国民民主党・玉木代表「ポイント還元ではなく『インフレ手当』として10万円の一律給付を実施するべき」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年6月22日 18時0分
国民民主党の玉木雄一郎代表が6月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。参議院選挙に向けての国民民主党の政策について語った。
参議院選挙6月22日公示、7月10日の投開票に向け選挙戦スタート
第26回参議院選挙が6月22日に公示され、7月10日の投開票に向け各党は18日間の選挙戦に入る。選挙戦では岸田政権に対する評価の他、ウクライナ情勢を受けた物価高騰対策や防衛力のあり方をはじめとする外交・安全保障政策などを争点に論戦が交わされる見通しだ。
飯田)いよいよ公示の日を迎えました。玉木さんはツイッターにもスケジュールが出ていますが、きょうも全国を飛び回りますね。
玉木)昨日(21日)の夜から愛知県に入っていまして、朝イチで愛知県からスタートということになります。
飯田)そのあと大阪に行き、神奈川に行って東京と、動き回るなあという印象です。まずは公示の日を迎えて、いまのお気持ちはいかがですか?
玉木)緊張しています。国民民主党は去年(2021年)の衆議院選挙でもそうだったのですが、選挙前は、消滅してしまうのではないかというご心配をいつもいただきます。いまは野党第3党であり、選挙戦のなかで自分たちの思いを魂を込めて訴えていくということで、18日間頑張って全国を回っていきたいと思います。
国民民主党のテーマは「給料を上げる。国を守る」 ~賃金を上げるには税金を還元すべき
飯田)玉木さんにお話を伺うと、「対決よりも解決なのだ」ということをおっしゃっていて、いろいろと政策を掲げていらっしゃいます。物価について、岸田総理は「ポイント」という話をしています。この辺りの政策はいかがでしょうか?
玉木)今回の選挙において私たちは、「給料を上げる。国を守る」という極めてシンプルな2つのテーマを掲げています。確かに物価は上がっていますが、より本質的な問題は、物価以上に賃金が上がらないということが問題なのです。
飯田)賃金が上がらない。
玉木)アメリカはいまインフレで、金利などを上げて引き締めようとしていますが、賃金も6%ぐらい上がっています。同じことを日本で行うと経済がガタガタになってしまうので、舵取りが難しいのですが、少なくとも、それを解決する手段はポイント還元などではなく、やるのであれば税金を還元した方がいいと思います。
飯田)税金の還元。
玉木)減税や給付などです。まだまだ需要不足でデフレギャップがあるので、そこがアメリカとは大きく違うところです。財政出動をして、しっかりと経済を支えていかなければなりません。批判が日銀の黒田さんばかりに集まっていますが、ある種、日銀はもうフルでやれることはやっているので、岸田さんがもっと頑張らなくてはいけません。
「インフレ手当」として10万円の一律給付を実施するべき
飯田)デフレギャップにはいろいろな試算があります。内閣府は20兆円ぐらいではないかという予測を出してきましたが、もう少しありますか?
玉木)最低でも20~40兆円ということは言われています。私たちはまず「インフレ手当」という形で、10万円の一律給付をもう1度やったらいいと思います。アメリカのメイン州などでは850ドルの小切手を送り始めていて、日本円にすると11万5000円ぐらいです。
飯田)インフレ手当として。
玉木)家計への支援を、加熱気味のアメリカでさえやっていますので、日本でやらない理由はありません。年金が減って困っている人や、子育てをしている低所得者、ポイント還元で節電した人にはお金を配ろうなど、細切れでいろいろなことをやろうとするのではなく、一律給付をする。
飯田)一律で。
玉木)高所得者に配りたくないということであれば、所得連動型で、確定申告などの課税のときに、通常の所得税に上乗せして返していただく。そうすると、返さなければいけないという人は申請しませんので、本当に困っている人だけが申請するということになります。
飯田)高所得者には。
玉木)現金やポイントなど、わけのわからないものをたくさん出すのではなく、いまは一律にインフレ手当として、物価高騰で困っている方に速やかに支援をお届けする。合わせて、消費税の減税や、まだできていませんが、ガソリンだとリッター25円10銭を減税すればいいので、ぜひ実現したいと思います。
「どのような防衛をするのか」の議論が大切 ~優れている情報収集、警戒監視、偵察能力を強化する
数量政策学者・高橋洋一)経済について非常に頼もしい話をしていただきましたが、私もその方向には賛成です。次は安全保障の話について聞きたいと思います。先日、中国が「福建」という大きな空母を進水しました。3隻目の空母ですが、4隻目、5隻目ということになると、原子力空母の可能性もありますよね?
