北朝鮮の新型戦術誘導兵器 中距離の戦術誘導ミサイルならば日本にとって「戦略兵器」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年4月21日 11時40分
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が4月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。北朝鮮の新型戦術誘導兵器の発射実験について解説した。
北朝鮮の新型戦術誘導兵器
北朝鮮は4月16日、新型の戦術誘導兵器の発射実験に成功したと発表した。これを受け、松野官房長官は4月18日の会見で「これまでも戦術核兵器開発に言及していることを踏まえ、関連動向の情報収集、分析を進めたい」と警戒感を示した。
飯田)「金正恩総書記の視察の下で成功」と、写真付きで出しておりました。
宮家)「北朝鮮の戦術核兵器」という報道なのだけれど、「戦術核兵器を開発した」とは一言も書いていません。これはあくまでも「新型の戦術誘導兵器」ということです。
精度が高ければ核でなくてもいい
宮家)私の弾道ミサイルに関する理解では、まず誘導がどれくらいできるか、精度がどれだけ高いかという問題があります。精度が高ければ高いほど、小さな爆弾でも目標に大きな損害を与えられるわけですから、必ずしも核でなくてもいいのです。精度が上がることと核であることは、必ずしも一致しない。
中距離の戦術誘導ミサイルであれば、日本にとっては「戦略兵器」になる
宮家)2つ目に、仮にこれが弾道ミサイルだとすれば、おそらく短距離だと思うのです。短距離ミサイルであれば、それは戦術兵器で、朝鮮半島では射程数百キロメートルのものを使うことはあり得ます。ただ、1200~1300キロメートル、もしくは1500キロメートルぐらい飛ぶ中距離の戦術誘導ミサイルということになると、それは日本に直接届くわけですから、日本にとっては「戦術兵器」ではなく「戦略兵器」です。
飯田)日本にとっては戦略兵器になる。
宮家)まだ情報収集中のようですが、北朝鮮が「何をやっているか」ということをよく見極めて考えなければいけないと思います。いずれにせよ、彼らは記念日に花火を打ち上げるためにミサイル開発しているのではなく、体制が危なくなったときに、最後の手段として生き残りをかけ、「抑止力」として核兵器をつくっているわけです。
飯田)最後の手段として。
宮家)完成したものからテストしていくのは当たり前です。いまのような状態であれば、彼らがミサイル実験をやめるという状況にはまったくない。ということは、これからもこういうことが続くでしょう。「どのような武器を、どのような目的のために使っているか」という分析は、別途しなければいけないと思います。
北朝鮮への抑止はされている
飯田)北朝鮮に対して経済制裁をしているわけですが、それ以上のことはできない。「抑止されているのかな」という疑問もありますが。
宮家)抑止を考える場合、新しい韓国の政権がどう考えるかにもよりますが、米軍は正にそれを行うために韓国にいるわけです。今回も軍事演習への対抗措置という形で北朝鮮が撃ったと報じられていますけれども、それは当たらずといえども遠からずだと思います。
飯田)対抗措置として。
宮家)抑止というのはいろいろな側面がありますが、全体として北朝鮮は抑止されていると思います。下手に米韓に手を出したらあの体制は終わりですからね。韓国がどれだけ犠牲を払う覚悟があるかにもよりますが、もし北朝鮮が短距離ミサイルや長距離砲を撃ってきたら、ソウルは相当程度やられます。ただ、そこを過ぎたあと、北朝鮮は終わりです。金正恩はそのことを理解している筈です。
飯田)だからきちんと米軍や自衛隊も含めて、演習で行動を見せるということは大事だと。
宮家)そういうことです。
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