『子ども家庭庁』の意義と課題 ~組織をつくるだけでなく「どう運用されるか」が大事
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年1月7日 17時35分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月7日放送)に株式会社「千正組」代表取締役の千正康裕が出演。通常国会に提出される「子ども家庭庁」の設置法案について解説した。
子ども家庭庁
1月17日召集予定の通常国会に提出される新しい法案のなかに、子どもに関連する施策の司令塔となる「子ども家庭庁」の設置法案がある。総理大臣直属の機関で内閣府の外局にするようだが、専任大臣を置き、他省庁の大臣に対して改善を促す「勧告権」を持つという。厚労省や内閣府が担当する保育所や児童手当、児童虐待防止対策という福祉分野を中心に移される予定で、幼稚園や義務教育の分野は調整が難航したため文科省に残るとされている。
飯田)私の息子は6歳なのですが、いままで保育園に通っていて、「保育園だと厚労省の所管で、幼稚園だと文科省の所管です」と言われ、こんなところにも違いがあるのだと思いました。いままで、子ども1人に対しての縦割りの弊害があったのですか?
千正)私が厚労省で最も長くやっていたのは、子ども関係なのです。今回、厚労省の子ども関係の部署が「子ども家庭庁」に行くのですが、まさにそこにいました。
分かれていた「子どもの福祉」が1つになることは前進 ~組織の縦割りは「0」にはできない
千正)幼稚園の問題もありますが、縦割りの問題は、いまの内閣府と厚労省の間にもあるのです。例えば児童手当は内閣府、保育は厚労省というように。教育と保育、子ども福祉などの縦割りもありますが、子どもの福祉のなかでも分かれていたのです。少なくとも今回、そこが一緒になる。それに関しては1歩前進だとは思います。
飯田)そこが一緒になることは。
千正)本当は幼稚園も保育園も一緒になれば、それがいちばんいいのだけれど、何を一緒にしても、組織の縦割りは0にはできないのです。
飯田)漏れてしまうものがどうしても出て来る。
千正)子どもの分野を1つの役所にします。では、その人が成長して若者になったとき、「この人たちはまた別の役所なのですか」という問題が必ず出て来る。なるべく1つにした方が意思決定などを調整しやすいから、似たものを塊にした方がいいのですが。
組織をつくるだけでなく、「どう運用されるか」が大事
千正)もう1つは、別の役所にあったとしても、両方の観点を踏まえていい決定ができるかということ。そこが、司令塔機能の強化です。担当大臣を置いて、総理直属というところも入っているので。要するに文科省や厚労省など、他の役所よりも子どもの分野について、一段高いところにいるような組織ができるということです。
飯田)他の役所より。
千正)しかし、法律で組織をつくるのは骨格だけです。「偉い役所ですよ」ということより、「どう運用されるか」ということが大事です。それと、強い役所をつくれるかどうかは、どういう人員を連れて来るかによります。
飯田)なるほど。まだまだこれからというところですね。
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