玉木)ありますね。
高橋)このような状況のなかで、国民民主党としては、国を守るための政策をどのように出していくのでしょうか?
玉木)日米同盟が大事だということは大前提なのですが、ウクライナやアフガニスタンを見ていても、「自分の国は自分で守る」という能力と意思を示さない限り、他国は助けてくれません。
飯田)そうですね。
玉木)日米同盟はありますが、アメリカ議会はそう簡単ではありません。自分たちである程度の抑止力と、いざ攻撃されたときの反撃力はしっかりと整えておかないと、軍事バランスが崩れた瞬間に攻め込まれるということは、世界を見ていても当然の事実だと思います。
飯田)抑止力と反撃力を整えておく。
玉木)その意味でも、防衛費の増額は必要だと思います。日本が優れているのは情報収集、警戒監視、偵察能力です。何か反撃するにしても、どこにどのような標的があるのか正確に知っていなければいけません。アメリカにもそのような情報は重宝がられていますので、そこをまず日本としては強化していく。
飯田)情報収集、警戒監視、偵察能力を。
玉木)具体的には、ドローンや衛星なども検討するべきだと思います。原潜などについても発言しましたが、「これも入れろ」ということではなく、ありとあらゆることを検討していかないといけないのです。額ありきで、この額まで積み上げたらいいということではなく、どのように防衛するのか、どのような装備体系を持つのかということを、最初にしっかりと議論することが必要なのだと思います。
核抑止のための日本の役割
高橋)原潜や核の話などは、玉木さんに期待するところが大きいです。
玉木)核協議については、私はあまり意味がないと思っています。なぜかと言うと、現在、日米でしっかりとある種の核共有ができています。大事なのは、いまアメリカでやっていますが、2010年から行われてきた「拡大抑止協議」があります。これは2年前の5月以降、行われていなかったのですが、いざ核エスカレーションが起こったときに、どのようにアメリカと日本との間で役割分担をするのかということを、事前に詰めておくことが大事です。
飯田)役割分担を決めておく。
玉木)1950年代~60年代におけるNATO型のニュークリア・シェアリング(核共有)のように、地上配備をして、いざとなったら日本の爆撃機で戦術核を落としに行くというのは、少し古い概念です。むしろ潜水艦発射弾道ミサイルで1万2000キロ以上飛ぶような、SLBMによる核抑止が実際に機能しているので、それを日米でどのように動かしていくのか、事前に決めておくことが抑止する上で大事だと思います。
「AUKUS」とは連携を深めていく必要がある
高橋)玉木さんは「AUKUS(オーカス)」に日本が入る可能性について、どのように思いますか?
玉木)ご存知のようにオーストラリアは核保有国でもありませんし、日本のように原発も持っていません。そこに原潜を入れようというとき、さすがに核搭載のミサイルは積まないという約束で導入を決めました。
飯田)核搭載のミサイルは積まないということで。
玉木)オーストラリアも大海原に囲まれていますし、中国に対する抑止を働かせるという意味で、原潜は最大3~4ヵ月潜っていられます。通常動力のディーゼルや蓄電池の潜水艦だと、3~4日で浮上しなければいけないので、攻撃しなくても抑止力という点では必要だろうという判断です。いろいろな意味で連携は深めていく必要があると思っています。
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