好楽師匠だったから破門されずに済んだ「酒での大失敗」 三遊亭とむ
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年6月30日 15時30分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(6月1日放送)に落語家の三遊亭とむが出演。前座時代に犯した失敗と修行について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。5月30日(月)~6月3日(金)のゲストは落語家の三遊亭とむ。3日目は、好楽師匠の弟子になった経緯とその後について—
黒木)気仙沼の少年に「頑張れ」と励まされて、落語家になろうと思われて、小朝師匠に紹介されたのが……。
とむ)小朝師匠は「好楽兄さん」とおっしゃっていましたけれども、うちの師匠・好楽がいいのではないかということで紹介していただきました。
黒木)それで三遊亭好楽さんのところに弟子入りされたということですね。
とむ)本当に小朝師匠には感謝しております。それは落語家になれたこともそうですけれども、やはり、うちの師匠と出会えたことです。本当に優しくて、落語界のみんなに愛されている師匠です。僕も、普通であれば確実に破門になっていることを師匠が守ってくださいました。
黒木)確実に破門に?
とむ)僕は酒も大好きでして。好楽の家の隣の公園で花見をするというロケがあったのです。僕はそこで司会を任されていました。ところが、ロケだからというので、いいお酒ばかりそこの花見に用意したのです。「みんなで飲もう!」なんて言って「ワーッ」と飲んで、気が付いたら司会なのに記憶をなくしまったのです。
黒木)司会しなければならないのに。
とむ)そこでは最後に僕が芸をやって終わる段取りだったのですが、酔っぱらって倒れしまったのです。好楽の家の下の階が寄席になっているのですけれど、最終的に寄席の座布団で寝ていたのですよ。当時、御存命だった師匠の女将さんの「あんなやつは破門だよ!」という声だけは覚えているのですが。
黒木)女将さんの。
とむ)普通であれば、そんなことをしたら破門だと思うのですけれども、あとから他の人に聞いたら「師匠が守ってくれたのだよ」と。どういうことかと聞いたら、「きょうはお酒を飲む企画なのだから、お酒をいちばん飲んだとむが1等賞」と言ってかばってくれたそうです。
黒木)へえー、粋ですね。とむさんのお酒の落語聞きましたけれども。
とむ)『芝浜』ですかね。途中で頭が痛いというシーンがあるのですが、あれは本当にうまいと師匠から褒められました。「いつものお前だ」と。
黒木)落ちがいいですよね。
とむ)「また夢になるといけねえ」ってね。
黒木)次は真打を目指していらっしゃるわけですよね。
とむ)そうですね。近い将来なれたらいいなと思っています。
黒木)真打昇進のときは日本武道館で大独演会を行うということですが。
とむ)おこがましいのですけれども、修行中から「独演会を武道館でやりたい」と言い続けているので、何とか実現できたらいいなと思っています。
黒木)いつごろですか?
とむ)正直、うちの師匠好楽からも、「そろそろかな」というようなことは言ってくださっているのですけれども、ひとつだけ、条件で「不祥事がなければ」というのがあるので。
黒木)不祥事がなければ。
とむ)好楽の孫の遥くんという高校1年生がいるのですが「絶対無理じゃん!とむ、絶対やらかすじゃん!」と言われてね。仲いいのですけれども。ですので不祥事のないようにしながら、一生懸命真打を目指していきたいと思っております。
黒木)好楽さんのところに入られて、最初はどのようなことをなさったのですか?
とむ)前座修行中というのは師匠の鞄持ちするのかなと思ったら、それはもちろんなのですけれども、楽屋でのお茶出しをはじめ、すべての師匠がたの着物をたたんだり、お世話をするわけなのです。
黒木)すべての師匠のですか。
とむ)師匠によってたたみ方も違うし、皆さん、風呂敷で持ち帰るのですけれども、その風呂敷の順番やお茶の熱さも違うのです。最初は、覚えることがありすぎて何が何だかわかりませんでした。芸人のときはそういうことはありませんでしたので。「楽屋ですべての師匠がたに気を遣えないような人間が高座でお客様を喜ばすことなどできないだろう」という教えなのだと思います。
黒木)それが何年くらい続くのですか?
とむ)3年修行させていただきました。
黒木)3年間、ずっとそれをやっていらっしゃったということですか?
とむ)そうですね。昔であれば住み込みで、もっと大変だったと思うのですが、いまは通いで許されます。うちの師匠は少し優しくて、「とりあえず朝10時に電話して」と。だいぶ優しいところはあったのですが。
黒木)少しゆるいというか。
とむ)そうですね。
三遊亭とむ(さんゆうてい・とむ)/ 落語家
■1983年12月31日生まれ。東京都出身。実家は東京都板橋区の『末高歯科医院』。母親はピアノ講師。
■1999年2月、末高斗夢(すえたか・とむ)としてお笑い芸人デビュー。得意のダジャレを活かしたネタを披露。ドラマも含め数々の番組に出演。
■2011年8月、三遊亭好楽(こうらく)に弟子入り。落語家に転身。
■2011年9月、両国寄席にて、「三遊亭こうもり」として高座デビュー。
■2013年2月、落語家として「R-1ぐらんぷり2013」の決勝に進出。
■2014年9月、二ツ目昇進「三遊亭とむ」に改名。
■2015年11月、一般女性と結婚。いまは2人の子どものお父さん。
■古典落語から新作落語までを行い、独演会では「宙乗り(フライング)落語」や「イリュージョン」なども披露 真打ち昇進では「日本武道館で襲名披露」と宣言。
■マラソン・テニス・ピアノ・神社巡り・ダジャレ・スキー(SIJ スキー検定ゴールド1級)・利き水(水ソムリエ資格保持)など多彩な趣味や特技を持つ。
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