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困窮世帯への「補填」と「経済対策」は分けてやるべき ~10万円相当給付

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年11月11日 17時30分

困窮世帯への「補填」と「経済対策」は分けてやるべき ~10万円相当給付

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月11日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。岸田総理が表明した10万円相当の給付金について解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

岸田総理、年収960万円の所得制限で10万円相当の給付を表明

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岸田総理)非正規など、経済的にお困りの世帯に対して、1世帯あたり10万円の現金給付を行います。また、コロナ禍で厳しい経済状況にある学生に対しても、就学を継続するための10万円の緊急給付金を支給いたします。子育て世帯に対しては、年収960万円を超える世帯を除き、18歳以下に1人あたり10万円相当の支援を行います。

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飯田)子育て世帯に対して年収960万円の所得制限を設けた上で、現金とクーポンを合わせて10万円相当の給付を行う。それから、産経新聞が1面トップで報じていますが、経済状況の厳しい学生に対して10万円の支給をする。あるいは、非正規で働く人など経済的に困窮している世帯にも10万円を出すという対策も出て来ています。

鈴木)「経済対策」ということがポイントになっています。総選挙でも、有権者の関心を集めた争点は経済がいちばん大きく、次がコロナです。コロナと経済はリンクしていますから、表現はよくないけれども、「有権者は、コロナと経済対策を合わせて何とかして欲しいと思っている」という選挙だったと思います。

「コロナと経済対策」の2つの柱 ~「補填」と「経済対策」

鈴木)それに応えるための政権が選ばれた以上、何をやるか。「経済対策だ」と言うけれども、私は2つ柱を立てて欲しいと思います。1つはコロナ対策なのだけれど、この1年10ヵ月くらい、私は「コロナ難民」という言葉を使っています。コロナで傷ついた人、収入がなくなった人、商売を諦めた人、亡くなった人、その遺族や学生など。子どもももちろん、ひとり親の家庭もそうだし、とにかくあらゆる人がお金を失って大変苦労して来ているわけです。

飯田)コロナ禍で。

鈴木)そこに対する1つの柱は「補填」だと思うのです。使ってくださいとか、何をしてくださいではなく、とにかくそこに対して「1回補填をしましょう、支援をしましょう」という。まず、経済対策の柱の1つは「補填する」ということだと思います。

飯田)補填。

鈴木)それでスタートラインに並ぶまでには行かないかも知れませんが、ある程度補填をしたあと、次に何をやるかということです。ある意味では投資として、世の中を回して行くきっかけになるお金を経済対策の2つ目の柱とする。この2つを分けてやらなければいけないと思います。

貯金の穴埋めが悪いことなのか

鈴木)今回の、公明党が公約していた子ども1人に10万円という対策。これが揉めて、結局5万円は現金、5万円はクーポンになりました。この対策が象徴しているのだけれど、「10万円給付の目的は何なのか」という話です。私の分類では前者に入るのです。

飯田)補填の部分に入る。

鈴木)苦労している子育て世帯で、お母さんは働いてお金を稼いでいるのだけれど、子どもが学校に行けないので、お母さんが家にいなければならず働けない。そういう人は、貯金を切り崩すなどして生活して来たわけです。「現金で配ると貯金の穴埋めになってしまう」と言いますが、それは悪いことですか? そうではないでしょう。何となく「貯金に回ってしまうから」と政治サイドは議論しているけれど。

飯田)「全部現金で渡すと」ということですよね。

「5万円のクーポン」は「使え」ということ

鈴木)「現金を皆さんが失った貯金の穴埋めに使ってください。そこはいいですよ」という、そのための10万円だと思っていました。ところが、それをさらに分けて5万円は現金、5万円はクーポンということは、「5万円は絶対に使え」ということでしょう。

飯田)期限があるかも知れないですね。

2021年11月9日、発言する岸田総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/100_kishida/actions/202111/09kaigi.html)

