立憲民主党・枝野代表「実質経済成長率は民主党政権のときより悪い」 ラジオ番組で反論
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年10月14日 11時55分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月14日放送)に立憲民主党の枝野代表が出演。政権政策会見で発表した衆議院選挙における公約について訊いた。
立憲民主党・枝野代表、衆院選に向け選挙公約を発表
立憲民主党の枝野代表は、10月13日に行われた政権政策会見で、衆議院選挙における公約を発表した。1億総中流社会の復活を目指すとし、時限的な5%の消費減税や、低所得者への年額12万円の現金給付などを掲げている。
飯田)番組では野党代表幹部らにご出演いただきまして、衆院選の戦い方、経済対策などを伺ってまいります。今回は、立憲民主党の枝野代表に経済政策を中心に伺います。
実質経済成長率は民主党政権のときより悪い ~分配をすれば必ず消費が伸び、景気がよくなる
枝野)安倍さんや菅さんと同じように経済が成長しているという前提に立っておられますが、この9年近く、日本の実質経済成長率はコロナ前だけ見ても、実は民主党政権のときより悪いのです。したがって、成長していないからどうしたらいいのかという問題なのに、「アベノミクスがうまく行った、その延長線上で少し分配もする」という岸田さんと、「そもそも成長していないのだから、どうやったら成長するのか。そのために分配しましょう」という我々との違いは明確になったと思います。
飯田)与党の方が特に雇用に関しての部分を言いますが、失業率は確かに2%台まで下がって来ています。この辺りはどうお考えですか?
枝野)不安定雇用が拡大して、その比率が変わっていないのです。民間の努力を促すことも大事ですが、政治側が比較的ゆとりのある富裕層や、超大企業からもう少し負担をお願いして、再分配しなければならないというのが我々の考えです。
飯田)その辺りに関して、経済が減速してしまうのではないかという指摘もありますが、いかがですか?
枝野)そもそも、日本経済全体が決してよくないのです。消費を伸ばせば、日本経済の半分以上を占めているので、例えば年収が100万円の人が200万円になれば、増えた100万円分消費が伸びるのです。分配すれば必ず消費が伸びて、必ず景気がよくなります。
時限減税の期間はどのくらいか
飯田)消費するとなったときに、やはり税金の問題で頭が痛い。消費税についてどうお考えでしょうか?
枝野)消費税は、一定の役割はあると思っているのですが、経済政策というよりも、コロナで消費がものすごく落ち込んでいる。コロナがどこかで落ち着けば、いままで我慢していた分、間違いなく1度回復するのです。おそらく3年、5年、こうしたところに消費を誘導しなければなりません。そのために消費税をうまく使わせていただこうということで、5%への時限減税ということを提案しております。
飯田)時限減税について、期間の想定はありますか?
枝野)コロナがいつ収まるのか、実際にどのくらい回復できるのかということを見極めなければなりませんが、1年や2年では消費減税が足りないのは間違いないと思います。やはり3年、5年というレベルは必要だと思っております。
消費税を下げれば消費につながる
飯田)業種によって傷んでいるところと、そうではないところがくっきり分かれてしまっている。消費税でやると構えが大き過ぎるという批判もありますが、いかがですか?
枝野)Go To キャンペーンをやったわけですが、対象が狭かったり、恩恵を受けるのが大手や富裕層に偏ったという批判もあるのです。「この期間ならば安い」ということがしっかりと示されれば、我慢していただいた分だけ、結果的に誘導されると思います。広く薄くということの方が、消費者側も傷んでいるわけですので、そちらに対する支援の側面も加わり、合理的ではないかと思っています。
飯田)増税のときに逆進性が言われた消費税ですが、下げるとなると、それが逆に効いて行くと思えばいいわけですか?
枝野)実額から言えば、富裕層の方が実は恩恵が大きくなるわけですが、逆に言うと、例えば観光や外食の場合、効果があるなら、それだけ大きく消費していただける。結果的に外食や観光でお金を使っていただければいいので、逆進性の下げるときのマイナス部分が、逆に打ち消されるという意味を持っていると思います。
基本的に年額12万円の現金給付を行う ~中間層までは所得に応じて所得税も減税
飯田)消費税以外では、所得税などに関しても言及があります。この辺りはまさに、富裕層以外の部分に効いて行くということですか?
枝野)基本は現金給付です。年額12万円の現金給付を行いたいと思っているのですが、所得税を12万円以上払っていただいている方には、別にいただいて返すという作業は必要ないわけです。12万円分まで減税すればよいのだし、もう少し上の所帯も、家計という意味では中間層も相当傷んでいます。そこまで広げるという意味で、現金給付と所得税の減税を組み合わせて、低所得者からある段階までは一定額、それ以上から一定レベルの中間層までは所得に応じて家計を支え、それを消費に回していただきましょうという考え方です。
飯田)ご提案の内容では、年収1000万円程度以下となっています。そうすると、かなり多くの方々が対象になるということですか?
枝野)給与所得者で言えば、95%くらいの方は対象になります。例えば、配偶者がパートに出て学費を補っているとか、マンションのローンを補っていたり、パートの仕事がなくなって苦しくなっている人、共働きで子どもの教育費の計画を立てているなど、相当苦しい方はいる。でも、こういう方にはなかなか現金給付はやりにくいので、1年間だけですけれども、しっかりと消費できるように支えましょうという効果を狙っています。
飯田)この辺り、原資というのは国債ですか?
枝野)コロナ禍の時限的な景気対策ですので、所得税の減税と現金給付は国債でやる。この間やって来たGo To キャンペーンなどと比べれば、効果は大きいものだと思っておりますので、時限対策としてご理解いただけると思っております。
消費税、所得税を減税し、給付金を支給して庶民の生活を豊かにし、その分を消費に回して経済を盛り上げる
飯田)立憲民主党・枝野幸男代表のインタビューの模様を、経済政策に特化する形でお聴きいただきました。
ジャーナリスト・鈴木哲夫)わかりやすく言うと、消費税や所得税を減税するということと、あとは給付金です。これによって我々の庶民生活を少し豊かにして、その分のお金を消費に回して経済を盛り上げて行こうという、簡単に言うとそういうことです。
飯田)そうですね。
鈴木)消費税5%については、枝野さんは慎重だと言われていたけれども、そこはさすがリアリストの枝野さんです。消費税5%が野党共通の戦い方になっているから、野党候補の一本化ということを考えると、枝野さんもいずれそういう方向になるだろうと思っていましたが、やはりそうなりました。
減税は社会保障とセットでなければならない ~将来が不安であればお金は使えない
鈴木)ただ、これは枝野さんにも言いたいし、自民党にも言いたいのですけれど、「お金がたくさんあれば、それが消費に回って経済が回復する」と言いますが、絶対にセットで必要なのは社会保障なのです。収入が増えても、将来が不安だったら使いません。
飯田)将来が不安であれば。
鈴木)年金改革を含めて、社会保障に関しては今回、熱心な議論になっていません。経済対策と言うけれど、いくら収入が増えても、イコールすぐ消費には行きません。安心して使える社会保障がセットでないといけない。財源を含めて、そこはどうするのか。社会保障改革の問題について、そこまで野党も踏み込んでいない。でも自民党も踏み込んでいないのです。岸田さんが「年金はこのままでいい」と言ったのですから。
飯田)河野さんが年金改革をしようと話していましたが。
鈴木)そういう意味では、社会保障の争点で野党の議論をまた聞きたいと思います。セットでなければダメです。将来が不安であれば、お金が入っても使わないでしょう。
飯田)「貯金に回ってしまう」というのは、よく指摘されるところです。
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