発症者の9割が女性という病気「視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)」について知っておきたいこと
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年12月25日 21時0分
12月25日(土)、横浜市立大学附属病院 脳神経内科 准教授の竹内英之氏が、ニッポン放送のラジオ特別番組「第47回ラジオ・チャリティ・ミュージックソン」にゲスト出演。「視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)」という、病名すらあまり知られていないこの病気を1人でも多くの人に知ってもらう為、代表的な症状や検査方法、どこに受診したらよいのか、治療における大事なポイントなどを説明した。
■「視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)」とはどんな病気か?
NMOSDは、自分の細胞を間違って攻撃してしまう「自己免疫疾患」のひとつで、脳や脊髄の病気です。人の体は「免疫」によって細菌やウイルスなどの外敵から身を守っていますが、免疫に何らかの異常が起こり、自分の体の細胞を「外敵」と間違えて攻撃してしまうことがあり、このような病気を「自己免疫疾患」といいます。
NMOSDの場合は、抗アクアポリン4(AQP4)抗体という自己抗体によって、脳や脊髄、視神経に炎症が起こることが特徴です。
■発症するのは9割が女性。全国で約5000人の方が悩まされている。
2017年に行われた全国調査によると、全国で5,000人弱おられると推定されています。9割が女性で30~40歳代で発症することが多いですが、小児から高齢の方まで幅広く発症が報告されています。遺伝はしませんが、シェーグレン症候群や全身性エリテマトーデス(SLE)など、他の自己免疫疾患を合併することがあります。
■様々な症状があり、季節や体調によって変動することも……
脳や脊髄、視神経の炎症にともなう、様々な症状があらわれます。同じ患者さんでも季節や体調によって変動することがあります。
▼視神経の症状
目の奥の痛み、急な視力の低下、視野が欠ける、色の区別がつかないなど。
▼脊髄の症状
手足の麻痺や脱力、しびれや痛み、尿や便が近い、出にくい、漏れるなどの排尿排便障害がみられることも。
▼脳の症状
炎症が起きた部位によって多様な症状が現れ、NMOSDに特徴的な症状としては、何日も続くしゃっくり、吐き気や嘔吐、強い眠気など
▼疲労や倦怠感
NMOSDの患者さんの多くは、疲労や倦怠感で悩まれていて、体を動かした後に酷い疲れやだるさを感じたり、時には起きたばかりなのにひどいだるさを感じることもあります。
▼ウートフ現象
特徴的な症状として「ウートフ現象」と呼ばれるものもあり、運動や入浴、体温の上昇で、一時的に症状が悪化することがあります。体温が高くなり、神経の伝わりが悪くなることが原因のため、体温が下がると症状は回復します。
■NMOSDの検査について
まずは問診で経過や症状を詳しく聞き取り、言語機能、目の動きや視野の検査、運動や感覚の検査などで神経の異常がないかを診察します。また、眼科検査で網膜や眼底の状態を確認し、血液検査や脳脊髄液検査で病気の原因である抗AQP4抗体があるかどうかなどを調べます。MRI画像検査で脳や脊髄の画像を撮影し炎症部位がないかも確認します。
■1回の発作で失明や歩行障害などの症状が残ることも……
NMOSDは最初の発作で重い症状が現れることが多く、数時間から数日間で急激に進行することがあります。この時期を「急性期」と呼びます。いったん、症状は落ち着きますが、その後、再発予防などの治療をせずに無治療の場合、1年に1~1.5回の頻度で再発するといわれています。1回の発作で失明や歩行障害などの症状が残ることもあり、再発を繰り返すと後遺症が増え、重症度が進んでしまいます。
■NMOSDの治療
症状が急激に進行する「急性期」には、炎症をできるだけ早く抑え、後遺症が出ないようにする為に、白血球の暴走を止めるステロイドの大量点滴や血液そのものを入れ換える血液浄化療法などの治療を早く始め、集中的に行う必要があります。
また急性期治療後は、再発を予防するための免疫を抑える薬を用いた治療を行います。再発予防治療は、その時点で出ている症状を治すための治療ではなく、次の再発が起こらないよう予防するための治療です。一度の再発で、障害や後遺症を強く残すことがありますので、定期的に受診し継続して治療を行うことが大変重要です。後遺症に対しては、痛みやしびれ、疲れやだるさなど症状に応じた対症療法を行います。まひや筋力低下にはリハビリテーションが有用です。
記事監修:中外製薬株式会社
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