国民全員に一律で配り、収入の多い人は課税所得にして年末に調整する

鈴木)中身はこれからだけれど、「使え」ということは、「市中にお金を回そう」ということです。それは私が言った「経済対策」に近いわけです。もしくはコロナと経済をミックスしてしまった。そういう意味では、私は今回の10万円について、「補填」の部類に入るお金だと思います。産経新聞が記事にした学生への対応もそうだし、非正規の人もそうだし、そういうところに対しての補填です。そう考えると、どの分野という色分けをせず、一律にみんなに出すべきです。収入が高い人もいるわけだから、それは年末に調整して、もらい過ぎた人は戻せばいいのです。

飯田)これを課税所得にして。

鈴木)色分けや区分けをして、それぞれに大義がついているけれど、私は何となく逆に総花的な印象を持ちます。もっと集中投下して、自由に使っていいお金にして欲しい。「どうぞ貯金でもしてください。人生設計に役立ててください。そして、こちら側はその上で使ってください」と、その辺りの棲み分けを経済対策のなかでやって欲しいと思います。

飯田)補填に特化するのであれば、マイナンバーがもっと普及していて、収入が把握できているなら、給付付き税額控除もできる。一律で10万円にするというのは、困っている人は貯金なり何なり補填してもらう。「使える人から使ってくださいね」と、「経済を一部回して行かなければならないから」と言う方が、説明もすっきりします。

鈴木)なぜ貯めるのかと言うと、いままで貯金を切り崩して来たため、そこを補填しなければならない。さらに言えば、貯金するのは将来に不安があるからですよね。そのために貯金をするわけでしょう。

社会保障の議論が必要 ~いまから議論しなければ間に合わない

鈴木)不安を解消するために、岸田内閣にやって欲しいのは、社会保障です。総裁選、総選挙と続けてありましたが、「お金を使っても将来が多少は安心だ」という、社会保障に関する仕組みについては議論されていません。

飯田)かつては大きな争点で、「一律7万円」という提案を出す党もありました。

鈴木)私は提案としてはありだと思います。それを議論して欲しいのだけれど、社会保障の議論から逃げている感じがします。社会保障を言うのであれば、「財源は税金で」などという議論になって来る。すると「増税は選挙に馴染まないから今回もまた避けた」という感じがするのです。しかし、将来を考えれば必要なことです。社会保障は一晩でできる話ではないので、いまから議論しなければ間に合わないですよ。

団塊ジュニアの年金受給開始は2040年 ~どう対処するのか

飯田)団塊の世代については2025年問題などと言われますが、後期高齢者化して行く。一方で、団塊ジュニアの存在があり、このボリュームゾーンの年金受給開始が2040年です。ここも1つの山を迎えますが、就職氷河期世代と被っていて、「保険料を払うどころではなかった」という人たちが、このまま生活保護に行くのか。あるいは低年金、無年金をどうするのかという大きな問題があります。

鈴木)大変なことになりますよ。いまの30代~40代、それよりもっと若い人など、この辺りは少子高齢化で本当に大変なことになる。財源もない。その次の世代の年金を支えるのは、そのときの現役世代です。その数が少なければ、財源はどうするのですか? 年金をもらえませんよね? そういうことを考えると、いまからやらなければいけないのに、まだ逃げ続けているのかということです。

飯田)いまからやらなければ間に合わない。

岸田内閣には社会保障改革を考えて欲しい

鈴木)岸田内閣には命をかけてでも、年金改革も含めて社会保障改革をどうするのかを考えて欲しい。増税しなければいけないのなら、それでもいいです。しかし、一方で維新が言うように、身を切る改革もしながら、とにかくみんなで厳しいことについても考えていただきたい。社会保障から逃げて欲しくないのです。そこがしっかり見えて来れば、お金が増えたら貯金しないで使いますよ。将来を見据えた、社会保障とのセット論というのでしょうか。この辺りも岸田さんがやってくれたらと思います。

飯田)経済成長もさせなければいけない。分配もそうだけれど、成長についても言わないと、いろいろな意味で齟齬が生じます。

鈴木)そうなのですよ。今回は成長がちょっと弱いでしょう。

飯田)会見を見る限りは、分配色が強かった感じがします。12日や19日の補正予算などでメッセージが出るのかも知れないですけれど。

鈴木)経済対策の柱の2つ目、「成長」に注目です。

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