工藤公康「解決方法がわからず、そのまま終わってしまう選手を何百人も見てきた」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年6月23日 17時25分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(6月7日放送)に元・福岡ソフトバンクホークス監督の工藤公康が出演。選手へのアドバイスのあり方について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。6月6日(月)~6月10日(金)のゲストは元・福岡ソフトバンクホークス監督の工藤公康。2日目は、選手へのアドバイスについて—
黒木)先日、ソフトバンク対DeNA戦を解説なさったということですが、いかがでしたか?
工藤)成長している選手が試合に出ている姿を見ることができて、ほっとした部分もあれば「もっと頑張れよ」という選手もいました。試合は結局、負けてしまったのですが。
黒木)今期のソフトバンクはどうですか?
工藤)今期は大丈夫ですよ。
黒木)大丈夫ですか。
工藤)ケガしてしまった選手もいるのですが、グラシアルやデスパイネなどの外国人も揃ってきました。中心がしっかり動くようになれば、得点能力も伸びます。もともと素晴らしいピッチャー陣が揃っているので、攻守のバランスが取れれば優勝できると思います。
黒木)ソフトバンクホークスの監督時代、「選手へのアドバイスは違うことを言わない」とアドバイスの統一を図られたと聞いたのですけれど。
工藤)監督が言っていることとコーチが言っていることが違うと、選手は「どっちを取ればいいの?」となってしまいます。
黒木)困ってしまいますよね。
工藤)ミーティングをして、違うアドバイスをしたときには、必ずそれを聞くようにしました。方向性が変わってしまうと選手が迷うので、迷わせないためにミーティングをして、「彼にはこういうやり方で行こう」と決めます。それでも話のニュアンスによって選手の捉え方が変わるときがあるではないですか。
黒木)ニュアンスによって。
工藤)そういうことが起きたときには修正できるように、指導者の方で一貫した教え方をつくり、「これは守っていこう」と決めて、選手にアドバイスしていました。
黒木)それが「工藤流」ですね。
工藤)そうですね。僕らも現役のときに迷いましたので。
黒木)長い現役時代の経験が監督に活かされていたということですか?
工藤)それはありますね。
黒木)私も芝居で違うことを言われて「どうしよう」となることがありますから、そのときは最終的には自分の信じる道みたいなものを自分で考えなければならないのですが、そのように監督が導いてくださると選手も伸びていきますよね。
工藤)長くやって欲しいですし、知らないことがたくさんあると、やはり失敗するのです。失敗したからといって「何やってるんだ!」と言うと、選手が動けなくなってしまいます。
黒木)ただ怒っても。
工藤)「失敗してもいい」ということを前提として、選手に「やってみなさい」と言うようにしないといけない。プロなので競争の世界ではあるのですが、「しっかりと力をつけていけば、こういうことができる」と思った選手には、その力に応じて道をつくってあげます。
黒木)それは愛情があるからこそですよね。
工藤)せっかく夢を叶えてプロ野球に来たのに、解決方法がわからず、そのまま終わってしまうプロ野球選手を、現役の間に何百人と見てきたわけです。だから「指導者に恵まれるということが、選手をどれだけ変えてくれるのか」ということを、僕自身も感じていました。
黒田)ご自身が。
工藤)「指導者になるのだったら、説明できる人間になりたい」と思いました。気が付いたことは書いておかないと忘れてしまうので、とにかく気が付いたことや試合のなかの仕草や動きをメモして、選手にアドバイスができるように考えてやっていました
工藤公康(くどう・きみやす)/元・福岡ソフトバンクホークス監督
■1963年生まれ。愛知県名古屋市出身。
■名古屋電気高(現・愛工大名電)から西武ライオンズに入団。
1981年の夏の甲子園では、ノーヒットノーランを達成している。
■プロ野球選手時代は14度のリーグ優勝、11度の日本一を経験。
西武ライオンズ・福岡ダイエーホークス・読売ジャイアンツの3球団で日本シリーズを制覇し、優勝請負人と呼ばれた。
■29年の現役生活で通算224勝142敗3セーブ。防御率3.45。
MVP、最優秀防御率、最多奪三振など、数多くのタイトルを獲得した。
■現役引退後は、野球解説者・野球評論家として活動。
■2015年から2021年まではソフトバンクの監督を務め、3度のリーグ優勝、5度の日本一。日本一は2017年から4年連続で、パ・リーグ史上初の快挙。
監督通算成績は558勝378敗42分け。勝率5割9分6厘。
■長男は工藤阿須加(俳優)、長女は工藤遥加(プロゴルファー)。
■ソフトバンクの監督就任前に筑波大大学院に合格。人間総合科学研究科で外科系スポーツ医学を学ぶため2014年から通い始め、在任中に球団の許可を得た上で復学し、得られたデータを球団にも還元するなどして修了し、修士を取得。
■今年2月には筑波大大学院博士課程に合格。この春から博士課程に進んでいる。
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