芸人から落語家への転身を決意させた気仙沼の中学生の「一言」 三遊亭とむ
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年6月30日 11時10分
![芸人から落語家への転身を決意させた気仙沼の中学生の「一言」 三遊亭とむ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_367941_0-small.jpg)
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(5月31日放送)に落語家の三遊亭とむが出演。芸人から落語家に転身した経緯について語った。
![三遊亭とむ](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2022/06/tomRS.jpg)
三遊亭とむ
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。5月30日(月)~6月3日(金)のゲストは落語家の三遊亭とむ。2日目は、落語家になった経緯について—
黒木)落語家になられる前は、テレビのネタ番組に出演したり、ドラマにご出演なさったり、ピン芸人としても活躍されていたのですよね。
とむ)活躍していたかどうかはわからないのですが、長いことピンでお笑い芸人をやらせていただきました。
黒木)お父さまが医者で……。
とむ)歯医者ですね。
黒木)お母さまがピアノの講師でいらして、生徒会長をやりながらお笑いをされていたということですが。
とむ)目立ちたかったのですね。そのうちに、学校で笑わせたいけれど、テレビに出たらもっとちやほやしてもらえるのではないかと思ったのです。
黒木)「いろいろな人に笑ってもらいたい」というのが根本にあるのですか?
とむ)それはずっとありましたね。
黒木)でも、ご両親のご職業とまったく違いますよね。
とむ)でも母親は、僕の中学校の卒業式で勝手にピアノ弾いて出てきたのですよ。サプライズで。
黒木)素敵。
とむ)素敵というか、僕はまったく聞いていなくて。扉を開けたら母親がピアノを弾いているのですよ。「私の方が目立ちたい!」というような人なので。
黒木)お笑い芸人になられてから落語家に転身されるのですが、最初に小朝師匠に出会われたそうなのですけれども。
とむ)芸人のときは、言葉だけの「だじゃれ」ではなくて、お玉と下駄を出して「おったまげた」とか、炊飯器を5個つなげて「ゴレンジャー」とか、もので出していたのですね。
黒木)それで小朝師匠に出会って。
とむ)僕は小道具を使っていたのですが、センスと手ぬぐいだけでこれだけ笑って泣ける。「落語はすごいエンターテインメントだな」と思うようになりまして。小朝師匠と縁があって、勉強をさせていただくなかで、「落語がやりたかったら言いなさい」と言われたのです。
黒木)小朝師匠に。
とむ)でも、あまりの課題の難しさに1年半投げ出していたのです。最低なのです。自分から「教えてください」と言いながら「こんな難しいものできない!」と。それから小朝師匠に会わないようにしていたくらい、逃げていたのです。
黒木)1年半も。
とむ)そうしているうちに、東日本大震災に直面して、その2ヵ月後ぐらいに「気仙沼の方に盛り上げに行ってくれないか」と言われて、気仙沼の皆さんの前で大きな荷物を持って「おったまげた」とか「ゴレンジャー」とかやっていたら、いまと同じような空気になりまして……。
黒木)すべったのですね。
とむ)はっきり言っていただいてありがとうございます。そしたら、中学2年生の気仙沼の男の子が立ち上がって、僕に向かって「がんばれ!」と言ったのです。それにつられてみんなが「がんばれ、がんばれ」と。
黒木)みなさんが。
とむ)「励ましにきたのですから、こっちを励ますのはやめてください」と言ったら、みんな笑ってくれたのですけれども、凄く落ち込みました。「自分がお笑いでやってきたことは何だったのだろう」と。そのときに、「あ、落語だ」と。
黒木)またそこで落語を思い出すわけですね。
とむ)そうしたら、1年半投げ出していた落語を4日で覚えられました。やはり気持ちなのでしょうね。
黒木)それでもう1度落語をやろうと。そして、また小朝師匠のところに行かれるのですよね。
とむ)よくもまあ行ったなと。「師匠、ご無沙汰しております。覚えました」と言ったら、師匠が「ずいぶんかかりましたね」と。
黒木)4日なのですけれど、1年半かかったのですね。
とむ)自分でVTRに撮ったものを小朝師匠にお渡しして、本当におこがましいと思うのですが、1週間後に「僕の落語どうでした」と聞きに行ったのですよ。そしたら「落語家になってしまえば」と小朝師匠から言っていただいたのです。「スカウトですか」と聞いたら「スカウトではない。私の弟子は絶対に無理。落語一席に1年半もかかる弟子は無理です」と。それで「あなたにピッタリ合いそうな方がいらっしゃる」と言われたのです。
![三遊亭とむ](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2022/06/tomRS.jpg)
三遊亭とむ
三遊亭とむ(さんゆうてい・とむ)/ 落語家
■1983年12月31日生まれ。東京都出身。実家は東京都板橋区の『末高歯科医院』。母親はピアノ講師。
■1999年2月、末高斗夢(すえたか・とむ)としてお笑い芸人デビュー。 得意のダジャレを活かしたネタを披露。ドラマも含め・数々の番組に出演。
■2011年8月、三遊亭好楽(こうらく)に弟子入り。落語家に転身。
■2011年9月、両国寄席にて、「三遊亭こうもり」として高座デビュー。
■2013年2月、落語家として「R-1ぐらんぷり2013」の決勝に進出。
■2014年9月、二ツ目昇進「三遊亭とむ」に改名。
■2015年11月、一般女性と結婚。今は2人の子どものお父さん。
■古典落語から新作落語までを行い、独演会では「宙乗り(フライング)落語」や「イリュージョン」なども披露 真打ち昇進では「日本武道館で襲名披露」と宣言。
■マラソン・テニス・ピアノ・神社巡り・ダジャレ・スキー(SIJ スキー検定ゴールド1級)・利き水(水ソムリエ資格保持)など多彩な趣味や特技を持つ。
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