ヒトラー・スターリン・フセイン……戦争史が教える 戦争終結への3つシナリオ
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年3月31日 17時45分
防衛研究所戦史研究センター主任研究官・千々和泰明が31日、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』出演。ロシアのウクライナへの軍事侵攻の終結について語った。
同番組パーソナリティの飯田浩司アナウンサーが、戦争史の専門家からの視点で見る、ロシアのウクライナへの軍事侵攻終結に向けたシナリオについて質問すると、千々和は「紛争原因の根本的解決」か「妥協的和平」という2つの視点が必要になると語った。
「紛争原因の根本的解決」とは、犠牲を覚悟してでも交戦相手の打倒を目指し、将来の禍根を絶ってしまおうという、第二次世界大戦での連合国がナチス・ドイツに対して行った戦い方と説明。ヒトラーのような体制は「将来の危険」が大きすぎるので、犠牲を払ってでも「紛争原因の根本的解決」に進んだとの考えを示した。一方、「妥協的和平」については決着を先延ばしすることにはなるが、現在の犠牲を回避するという考え方で、湾岸戦争時にフセイン体制を打倒しなかった戦いであると説明した。
今回のロシアのウクライナへの軍事侵攻の場合、「紛争原因の根本的解決」とはウクライナの完全属国化、「妥協的和平」とはロシア軍の完全撤退を指すが、千々和は3つ目のシナリオとして「紛争原因の根本的解決」に近いが「条件の緩和」という事例を挙げた。スターリン時代の1939年にソビエト連邦がフィンランドに侵攻した「冬戦争」にたとえ、国民の英雄的な抵抗で独立を保ちつつも10%の国土を失ったフィンランドの歴史に言及した。
戦争終結のシナリオには現在の犠牲と将来の危険のバランスの再評価が重要だが、千々和は「ロシアの場合はプーチン大統領の政治的基盤を危うくすることにつながるバランスの評価は非常にやりにくい。したがって、戦争終結は一段と難しくなっているといえる」との見方を示した。
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