佐久間宣行 テレビ東京AD時代に強いられた「肉止め」とは
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年10月31日 9時0分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(10月20日放送)にテレビプロデューサーの佐久間宣行が出演。テレビ東京でのAD時代のエピソードについて語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。10月18日(月)~10月22日(金)のゲストはテレビプロデューサーの佐久間宣行が出演。3日目は、苦労したAD時代について—
黒木)子どものころは、どのような少年でいらしたのですか?
佐久間)福島のいわき市というところで浜に近かったのですが、アニメと演劇も好きなオタクでしたね。東京ではアニメの映画が単館でやっているとか、お芝居だと野田秀樹さんとか、東京サンシャインボーイズというのがいるらしいけど、いわきじゃ観られないしということで、東京の大学を受けたいなと思っている学生でした。
黒木)やはり、エンターテイメントの世界というものが念頭にあったわけですか?
佐久間)本当に好きで、流行っているお芝居やライブに行きたいと。だから、つくり手になることは、まったく考えていませんでした。
黒木)テレビ東京に入られてから制作を担当なさって、つくるようになられたのですか?
佐久間)そうです。
黒木)最初のころは、いかがでした?
佐久間)最初に深夜ドラマに配属されました。深夜ドラマには、局員はプロデューサーだけなのです。ディレクターはいないので、ドラマでADを局員がやるということは普通ないのです。しかし、配属された3日前にバイトのADが2人同時に逃げ出したのです。それで、バラエティに配属される予定が、急遽「お前、深夜ドラマいける?」って言われて、深夜ドラマのADをやったのです。
黒木)最初からADやったのですか?
佐久間)最初からADをやったのですが、最初の仕事が、撮影しているときに車を止めなければいけないという「車止め」だったのです。五叉路を1人で止めるという状態で。五叉路があって、その先に橋があって、そこでお芝居をやっているから車の通行を止めないといけないのですが、「何だ、この仕事」と思って、「この先やって行けるかな」と思いました。
黒木)でも、五叉路を止めたのでしょう。
佐久間)止めました。田舎道だったので。
黒木)最初から立派なお仕事をなさったのですね。
佐久間)でも、ドラマのADを志していたわけではないので、最初は辛いことばかりでした。でも面白い監督がいて、女子高生のお弁当見たいなものをつくったのですが、それを見て監督が、「この弁当がすごくいいできだから、本(脚本)を変えようか」ということがあったのです。それで「ADの仕事もちゃんとやれば面白いのだな」と思うようになり、徐々にいろいろな仕事が面白くなって行きました。
黒木)そこからバラエティ班に行った。
佐久間)深夜ドラマを1年間勤め上げて、バラエティに行きました。
黒木)テレビのお仕事で「逃げ出したい」と思ったことはありませんか?
佐久間)深夜ドラマのときはあります。深夜ドラマのときに、上がって来た脚本が無人島の設定だったのです。都内から行ける無人島をロケハンで探さなければいけなかったのです。三浦海岸の先の方に人気(ひとけ)のないビーチを見つけて、2日前から行って、無人島なのでゴミがあるといけないので、ゴミ掃除をしたのです。「ここだったら大丈夫」と監督のOKもいただいて、当時はアイドルが女優として出ていたので、東京から一緒にロケバスでアイドルたちと行ったのです。
黒木)アイドルの方が出ている時代ですね。
佐久間)しかし、たどり着いたら大学のサークルがバーベキューをやっていたのです。無人島の設定ですから、この瞬間、逃げ出したいと思いました。監督やみんながいるなか、「こちらです、無人島」と言った場所で学生がビール飲んでバーベキューをやっているのですから。
黒木)どうしたのですか、そのあと。
佐久間)監督に、「お前どうするんだ」と言われて、「ちょっと交渉してきます」って言って、「本当に申し訳ございません。ちょっと、500メートル、300メートルくらいずれていただければ、大丈夫なのですけれども」と言ってお願いしたら、聞いていただいたのですが、「300メートルってけっこうあるよね」と言われてしまいました。
黒木)そうですよね。
佐久間)それで、何とかずれていただいて。その代わりビールとかを差し入れして。それから撮っていると「カット」とかかって、「佐久間、ちょっとこのフレーム見てみろ」と。「肉の煙が上がっている」と言われました。「これってCGで消せないですかね」「深夜ドラマにそんな予算ないよ。肉焼くの我慢してもらってこい」と言われて、私は車止めではなく、「肉止め」という仕事もやったのです。インカムで聞きながら。そのときはいちばん逃げ出したくなりました。
佐久間宣行 / テレビプロデューサー
■1975年・福島県いわき市出身。
■早稲田大学卒業後、テレビ東京に入社。「ゴッドタン」「青春高校3年C組」「あちこちオードリー」など数々の番組を担当。バラエティ番組を作るカリスマ・プロデューサーとして活躍。映画「ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE」では監督・脚本も手掛けた。
■2019年にはテレビ東京の現役局員でありながら、ニッポン放送『オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティに就任。番組内の愛称は「船長」。多くのリスナーを獲得している。
■2021年、テレビ東京を退社。フリーのテレビプロデューサーとなる。
■今年6月には扶桑社から、『オールナイトニッポン0』の活動を書籍化した、『普通のサラリーマン、ラジオパーソナリティになる』が発売された。
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