トルコ製の優秀なドローン「TB2」を外交の道具として使うトルコ
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年5月31日 17時45分
![トルコ製の優秀なドローン「TB2」を外交の道具として使うトルコ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_364191_0-small.jpg)
トルコ製ドローン「バイラクタルTB2」=キプロス島
地政学・戦略学者の奥山真司が5月31日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」について解説した。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2022/05/jpp039287205RS.jpg)
トルコ製ドローン「バイラクタルTB2」=キプロス島 AFP=時事 写真提供:時事通信
トルコの大統領が北欧2国のNATO加盟に反対の立場崩さず
トルコの国営報道チャンネルは5月29日、エルドアン大統領がフィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)への加盟申請に関して、2ヵ国と開いた協議は「期待した水準」ではなかったと述べ、反対の立場を改めて示したと報じた。
飯田)クルド人の問題などで、トルコは反対しているというように言われています。
奥山)今回のウクライナ情勢で独自の存在感を見せつけているのが、トルコだと思います。今回の1つの驚きは、ロシアとウクライナが戦争をしている間に「俺らのことを忘れるな」と主張する、エルドアンさんの強いリーダーシップです。
大活躍するトルコ製ドローン「バイラクタルTB2」 ~社長はエルドアン大統領の娘婿
奥山)特に私が注目しているのはドローンです。トルコ製の「バイラクタルTB2」というドローンが、ロシアとウクライナの戦いで大活躍していますが、このドローンを使って外交的にも大きな仕事をしているという印象があります。
飯田)外交的にも。
奥山)TB2はプロペラが後ろに付いているドローンですが、ラジコンのように小さいものではなく、大型のものです。
飯田)翼も結構大きいですよね。
奥山)値段的には1億円くらいするということです。普通の飛行機や戦闘機などは100億円くらいしますので、それに比べれば100分の1の値段であり、かなり高性能で航続距離も長いドローン、無人機ということになります。
飯田)なるほど。
奥山)これを外交的に使っているところに注目すべきだと思います。トルコは無人航空機(UAV)をいろいろな国に売っています。この手のドローンはアメリカやイスラエルが得意ではないかと言われているのですけれども、TB2という素晴らしいドローンはトルコ製で、しかもエルドアン大統領の末娘の夫が社長なのです。
飯田)娘婿が社長なのですか。
多数の国との取引がある「バイラクタルTB2」
奥山)娘婿が社長を務めています。バイラクタルさんという40代の若い方で、しかもアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)を出ています。彼が政権に近いところも使い、一気に軍需産業としてトルコで存在感をアピールしています。ナイジェリア、エチオピア、カタール、リビア、モロッコ、ポーランドなど、多数の国から注文があるということです。
飯田)多数の国から。
奥山)トルコはあまり人権問題のことを言わないのです。アメリカであればそういうところに輸出する際、「そちらの国は人権が」というようなことを言うではないですか。しかし、トルコは言わないらしいのですよ。「人権などは関係ない。買いたいのだったら買え」ということで売っているのです。このドローンの売買に関して何がすごいかと言うと、TB2を買った場合、その国の操縦士は操縦訓練を受けなくてはいけません。そのために3ヵ月程度、トルコに行って操作を学ぶのです。
フィードバックした新たな情報をアップデートするためにサブスク状態に
奥山)このドローンはほぼトルコ製で、国内でつくっているものなので、部品はトルコが持っています。そのために部品も輸出すると、売った国との関係が強まります。なおかつ、ドローンはコンピューターのソフトで扱うので、そのソフトウェアをアップデートするらしいのです。いまTB2は現地ウクライナで使われていますが、下からミサイルが飛んできたときにどう避けるのかなど、新しい情報がありますよね。その情報をいちいちソフトウェアにアップデートするらしいのです。
飯田)実地の経験をフィードバックするのですか。
ドローンが外交の道具となっている
奥山)「フィードバックした情報のアップデートがありますよ」と言うと、売った先の国が「お願いします」ということで、サブスク状態になっているのです。
飯田)なるほど。
奥山)売った先とのつながりが増えるので、トルコとしては、外交的な武器としても使えるのです。つまり武器のテクノロジーが、典型的な外交の道具として使える、つながりを強くできるというところが面白いところです。
新たな「TB3」を東アジアの国が受注 ~どこの国なのか
飯田)しかも1機で約1億という値段は、装備品として考えれば安価ですし、それほどのつながりをつくれるのはすごいですね。
奥山)さらに「TB3」ができているらしいのです。バイラクタルさんのインタビュー記事を読んだのですが、受注先がアジアの国で、船から発着できるタイプのものを受注したという話が出ています。「東アジアの国」と言っていますが、それがどこの国なのか。
飯田)まだ国名は明かしていないのですね。
奥山)国名は明かしていませんが、気になるところです。
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