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ハワイで発見された新種の鳥が小笠原にも生息していた奇跡

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年3月31日 21時18分

ハワイで発見された新種の鳥が小笠原にも生息していた奇跡

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(3月23日放送)に鳥類学者の川上和人が出演。小笠原の無人島に生息する固有の鳥について語った。

オガサワラヒメミズナギドリ ~平成 27年3月24日 独立行政法人 森林総合研究所 プレスリリース『ついに発見!オガサワラヒメミズナギドリの営巣地 -謎の希少鳥類は、小笠原の国有林に生き残っていた-』より

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。3月21日(月)~3月25日(金)のゲストは鳥類学者の川上和人。3日目は、小笠原の無人島で発見された「オガサワラヒメミズナギドリ」について—

黒木)小笠原諸島はその島ごとに特徴があるので、「東洋のガラパゴス」とも言われているのですって?

川上)そうですね。ガラパゴス諸島はダーウィンが昔ガラパゴスに行ってさまざまな生物を見つけたことで有名ですよね。

黒木)小笠原諸島にも、そこにしかいないメグロという鳥がいたり、他にも……。

川上)他にも小笠原でしか繁殖していない「オガサワラヒメミズナギドリ」や「オガサワラカワラヒワ」という鳥がいたり、固有の鳥がたくさんいます。

黒木)川上さんが研究なさったのですか?

川上)オガサワラヒメミズナギドリは、新種として発表されたのが2011年で、わずか10年前のことなのです。

黒木)2011年ですか。

川上)この鳥が最初に発見されたのはアメリカのハワイなのですけれども、ハワイで昔の標本を探していたら変わった鳥がいて、調べてみたら新種だということがわかり、2011年に発表されました。その鳥が発表されたときに、実は私たちが同じ鳥を小笠原で見つけていて、2012年に「この鳥は小笠原に生き残っています」という内容の論文を書いて発表しました。

黒木)小笠原に生き残っていると。

川上)それがオガサワラヒメミズナギドリです。

黒木)でも絶滅の危険性が高いのですね。

川上)非常に個体数が少なくて、現在、生き残っているのは、世界中で100羽以下とも言われています。

黒木)世界中で、ですか?

川上)世界中で100羽以下の可能性があります。

黒木)父島列島の東島というところですか?

川上)そうです。

黒木)この巣を川上さんが発見されたのですか?

川上)2015年に調査に行ったのですけれども、この鳥がいる東島は小さな無人島なのです。繁殖しているのが時期としては冬になります。冬の無人島には船に乗っていくのですが、冬は海が荒れやすいのでなかなか調査に行けないのです。そしてこの鳥は夜行性なのです。だから夜に調査をしなければならない。無人島に冬で泊まり込みに行かなければならないのです。それで発見が遅れたということもあります。

黒木)調査する条件が厳しいので。

川上)そのときはうまく島に渡ることができまして、調べた結果、この鳥の巣を見つけることができました。

黒木)何人くらいのチームですか?

川上)このときは4人だったと思います。

黒木)何日くらい?

川上)これは1泊2日です。本当はもっと長くいたかったのですけれども、すぐに海が悪くなってしまうので、長期間現地に入ることができませんでした。

黒木)そして、やはり同じ絶滅に近いというオガサワラカワラヒワという鳥ですが。

川上)「カワラヒワ」という鳥が本州にもいるのですが、以前はその亜種、同じ種類だと言われていました。しかし、私たちの研究でDNAを調べたら、「これは別種にすべきだ」ということがわかり、2020年に書いた論文で「これは別種にすべきだ」という内容のものを書きました。

黒木)別種にすべきだと。

川上)確かにその通りだということで、今年(2022年)の9月くらいから別種として認められるのではないかと思います。

オガサワラカワラヒワ 出典:環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/nature/kisho/hogozoushoku/ogasawarakawarahiwa.html)

黒木)このオガサワラカワラヒワの写真がありますが、これは川上さんがお撮りになったのですね。

川上)私が撮りました。

黒木)これは何島でお撮りになったのですか?

川上)小笠原の南の方にある南硫黄島という無人島で撮った写真です。

黒木)ここも無人島なのですか。

川上)この島は過去に人の住んだことのない島で、自然がとてもいい状態で保たれている島なのです。その自然を守るためにいま、小笠原の人たちと一緒に研究をしたり、さまざまな外来生物の駆除事業を行政が行っています。

黒木)絶滅危機を防がなければならないということですね。

川上和人

川上和人(かわかみ・かずと)/ 森林総合研究所 鳥類学者

■1973年生まれ。東京大学農学部林学科卒、同大学院農学生命科学研究科中退。
■国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所チーム長。
■NHK子ども科学電話相談室では「バード川上」先生としても知られる。
■小笠原諸島にすむ鳥類の進化と保全に関する研究が専門。特に無人島での研究が得意。
■1年のおよそ4分の1を小笠原諸島で過ごす。
■2015年に希少な海鳥「オガサワラヒメミズナギドリ」の生きた個体を小笠原諸島で
発見。世界で初めて営巣も確認した。
■図鑑なども多数監修を務め、著書に『鳥類学者・無謀にも恐竜を語る』、『鳥類学は、あなたのお役に立てますか?』、監修に『鳥になるのはどんな感じ?〜見るだけでは物足りないあなたのための鳥類学入門』など多数出版。

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