女性の10人に1人が罹患する「摂食障害」の恐ろしさ
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年8月1日 11時20分
東京都医師会副会長で精神科「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が7月25日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。摂食障害について解説した。
「摂食障害」という病気
飯田浩司アナウンサー)「摂食障害」について伺いますが、この定義はどのようなものでしょうか?
平川)摂食障害は、行き過ぎた食事制限や過食嘔吐というような食事にまつわる行動の異常と、体重や体型、食事に対する認知や感情の歪みが続く病気です。
飯田)食事への行動の異常と、認知や感情の歪み。
平川)その結果、栄養障害や体の病気を併発して、心身の成長や発達が妨げられてしまう。健康への影響はもちろん、学校生活や社会人としての生活に支障をきたすことになります。また重症化すると生命の危険や、骨粗しょう症などの後遺症を生む深刻な疾病です。
4つの摂食障害「神経性痩せ症」「回避・制限性食物摂取症」「神経性過食症」「過食性障害」
新行市佳アナウンサー)摂食障害というと「食べない」というイメージがあったのですけれども、食べ過ぎてしまうことも摂食障害なのですね。
平川)一般的に摂食障害は「食べない」というイメージが強いのですけれども、代表的な摂食障害が4つあります。食べないことを主症状とするものとしては、痩せていても「太っている」と言って食事をとらない「神経性瘦せ症」、いわゆる拒食症ですね。それから特定の食品を拒否したり、吐き気や腹痛が出るからと言って食事を摂らない「回避・制限性食物摂取症」などがあります。
飯田)特定の食品を避けてしまう。
平川)食べ過ぎの方としては、過食することによって罪悪感を伴う「神経性過食症」。また、痩せようとする行為がそれに伴わない「過食性障害」があります。
「神経性痩せ症」……痩せすぎを「ちょうどいい」、または「太りすぎ」と感じてしまう
飯田)「神経性痩せ症」についてですが、何か典型的な症状はあるのですか?
平川)神経性痩せ症の方は、摂取カロリーを制限して痩せている体型を持続させます。太ることに強い恐怖心があって、体重増加を妨げる行動が続くのです。痩せすぎているのに「ちょうどいい」と思う、あるいは「太りすぎている」と感じてしまう。いわゆるボディイメージが障害されているのです。自尊心や自己評価などが自分の体型に極端に左右されてしまうのです。
飯田)自尊心や自己評価が。
平川)痩せていることへの重篤さの認識が乏しい方です。通常、初めは軽い食事制限や運動で痩せていきますけれども、約半数の方が途中からコントロールが取れなくなり、過食嘔吐してしまったり下剤を乱用する方もいらっしゃいます。
「神経性過食症」……異常に食べたあと後悔して落ち込む
飯田)「神経性過食症」はどのような症状なのですか?
平川)食べすぎてしまうのですけれども、食べ方が止まらなくて尋常ではないのです。しかし、食べたあとは「ポッコリ」と出たお腹を見て落ち込むのです。「何と醜い、何と情けない自分なのだ」となる。自己評価の低さを持つ特徴的な病気です。ご本人も苦しんでいらっしゃいます。
新行)摂食障害の場合、患者さんの男女比や年齢はどうなっているのでしょうか?
平川)発症時期は10代~20代です。やはり身体や体型を気にしますから、この時期の若者に多いですね。また、女性の方が多いです。
女性の約10人に1人、男性の約100人に1人が一生涯のうちに1度は摂食障害に罹患
平川)ただ、多様化の社会になり、性別や年齢も関係なくなってきています。最近では誰でも罹患する疾病になっています。ある報告では、一生涯のうちに摂食障害にかかる割合は、女性で約10人に1人、男性で約100人に1人です。
飯田)早めに手を打たなければいけないということですか?
平川)こじらせると長くなってしまいますから、症状の軽いうちに受診することが大事だと思います。
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