難行を成し遂げた大阿闍梨・塩沼亮潤「いま思うとネットがなくてよかった」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年10月26日 22時10分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(9月28日放送)に福聚山・慈眼寺住職、大阿闍梨の塩沼亮潤が出演。出家をするまでの経緯と修行の基本について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。9月27日(月)~10月1日(金)のゲストは福聚山で慈眼寺住職、大阿闍梨の塩沼亮潤が出演。2日目は、出家をした経緯と修行の基本について—
黒木)数々の荒業を成し遂げた大阿闍梨の塩沼さんなのですが、当時はいまのようにネットもなかった。ただテレビをご覧になって、修行をしている酒井雄哉さんを観て「自分もやりたい」と言ってお寺に入られたということですが、いかがでしたか?
塩沼)入ったときにいちばんきつかったのは、人間関係だったと思います。1つの社会ですので、社会の影響を受けた人たちが、まだ悟りきっていない人たちが集まるので、そのなかで社会と同じ、悶々とした「どうしてなぜ」ということに囚われるのです。「これでは駄目だ、自分を見つめ直そう」ということで厳しい修行の世界に入るのですが、いまになって仏教を勉強した一般の人から、「塩沼さん、釈尊は苦行を否定しているではないですか、でもなぜいまこのようなことをしているのですか?」と聞かれることがあります。
黒木)一般の方から。
塩沼)でも、「昔はネットがなかったから知らなかったのです」と言ってしまうのですが、和尚さんとか先輩の言われることに、「自分がそうだな」と思っても思わなくても、言われたことを敬意を払って実践して行くなかに、あらゆる囚われから解き放たれて行く自分がわかるのです。それはもう理屈ではないのです。頭で考えると迷路に入って行ってしまうかも知れません。
黒木)18歳で出家しようと考えて吉野のほうに行かれて、それから23歳で千日回峰行を始めるわけですよね。その5年間の間は何があるのですか?
塩沼)小僧の修行とお坊さんの基本を学ぶのですが、和尚さんや先輩は何も教えてくれないのです。後ろ姿を見て学んで行くしかないと言うのです。難しい勉強や厳しい修行を求めて行ったのですが、それは単なるアプローチで「日常生活が大事なのだ」と言うのです。和尚さんと一緒に生活をして、歩く姿や何かを手に取る姿から、かっこいいな、美しいなという、すべて理にかなっているものを和尚さんが背中で見せてくれているので、それを真似している内に、だんだんと薫陶を受けて来るのです。それが家庭ですよね。お父さんお母さんの後ろ姿に薫陶を受けて子供たちがそれを真似して行きますよね。家庭というのは大事です。
黒木)本当ですね。特に、塩沼さんはお母さんからとても厳しい躾があった。最初にものをもらった友達がお礼もしないということをお母さんに伝えたら、「そんなことは当たり前だ」と。「なぜお礼を期待するのか」と。
塩沼)はい。「一切、見返りは求めるな、人に尽くすときには見返りを求めるな」と、一段高い価値観を植え付けられたわけです。親の影響は大きいなと思います。
黒木)ご本を読ませていただくと、本当におっしゃる通りなのです。しかし、それを自分ができているのか、ということなのですよね。
塩沼)意外と人間は当たり前のことは、なかなか言及しないらしいです。
黒木)人として生まれて大切なことを3 つ挙げるとすると、「感謝と反省と思いやりの心」と書いてあり、私は全部に線を引いています。
塩沼)ありがとうございます。
黒木)大峯千日回峰行をされて四無業をされて、そしてその後にもう1 つされていますよね?
塩沼)はい。八千枚大護摩供と言います。これは100日間、五穀と塩を立つのです。ご飯は食べられるのですが、これがまた厳しいですね。味がしないので食べるたびに吐き気がするのです。しかし、いま思うとネットがなくてよかったと思いますね。塩を100日取らないなんてかなり危険らしいです。
塩沼亮潤(しおぬま・りょうじゅん)/ 慈眼寺住職 大阿闍梨
■1968年(昭和43年)、宮城県仙台市生まれ。
■小学生のとき、テレビで酒井雄哉大阿闍梨の比叡山千日回峰行を見て行を志す。
■1987年、高校卒業の翌年に吉野山金峯山寺で出家得度。1999年、金峰山寺1300年の歴史で2人目となる大峯千日回峰行を満行。
■2000年に四無行を満行、2006年に八千枚大護摩供を満行。
■2003年には故郷の仙台市秋保に慈眼寺を開山し現住職。大峯千日回峰行大行満大阿闍梨。「心の信仰」を国内外に伝えている。著書に『人生生涯小僧のこころ』『縁は苦となる苦は縁となる』ほか多数。最新刊は『幸いをいただきまして このひとときを大切に』。
◎大阿闍梨…弟子の模範になれる位が高い僧侶であり、中でも深い学識や高い徳を備え、千日回峰行などの厳しい修行を乗り越えた僧侶のみが「大阿闍梨」となる。
◎千日回峰行…数ある仏教の修行の中でも荒行中の荒行と言われ、比叡山や吉野・大峯山の山中を、悟りを求めて1000日歩き続ける。
◎四無行…「断食・断水・不眠・不臥(横にならない)」を9日間続ける。現代では千日回峰を果たしたものにしか許されない命を懸けた難行。
◎八千枚大護摩供…五穀と塩を断ち、100日間に渡り護摩を焚き上げる。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【売行き絶好調】創刊800号『家庭画報10月号』完売店続出!!
PR TIMES / 2024年9月10日 21時40分
-
『家庭画報10月号』創刊800号記念!BS11にてCM放送スタート
PR TIMES / 2024年8月30日 15時45分
-
《創刊800号》全国63軒「最高の宿、感動のホテル」/[特別対談]塩沼亮潤大阿闍梨+羽生結弦/百田夏菜子が纏うハイジュエリー/[100歳]人間国宝・志村ふくみ ほか『家庭画報 10月号』8月30日発売
PR TIMES / 2024年8月30日 11時45分
-
二子玉川「玉川大師」地下霊場で“暗闇修行”を体験 四国88カ所と同じ御利益
おたくま経済新聞 / 2024年8月28日 12時0分
-
千葉vs札幌 試合記録
ゲキサカ / 2024年8月22日 5時15分
ランキング
-
1【人気メニュー25品が対象】ガスト公式Xが「"ヤバイ"最新クーポン」を大放出中。税抜130円でドリンクバー飲めるの嬉しい...!
東京バーゲンマニア / 2024年9月12日 18時9分
-
2すき家、18日登場のドリンクが話題 「まじ美味いから嬉しい」「今年も通います」と反響相次ぐ
Sirabee / 2024年9月12日 15時45分
-
3【賛否】実は疑問の声も多い「退職時のお菓子配り」本当に必要? SNS「意味ない」「円満退社って感じになる」
オトナンサー / 2024年9月12日 7時10分
-
4大量閉店「ヴィレヴァン」経営が犯した最大の失敗 山ほどある判断ミス、一番まずかったのはこれだ
東洋経済オンライン / 2024年9月10日 10時0分
-
5焼肉「女性半額」は男性差別?「何をもって女性?」「映画のレディースデーも違和感あった」
オールアバウト / 2024年9月12日 22時5分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください