米が振り向かなければ、北朝鮮はどこまでエスカレートするのか ~今年6回のミサイルを発射
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年1月29日 17時50分
10日、平壌の朝鮮労働党本部で演説する北朝鮮の金正恩党総書記
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月28日放送)に外交評論家・内閣官房参与の宮家邦彦が出演。1月27日に日本海へ向けて弾道ミサイルを発射した北朝鮮について解説した。
北朝鮮が弾道ミサイルを発射
北朝鮮は1月27日午前、東部の咸興付近から北東方向の日本海に向けて短距離弾道ミサイルと推定される飛翔体2発を発射した。飛行距離はおよそ190キロで、最高高度は20キロほどとのこと。北朝鮮による発射は2022年に入って6度目となり、極めて高い頻度で繰り返されていて、軍事力を強化する姿勢を鮮明にすることで、アメリカを強く牽制する狙いがあるとも見られている。
飯田)いろいろな分析がなされていますが、どうご覧になりますか?
発射はあくまで開発のための実験
宮家)おじいさん(故・金日成主席)の生誕110周年が4月だとか、お父さん(故・金正日総書記)の生誕80周年が2月16日であるから、というようなことが言われていますが、ミサイルは記念日の打ち上げ花火ではありません。彼らは生き残りのために核兵器を開発しているのです。「北京オリンピックがあるから」と言う方もいますが・・・。
飯田)その前に撃ち尽くすという話もあります。
宮家)基本的には、核兵器を開発するために設計して、プロトタイプをつくり、試験をして、うまくいったら実際に配備するのです。その試験をしているのです。弾道ミサイルだけではなく、いろいろなミサイルがあるわけだから、それらをすべてテストしているのです。もちろん、許されることではありませんけどね。
いまのアメリカが振り向くことはない
飯田)ある期限を切って、それまでに撃つということではなく。
宮家)たまたま試験可能な時期が新年になっただけで、彼らは常に粛々と開発しているのだと思います。生き残りのためです。
飯田)よく言われるのは、とにかくアメリカを振り向かせるためだと。
宮家)そう、「振り向いて欲しい」わけですよ。でもアメリカが振り向くことはないですね。今バイデンさんのアメリカにはウクライナ問題があり、国内問題があって、中国問題もある。ミサイルを撃ったところで、北朝鮮の希望通りには振り向いてもらえないのではないでしょうか。
アメリカが振り向かず、生き詰まった場合、長距離ミサイルを撃つのか、核実験をするのか
飯田)各国の反応です。朝鮮中央通信は、国防科学院が25日に長距離巡航ミサイルを2発発射し、27日には「地対地戦術誘導弾」を2発発射したと報じています。EUの外務省に当たる欧州対外活動庁の報道官は、この2発の発射について、「世界や地域の平和と安全への脅威だ」と非難する声明を出しています。これが短距離弾道ミサイルとなると、国連決議とどう絡むのかというところですね。
宮家)どちらにしても、あの人たちは決議なんて無視していますからね。問題は、このままアメリカが全然振り向かず、北朝鮮が「行き詰まった」と感じた場合、ICBMのような長距離ミサイルを撃つのかどうか。あるいは、さらに核実験をやるのかどうか。これは「またか」では済まないわけです。そちらの方は、我々も懸念を強めなければいけないと思います。
国家安全保障戦略の改定
飯田)国家安全保障戦略の改定が今年(2022年)あるということですが、その書きぶりも変わるのでしょうか?
宮家)一般論では、そうでしょうけれどね。北朝鮮のミサイルももちろん困るけれど、やはり中国のことも考えつつ、ミサイルという点ではロシアも持っていますから。そういう意味では、敵基地攻撃能力などが……。
飯田)取り沙汰されていますけれど。
宮家)今の日本は、そういう概念を越えた、より大きなコンテクスト、より大きな見方で、「どう抑止するのか」ということを考えなければいけないと思います。「敵基地」云々はその一環として出て来る話です。
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