感染者が少ない日本は「オミクロン株」が拡大するリスクが高いという「仮説」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年11月30日 17時30分
外国人の新規入国原則停止を明日に控えた関西国際空港入国審査エリアは閑散としていた=29日午後4時52分、関西国際空港
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月30日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。変異ウイルス「オミクロン株」について解説した。
変異ウイルス「オミクロン株」の感染拡大を受けて、外国人の新規入国を原則停止
新型コロナの新たな変異ウイルス「オミクロン株」の世界的な拡大を受けて、岸田総理大臣は11月29日、すべての国を対象に新規入国を原則停止すると表明した。この措置は当面1ヵ月間実施する予定だ。世界保健機関(WHO)はオミクロン株について「世界的に拡散する可能性が高く、危険性は非常に高い」と各国に警戒を呼び掛けている。
早い対応をした日本政府
飯田)まだ、どういうものかわからないところがありますか?
クラフト)その通りです。わからないので、過剰反応するべきではないのですけれど、逆にわからない分だけ、今回は政府の決断が早かった。これは評価するべきではないでしょうか。
飯田)いままでとは大分違うなという感じですよね。「もう?」みたいな。
クラフト)いままでの教訓を得て、早め早めの対策で対応しようとしているのではないでしょうか。
飯田)先日、規制を少し緩めるという話が出て、それが運用され始めたばかりでした。
クラフト)状況は日に日に変わりますので、経済活動を進めて行くなかで、情勢が今回のオミクロン株のように変われば、とにかく早い決断で対応して行く。そして、オミクロン株のデータが出て来て、「大したことがない」となったら緩めればいいし、逆に高い危険性が立証されれば、さらなる政策を打って行けばいい。臨機応変に対応することが大事だと思います。
アメリカでも「オミクロン株」の感染は始まっている
飯田)南アフリカで新たな変異株が見つかったという発表があってから、瞬く間に世界中で見つかり出しました。
クラフト)日米の高官と話したのですけれども、アメリカについては「もうカナダで発症しているし、水際対策が厳しいオーストラリアでも見つかっているので、ほぼ間違いなくアメリカでも感染が始まっている」と言っていました。
飯田)アメリカでも。
クラフト)アメリカ政府は、「データがないのではっきりしたことは言えないが、感染力は高い。ただ、重症化、致死率においては、現在のワクチンがまったく効かなくなることはないであろう」という見方をしています。最良な対応策としては、3回目のブースター接種に舵を切っているということです。
飯田)頭打ちと言われていますが、アメリカでも、ある程度は2回目のワクチン接種を終えた人はいると。そうすると3回目の接種で対応して行く。これは、水際対策にも限界があるというところで、その方向でやって行くしかないということですか?
クラフト)水際対策はあくまでも時間稼ぎです。時間を稼いでいる間に、3回目のブースター接種で対応するということです。これから日本政府もそういう対策に乗り出して来ると思います。
発展途上国でもワクチンが普及するように先進国が配慮するべき
飯田)世界中で3回目接種の重要性がクローズアップされて来ると、またワクチンの争奪戦になりますか?
クラフト)そうなのです。それもあって日本はすぐにブースターを打てないでしょうし、先進国がワクチンを買い占めていると、発展途上国にワクチンが行き渡らない。そして今回のように、ワクチンが普及していない南アフリカで変異株が生まれて、それが先進国に戻るという形になった。
飯田)そうですね。
クラフト)先進国でワクチンを打つのと同時に、発展途上国でもワクチンが普及するように先進国が配慮しないと、いたちごっこになってしまいます。
飯田)結局、人から人へ感染して行くなかで、いろいろな変異が起こって来る。
クラフト)そういうことですね。
1つのウイルスだけが感染拡大する ~感染者が少ない日本は「オミクロン株」が拡大するリスクが他の国より高い
クラフト)日米両政府が言っていたことなのですが、通常、2つのウイルスが競争して感染拡大すると、両方のウイルスの感染が拡がることはないのです。通常は、1つのウイルスが主流になって感染拡大していると、他のウイルスは入って来ないのです。
飯田)2つが同時に感染拡大することはない。
クラフト)いまアメリカでデルタ株の感染が拡がっています。おそらくデルタ株が拡がっているなかで、このオミクロン株が入って来て、急激に増えることはないのかも知れません。ただ、その仮説が正しいとすれば、いまの日本はコロナ感染がほとんどない、ウイルスが少ない状況です。そこにオミクロン株が入って来ると、感染拡大するリスクは他の国よりも大きいかも知れません。
飯田)その辺の状況も、今回の早い決断の後押しになりましたか?
クラフト)なったかも知れませんね。
「オミクロン株」のデータがわかるまで慎重に対応するしかない
飯田)そう考えると、既存のデルタ株とオミクロン株、「どちらが強いか」というのを、ヨーロッパやアメリカではこれからやって行くわけですね。
クラフト)大事なのは重症化・致死率です。まったくデータがないので、これからわかって来ると思いますけれども、いずれにせよ日本での感染が低い要因としては、マスクをしているということです。
飯田)日本人は外では必ずマスクをしています。
クラフト)海外ではやっていません。とにかくデータがわかるまで、マスク着用を含めて十分な対策を講じて行くしかないでしょうね。
飯田)日本は、いまのところはワクチン接種率に関して、諸外国と比べると成績がいいという状況ではあります。
クラフト)これも仮説なのですが、基本的に自然はバランスを取りますから、感染力が強いウイルスは重症化・致死率は低いことが多い。逆に感染力は弱いけれど重症化の確率は高いなど、このようにバランスを取ると言われているので、オミクロン株も感染力が強いけれど、重症化・致死率は低いのではないかということになります。しかし、データが出て来ない限り、そこはわかりませんので、それまでは慎重に対応して行くしかないですね。
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