現代版「山伏」? 富士山グッズ専門店・店主がなぜ「約80回」富士登頂するのか
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年7月6日 17時20分
![現代版「山伏」? 富士山グッズ専門店・店主がなぜ「約80回」富士登頂するのか](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_371694_0-small.jpg)
それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
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山伏の服装で登山する西川さん(本人提供)
静岡県富士市の吉原商店街に、「富士山専門店 東海道表富士」というお店があります。富士山グッズを専門に扱うユニークなお店ということもあって、店主・西川卯一さんは、さまざまなメディアにひっぱりだこです。
西川さんは京都の大学を卒業後、東北に拠点を置くメーカーの勤務を経て、15年前にふるさとの富士市に戻り、夢だった自分のお店を持ちました。富士山専門店としたのは、学生時代の京都が原点でした。
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西川卯一さん(本人提供)
「京都ではたくさんの“お土産”が買えるのに、富士山の麓にある富士市では、“お土産”を買える場所すらない。世界から多くの方が来てくれる街に1軒、富士山のお店があってもいいのではないか?」
その狙いは見事に当たり、次第に取引先も増え、支店も出していきました。
あるとき、登山者の一行が西川さんのお店に立ち寄りました。この人たちは、富士市の海岸から古地図を頼りに、富士山で最も古い登山道「村山古道」を通って頂上を目指していた皆さんでした。この人たちに頼まれて、お店でも村山古道の地図を取り扱うようになります。
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「富士山専門店 東海道表富士」外観(本人提供)
ところが、この地図を買い求めたお客さんから、しばしば連絡が入るようになりました。内容は「地図を頼りに村山古道を実際に歩いてみたものの、途中で道に迷って帰ってきてしまった」というもの。西川さんは、ふと思い立ちました。
「自らガイドが務まるくらい、この道を知り尽くさなければだめだ!」
折しも富士山の世界文化遺産への登録が認められ、昔の修験者が登った古い登山道が注目を浴び始めていました。西川さんも再び京都へ足を運び、聖護院の修験道の修行に参加。現代版「山伏」として、登山ガイドに当たることを決意しました。
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ガイドする西川さん(本人提供)
海抜0メートルからの富士登山を、山好きの人たちは親しみを込めて「ゼロフジ」と呼んでいます。出発は、富士市の港・田子の浦港。近くには海の石が盛られた「富士塚」もあって、昔は海岸で禊も行われていました。
村山古道は、ここから旧東海道の吉原宿を通り、村山浅間神社を経由。山麓の深い森を抜けた六合目で、いまの富士宮口登山道に合流します。
標準的な2泊3日の場合、初日は標高500メートルまで20キロほどのウォーキング。2日目は、標高500メートルから5合目付近の2500メートルまで、高低差2000メートルを約18キロかけて登ります。そして最終日に、いよいよ3776メートルの頂を目指します。
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山伏の服装で登山する西川さん(本人提供)
3日間で歩く距離は約42キロ……ちょうどフルマラソンと同じくらいです。西川さんはこの42キロを、ときに山伏の衣装を身にまとい、手づくりのほら貝を吹いて、海抜0メートルからの富士登山に挑む皆さんの先頭に立って歩きます。
「不思議と辛くありません。毎回登るたびに、違う景色が楽しめるんです」
そう話す西川さんが、夏限定の絶景を教えてくれました。8月のお盆の時期、標高1800メートル~2000メートルのエリアだそうです。森の間に突然、ヒヨドリバナの淡いピンク色の花畑が広がって、渡りの途中の蝶(アサギマダラ)が1000匹単位で乱舞すると言います。
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夏の富士山(静岡県富士市内にて撮影)
西川さんは、これまでに約80回、富士山登頂を果たしてきました。その経験を踏まえて、この夏に富士山を目指す方へ伝えたいのは、「富士山は体も心も鍛えられる山だ」ということ。体力も気力も充実させて山に入らないと、どこかで足が停まってしまうと言うのです。ただ、西川さんはこうも話します。
「一気に登ろうとするから辛いんです。自分の体力に合わせて少しずつ登っていけば、70歳や80歳でも、山小屋の多い富士山は優しく受け入れてくれます」
実際、西川さんのガイドで70歳にして初めての富士登山、それも「ゼロフジ」に挑戦した東京の方も、海岸から数ヵ月かけて無事に登頂に成功したそうです。また今年(2022年)も、82歳の方の富士登山をサポートしています。
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夏の富士山(静岡県富士市内にて撮影)
富士山周辺はこの数年、海外からの観光客がほぼゼロになってしまいました。「富士山専門店 東海道表富士」も、とても大きな打撃を受けました。ようやく今年、3年ぶりに本格的な夏山シーズンを迎えようとしています。
「コロナ禍で全てリセットされてしまったので、今年は楽しみしかありません!」
西川さん自身も、また世界の人が集まってくれる富士山を目指して、「ゼロから挑戦する夏」が始まります。
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