米中「軍トップ同士のホットライン」存在の意義 ~中国が2021年8月に極超音速兵器の発射実験を実施
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年10月18日 17時35分
バイデン次期米大統領(ゲッティ=共同)、中国の習近平国家主席
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月18日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。中国が核弾頭を搭載可能な極超音速兵器の発射実験を実施したというニュースについて解説した。
中国が2021年8月に極超音速兵器の発射実験を実施
イギリスのフィナンシャル・タイムズ電子版は10月16日、中国が核弾頭を搭載可能な極超音速兵器の発射実験を実施したと伝えた。ミサイルは地上の標的を外したものの、中国の驚異的な技術力の向上に、アメリカ情報当局に驚きが広がったとしている。
飯田)2021年8月に発射実験を行ったと、複数の関係者の話として報じられています。
須田)音速の5倍以上、つまりマッハ5以上ということなのですが、極超音速ミサイルについては、「中国が実現して実験に移るだろう」ということは事前に予想されていました。そのような意味で言うと、順調に推移しているということです。
米中で軍トップ同士のホットラインが存在する
須田)ポイントは2つあります。1つ目は、このような開発競争が今後エスカレートして行くということです。もう1つは、戦闘行為に移るつもりはなかったのだけれど、「偶発的な戦闘行為になったときに、この種の兵器が使われるかどうか」ということです。
飯田)偶発的な戦闘行為になった場合に。
須田)セーフティネットと言うのでしょうか、偶発的な衝突からエスカレートして行くのを回避するために、どのような仕組みがつくられているのか、あるいはつくるべきなのか。この点についてですが、9月下旬にアメリカ議会で米軍のトップが公聴会に呼ばれましたよね。何の話かと言うと、それまで「ワシントン・ポスト」のエース記者だった方が本を出されたのですが、「トランプ政権下において、中国軍トップと電話連絡を2回ほど取っていたのではないか」ということです。「アメリカが中国を攻撃して来るのではないか」という懸念が広がり、その懸念を払拭するために、中国側へ連絡を入れていたということが本に書かれたのです。
飯田)中国側へ。
須田)それに対して、実際はどうだったのかということを議会で聞かれました。問題なのは、そのような軍トップ同士のホットラインがあるということです。政府のトップ同士のホットラインというのは、中国側が拒否しているので存在しません。
飯田)そうですよね。
須田)しかし軍のところでは、偶発的な衝突行動がエスカレートするのを防ぐために、「相手の真意を探る」という意味でのホットラインがあり、それがきちんと機能しているということがポイントです。
中国が開発兵器を使うことがないようにするための仕組みもできている
須田)もう1つのポイントとしては、軍が勝手に独走しないように、その辺りの文民統制、シビリアン・コントロールが効いているのかどうかというところです。当時の国防長官はエスパーさんがやっていましたが、きちんと報告して了解を取っているということでした。ただし問題なのは、トランプさんの耳には入っていなかったということです。
飯田)大統領には。
須田)問題はあるにせよ、シビリアン・コントロールが働いているということは言えるのかなと思います。これからは兵器開発競争の時代に入って行くのですが、「中国側はアメリカを上回るような兵器を開発したのだから使いたくなるはずだ」とか、「使いたくなる欲望に駆られる」という指摘が出て来るけれど、「そうならないための仕組みもきちんとある」ということを念頭に置いて考えた方がいいと思います。
日中におけるホットラインの必要性
飯田)ホットラインの部分で、かつての米ソ冷戦時代もキューバ危機があり、その後にホットラインができるという流れがあったことを考えると、この有無は大切になりますよね。
須田)「やられる前にやる」という先制攻撃が軍事のイロハのイだと思うのです。兵器を持っている、持たれているということが何かのトリガーを引いてしまう可能性もある。そのような場合に、ホットラインの有無というのは大きな意味を持つと思います。日中間にそのようなホットラインがあるのかどうかというところも、1つのポイントになって来ると思います。
飯田)日中間では、現場レベルでのホットラインをつくる、つくらないという話が取り沙汰されてはいますが、まだ動き出してはいないですよね。
須田)それを真剣に考えて、必要なのかどうかというところの議論も含め、このような事例をきっかけに考えて行かなければいけないと思います。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
北朝鮮が日本海に向け“弾道ミサイル”発射 韓国国防省「露への兵器輸出に向け試験的に発射の可能性」
日テレNEWS NNN / 2024年9月12日 12時2分
-
台湾国防省、中国は「完全侵攻」の能力ないと分析 他の手段警戒
ロイター / 2024年8月30日 18時43分
-
[社説]中国軍機が領空侵犯 緊張高めず冷静対応を
沖縄タイムス+プラス / 2024年8月29日 4時0分
-
日中関係の再考 その7 中国の強大な軍事脅威
Japan In-depth / 2024年8月26日 11時0分
-
素晴らしき「違法脱法ガンダム」の世界 「条約なぞクソ喰らえ!」で作られたチート機
マグミクス / 2024年8月22日 6時55分
ランキング
-
1野党、自民総裁選候補を批判=「改革周回遅れ」「今ごろ言うな」
時事通信 / 2024年9月12日 18時28分
-
2自民、19日に知事不信任案=全議員が辞職要求、可決の公算―斎藤氏は続投意向・兵庫県議会
時事通信 / 2024年9月12日 18時15分
-
3だから「辞職コール」でも絶対に辞めない…斎藤元彦氏のような「お殿様知事」を大量輩出する地方の根深い問題
プレジデントオンライン / 2024年9月12日 21時15分
-
4「給料の話をしたら1万円減給」“TCB東京中央美容外科”の理不尽すぎる罰金制度の実態「もう、全てが狂っています」
文春オンライン / 2024年9月12日 7時0分
-
5住民票の写し取得で市役所訪れると…「知らないうちに離婚届」発覚、偽造容疑で60歳の夫逮捕
読売新聞 / 2024年9月12日 23時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください