外でおよそ40店舗。世界のスタッフはおよそ700人。
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