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産油国と消費国の「いたちごっこ」は当分続く ~OPECプラスが原油の追加増産を見送り

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年11月6日 17時45分

産油国と消費国の「いたちごっこ」は当分続く ~OPECプラスが原油の追加増産を見送り

 ウィーンの石油輸出国機構(OPEC)本部=9日(ロイター=共同)

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月5日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。「OPECプラス」が原油の追加増産を見送ったことについて解説した。

ウィーンの石油輸出国機構(OPEC)本部=2020年4月9日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

OPECプラス、原油の追加増産の見送りを決定

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの産油国でつくる「OPECプラス」は11月4日、オンラインで閣僚級会議を開き、原油の生産調整計画の現状維持を決め、追加増産を見送った。世界的な経済活動の再開で需要が膨らみ、原油価格が高騰しているため、日本やアメリカは増産を求めたが、産油国側では慎重な姿勢が目立った。

飯田)代表的な指標の米国産標準油種(WTI)は、1バレルあたりおよそ82ドル前後となっています。

原油価格は平時にはマーケットで、有事には政治で決まる オイルショック以前は1バレル数ドルだった

宮家)82ドルですか。原油価格はそれ1つとっても、研究対象になるものなのですけれどね。私の結論を申し上げれば、原油価格、もしくはエネルギー価格は、平時にはマーケットで、有事には政治的に決まるということです。なぜかと言うと、エネルギーは最後には戦略物資になるからです。いまの状態は有事ではありませんから、基本的には平時ですよね。そうすると、平時で考えた場合はマーケットで決まるのです。原油価格の歴史を見ると、1973年と1979年に2度のオイルショックがありましたけれども、その前は1バレルあたり数ドルだったのですよ。

飯田)そんなに安かったのですね。

宮家)それが1973年に4倍くらい上がって、約10ドルになったわけです。

飯田)それでも10ドルくらい。

宮家)現在の価格で考えると大体20~30ドルだと思います。その後、10月戦争と言いますけれども、第4次中東戦争が73年に起きたときに「バーン」と上がった。日本ではトイレットペーパーがなくなって大騒ぎになりました。あのとき値段が数倍上がりましたが、90年代くらいまでは、アップダウンはありますけれど、平均20~30ドルで来ているわけです。しかし、最近では100ドルという時代もありました。

飯田)ありましたね。

コロナの収束で上がり始めた経済活動 ~60ドルくらいに落ちつくか

宮家)10年ぐらい前ですけれども。当時の中国やインドなどの新興国が経済成長して、原油の需要が増えたということもあった。でも、そのあとにコロナの影響もありますが、中国の経済がスローダウンします。それに従って値段も下がって来る。ところが値段が下がるとOPECが困るので、当然、生産調整をしようとする。各国とも自国はいちばん高いときに売りたいと思うので、みんな抜け駆けしたいわけです。「減らせ」と言われるけれど自分だけは減らさず、「自分だけ売ってしまおう」という人たちがいるので、OPEC内でも意見がなかなか統一できず、合意できなかったのです。しかし、今度また値段が上がったのは、コロナの減少もあって、いままで停滞していた経済活動が再開され、また値段が上がり始めるのではないかと。この時点でマーケットは反応するはずですからね。

飯田)思惑に反応すると。

宮家)歴史的に見ると、80や100、120ドルなどという時代もありましたが、1970~1990年代くらいまでは20~30ドルで徐々に上がって来て、私の体感では、いま50~60ドルくらいかなと。ですから、いまも高めにはなっていますが、この程度のアップダウンは平時のマーケットであれば当然あると思います。

飯田)このくらいのアップダウンは。

産油国と消費国のいたちごっこが当分続く

宮家)その前提で申し上げると、「OPECプラスが原油の追加増産の見送り決定」というのは、値段が上がるのですから、当たり前の話です。増産すれば値段が下がるわけですから。国によっては、1バレル100ドルくらいでないと国家財政がうまく行かない、もしくはいままで使って来たせいもあるけれど、お金が欲しいから「高値で安定して欲しい」というのが本音でしょう。しかし、それをやり過ぎると、また今度需要が急激に落ちたときに急落する。この繰り返しですよね。全体としては平均で50~60ドル、もう少し増えて来るでしょうか。当分は産油国と消費国の間で、いたちごっこが続くでしょう。OPECプラスにはロシアが入っていますから、なかなか難しいです。

価格の変動を先取りしてヘッジする

飯田)メールもいただいております。新宿区の“たかし”さんから。「コロナの爆発的拡大で原油価格、特に先物がマイナスになったときに番組にメールを出して、『どうせコロナ明けに原油価格が戻るのだから、いまこそ100年分買っちゃいましょう』と書いたら、宮家さんが『面白い意見だ、けれど難しいなあ』とおっしゃってくださいました。いやぁ、あのとき買い占めておけばな」と。

宮家)先物で「100年先」というのはないですからね。でも、これはおっしゃる通りですよ。素晴らしい感覚だと思います。値段は必ず戻るのですよね。

飯田)逆に、これこそが先物の効用のようなもので、価格の変動を先取りしてヘッジしておくというのが。

宮家)それが先物市場の意味ですから。そういう意味ではおっしゃる通りです。

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