年寄り扱いされ居場所もなくなる「50歳」での『幸せになる力』 健康社会学者・河合薫
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年4月29日 21時46分
![年寄り扱いされ居場所もなくなる「50歳」での『幸せになる力』 健康社会学者・河合薫](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_358286_0-small.jpg)
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(4月4日放送)に健康社会学者で気象予報士の河合薫が出演。著書『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』を執筆したきっかけについて語った。
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河合薫
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。4月4日(月)~4月8日(金)のゲストは健康社会学者で気象予報士の河合薫。1日目は、著書『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』を執筆することになったきっかけについて—
黒木)河合さんは1994年に始まった気象予報士試験に合格した第1号なのですよね?
河合)そうですね。当時は全国で500人が合格して、その内12人が女性で、運よくそのなかの1人になりました。
黒木)宝塚に在籍している1982年~83年ころ、関西の朝の報道番組に出ていたのですが、天気予報も読まされていました。まだ気象予報士がいないころでしたので、「きょうの滋賀県の天気予報は雨のち、間違えた、晴れのち……」とか、もう本当に申し訳ないような天気予報を読んでいました。
河合)そうですか。
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『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』(河合薫/プレジデント社)
黒木)河合さんは、大学を卒業され全日空のCA(客室乗務員)になられて、そして気象予報士の試験を通られてニュースステーションに出演なさっていました。そのニュースステーションもお辞めになったあとに、東京大学大学院医学系研究科に進まれて、現在は健康社会学者としてご活躍されています。『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』という本を出版されましたが、この本を書こうと思ったきっかけは何なのでしょうか?
河合)私が専門としている健康社会学は心理学と比較するとわかりやすいのですが、心理学は個人が強くなれることを前提としています。
黒木)心理学は。
河合)一方で健康社会学において、自分はへなちょこでもいいのです。へなちょこで、どれほど「目標を持て」と言われたり、「自分のことを信じろ」と言われても、何を目標にすればいいのかも、何を信じればいいのかもわからない。だけれども、周りの人たちと質のいい関係を築くことができれば、頑張ってみようと思うことができる。私はそれを「半径3メートル世界」と呼んでいるのですが、そのような人たちといい関係を結んでいくことで個人も変わることができるのです。
黒木)周りの人たちといい関係をつくることで。
河合)逆に、生きていれば、思い通りの環境にいつもいられるわけではなくて、「なぜこんな屈辱を味わわなくてはいけないのだ」となるときもあります。そうなったときでも、自分が少しものの見方を変えることによって、環境も変えることができるという学問なのです。
黒木)健康社会学という学問は。
河合)そのようななかで今回、「50歳はどこへ消えた」というテーマで書いたのですが、会社員をやっていると、それまで一生懸命走って頑張ってきたのに、50歳になった途端に働かないおじさん、おばさん扱いされたり、役職定年で部下も自分の話を聞いてくれなくなったりしてしまい、「自分はどうなるのだろう」不安になってしまうことがあります。
黒木)50歳になった途端に。
河合)しかし、自分が若かったころのことを思い出してみると、「50歳っていいよね」と思っていた。「一丁でき上がり」感があって、このあとは悠々自適で甘美な生活が待ち構えているというイメージがあったのに、自分が50歳になってみると、「あのときの50歳はどこに消えてしまったのか」という思いがある。
黒木)自分が50歳になってみると。
河合)自分自身もイケイケの30代~40代を若さだけでやってきたところから、50歳という年齢になると何かと厄介者扱いされたり、居場所がなくなって消えていくような存在になっている。そのようなことは私自身も感じるところがありました。
黒木)河合さんでも。
河合)そうではなく、「いやいや大丈夫だ」と。健康社会学という立場に立てば、人は幸せになるために生まれてきたのだから幸せになる力が人にはある。しかし、それは自分だけで引き出すのではなく、周りとのいい関係を築くことによって引き出されるから、「光を見つけようよ」という思いでこの本を書きました。
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河合薫
河合薫(かわい・かおる)/ 健康社会学者・気象予報士
■小学4年から中学1年まで米国アラバマ州で過ごす。
■千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸入社。
■1994年、気象予報士第1号としてテレビ朝日系 「ニュースステーション」等多数のメディアに出演。
■2004年、東京大学大学院医学系研究科修士課程修了。2007年に博士課程を修了(Ph.D.)。
■産業ストレスやキャリア発達、健康生成論の視点から調査研究を進め、働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数はおよそ900人にものぼる。
■長岡技術科学大学非常勤講師、東京大学医学系研究科講師、早稲田大学非常勤講師等を務め、現在は健康社会学者として、執筆・講演活動、テレビ・ラジオ等でも発信を続け、「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究に関わるとともに、活動を行っている。
■2022年3月16日、『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』を発売。
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