“中東で一番有名な日本人”鷹鳥屋明「アラブには『石油王』などいません」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年11月23日 8時10分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(11月16日放送)に中東きっての有名日本人サラリーマン、鷹鳥屋明が出演。現在の中東が抱える諸問題について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。11月15日(月)~11月19日(金)のゲストは中東きっての有名日本人サラリーマンである鷹鳥屋明が出演。2日目は、中東が抱える問題について—
黒木)サウジアラビア、そしてアラブ首長国連邦などがある中東エリアですけれども、そこには私たちがイメージするような「石油王」はいないのですね?
鷹鳥屋)「石油王」というようなタイプの人はいません。
黒木)それは、国が利益を管理して、国民それぞれに行き渡っているということなのですね。
鷹鳥屋)その通りです。石油公社や国営企業が全部管理しておりますので、そこは政府に還元されて、それがまた国民の社会福祉などに還元されて行くというような仕組みになっています。単品で石油を取り扱ってリッチになった石油王というのは、広義の意味では、各国々の国王がもしかしたらそれに該当するのかも知れませんが、よく皆さんが考えられるような石油王はいません。石油会社の公務員はいますが。
黒木)そのなかで、王族とされている方々が何万人もいらっしゃって、配当金は違うけれども、皆さんに石油の利益を還元している。
鷹鳥屋)各職務に就いていて、職務に合わせてお給料が入っているという認識です。もちろん、王族の方でも、公官庁の大臣をやっていたり、官僚になっている人もいれば、国からの王族年金などをもらって、それを元手に事業をされている王族の方もいらっしゃいます。
黒木)税金がほとんどないのですって?
鷹鳥屋)税金はほとんどなかったと言っていいのですが、実はここ最近、初めて消費税に近いものが導入されまして、ものやサービスを買ったときに何%か付加価値税がつくのです。いままでは、石油の富だけで国家運営が何とかできたのかも知れませんが、国民からも徴税をする仕組みになったということは、それだけでは立ち行きにくくなったということでしょう。
黒木)鷹鳥屋さんの『私はアラブの王様とどのように付き合っているのか?』というご本を読みまして、「中東というのはこういうことなのだ」というのを、私なりに浅く理解させていただきました。若者たちの雇用問題など働き口が少ないという課題もあって、王族の方々が、クーデターが出ないように尽力を尽くしていらっしゃるということが書かれてあったのですが、その辺りはいかがですか?
鷹鳥屋)かつて、「アラブの春」という民主化運動が起こりました。いろいろな独裁政権がSNSと民衆の力によってドミノ倒し状に倒れて政権が交代したのですが、いまの王政国家の国々もそうならないよう、気を遣っています。
黒木)同じことが起きないように。
鷹鳥屋)国民がクーデターや反乱を起こさないように国家運営をすることが大事だということで、産業の育成と失業率の低下。国として産業を強くして、国を強くして行きたいという思惑があるのです。それに合わせて、石油で潤ったお金をいろいろな産業に投下して、それを育てようという動きが盛んになっています。
黒木)観光やエンタメ文化事業にも手を伸ばしていらっしゃるのですって?
鷹鳥屋)30数年前までは、映画館は公序良俗に反するという理由で、とある国ではなかったのです。いままで自分たちの国の人たちが映画を観るために国外まで行っていたということは、国内にお金が落ちなかったわけなのです。だから、映画館をつくって、さらに自分たちでフィルムやアニメをつくって流した方が、国内でお金の流れが完結するのです。そういう動きがどんどん起きています。
黒木)変わりつつあるわけですね。鷹鳥屋さんが最初に中東に足を運ばれたのはいつごろですか? 青年交流団で行かれたとき?
鷹鳥屋)もともとは、中国とトルコを勉強していたのです。当時、仲のよかった、サウジアラビアにある日本大使の娘さんがいて、その娘さんと仲よくなったので。その方は高校の3年間をサウジアラビアのリヤドで過ごしたのですが、そのころの話がすごく面白くて、「これは行ってみたいな」と思ったのです。そんなころ、外務省の「日本サウジアラビア青年交流団」があったので、そこで申し込んで受かって行きました。
鷹鳥屋明(たかとりや・あきら)/中東きっての有名日本人サラリーマン
■1985年・大分県出身。
■大分舞鶴高校、筑波大学卒業後、大手メーカーや商社、NGOに勤務したのち、サウジアラビアへの滞在や、バーレーン、カタール、UAE、ヨルダン、パレスチナを
めぐるなかで中東世界へ興味を持つ。中東情勢を学びながら日本と中東をつなげるべく、メディアを活用し・日本文化のアラブ向け宣伝活動を行う。
■SNSでは現在、およそ10万人のアラブ人たちからのフォローを集める。中東各国で過ごした経験から現地で行われるイベントの企画なども行う。
■外国人タレントとして、中東でCMや広告、メディアにも多数露出。
■本人もオタクであり、中東で人気のアニメや漫画に関して造詣が深く、日本のコンテンツを中東に広げるべく活動を行う。
■本業はサラリーマン。 日本のエンタメ事業企業に勤務。
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