6兆2000億円の対策ではまったく足りない 物価高対応の「話にならない」緊急対策
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年4月27日 17時35分
数量政策学者の高橋洋一が4月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK!Cozy up!」に出演。原油価格や物価の高騰に対して政府が決定した緊急対策について解説した。
物価高対応の緊急対策を決定
政府は原油価格や物価の高騰に対し、ガソリン補助金の拡充や生活困窮者支援などを柱とする緊急対策を決定した。原油価格高騰対策、エネルギーや食料などの安定供給対策、中小企業対策、生活困窮者対策の4つを柱として、国費およそ6兆2000億円を投じる。
飯田)昨日(4月26日)午後6時から、緊急対策などに関する岸田文雄首相の記者会見が行われました。
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飯田)6兆2000億円の国費を投じるということですが、どうご覧になりますか?
高橋)需給ギャップ(GDPギャップ)というものがあり、内閣のいまの推計だと、2021年10月~12月期で17兆円の需要不足です。10月~12月は去年(2021年)のいちばんいいときです。いま経済対策を考える場合は、1月~3月で考えなければいけません。1月~3月はおそらく国内総生産(GDP)は下がります。それよりは大きいでしょう。
飯田)1月~3月はオミクロン株の影響がありました。
6兆2000億円の対策ではまったく足りない
高橋)そうですよね。GDPギャップが大きくなるのが普通ですが、それでも内閣府の推計は天井が低いです。内閣府の数字を取ってみても、20兆円以上は必ずあるでしょう。25兆円ほどあると思います。そうすると総需要は足りないですよね。
飯田)6兆2000億円では。
高橋)全然足りません。話にならないというレベルです。経済対策としては簡単なのです。非常に単純なケースなのですが、エネルギー価格が上がる、原材料価格が上がる。個別の価格が上がるというだけです。そうすると、そこに掛かっている税金を安くするという単純なことだけなのです。
飯田)税金を安くする。
個別価格が上がるときには減税が効果的 ~補助金では難しい
高橋)だからエネルギー価格を下げるために、トリガー条項の凍結解除などガソリン税の減税を行う。そして個別の原材料価格が上がったときには、個別物品消費税、軽減税率です。それを適用するというだけなのです。経済対策はそういうものでしかないのですが、そこを避けるのでまともな対策にならないのです。
飯田)減税という文字はまったく出てきませんでしたね。
高橋)今回のように個別価格が上がったときはいちばん有効なのです。いちばんわかりやすい。ガソリン価格も、ガソリンの減税をせず、補助金でやろうとするでしょう? 補助金でやろうとするから隔靴掻痒というか、なかなか届かないのです。
エネルギー対策を抜本的に変えている欧米 ~海外からは「日本が原発を再開すればエネルギー事情が楽になる」と言われている
高橋)エネルギー価格の話だと、世界各国では3月から欧州連合(EU)、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどが、エネルギー対策を抜本的に変えています。それぞれ国の方針を変えているのですが、それすら日本にはない。海外ではそのようなレポートが出ているのです。
飯田)ロシアによるウクライナ侵略があり、ロシアからのエネルギー供給に頼っていた国々は、ロシアに頼るわけにはいかなくなった。
高橋)ドイツは原発をなくしたので原発の話はないのですが、他の国は原発依存のことを書いています。昨日(26日)の会見で岸田総理が少し原子力について触れましたが、原子力規制委員会の委員長を替えるときに、政府の責任で「政治判断でやる」と言ってもいいくらいだけれど、言いませんでした。
飯田)従来通り、「安全が確認された原子力発電所は」という話はしますが。
高橋)「日本が原発を再開すれば、ヨーロッパのエネルギー事情が楽になる」と海外からも言われているのです。そのような動きもないし、エネルギーの対策を見ても、海外からは見劣りしていますよね。
飯田)本来は原子力の技術、あるいは石炭火力も効率のいいものがあります。技術の芽はたくさんあるけれど、活用できていないということですか?
高橋)そうですね。需要の方を抑えるというやり方もあるのです。アメリカなどが行っているのですが、断熱効果の高い改修に補助金を出すのです。断熱効果を高めると、それだけでエネルギー需要が減るのです。大家さんに対して「貯金を出して改修しろ」という話なので、景気対策にもなります。こういうことは簡単に思いつくはずですが、出てこないですね。
物価が上がっているのではなく、上がっているのは個別の価格
飯田)財政出動が議論にのぼろうとすると、「いま物価が上がっているのでできない」、あるいは「円安だからこれ以上何かしたら大変なことになる」と言うばかりです。
高橋)それは完全に間違いです。物価は上がっていません。
飯田)個別の価格が上がっているということで。
高橋)個別の価格が上がっていて、特にエネルギーと原材料です。
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