摂食障害とダイエットの大きな違い
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年8月2日 11時20分
東京都医師会副会長で精神科「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が7月26日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。「摂食障害とダイエット、大食いの違い」について解説した。
摂食障害とダイエット
飯田浩司アナウンサー)摂食障害について、必要な量を食べることができない摂食障害とダイエットの違いは何ですか?
平川)飯田さんは体重を減らしたいとか、ダイエットしようと思ったことはありますか?
飯田)それは常に願っているのですけれども。
平川)願っているレベルですよね。新行さんはどうでしょうか?
新行市佳アナウンサー)「少し体を絞ろうかな」と思って運動することはあります。
平川)お二方は体型的にも整っていますので、特に問題はないと思うのですが、「ダイエットしたい」という思いがどれくらい続くかです。よく口にはするけれども、「口先ダイエット」では続かないですよね。それは私も含めて一般的なお話です。
飯田)続きませんね。
平川)ただ、摂食障害の方々の体重へのこだわりは、想像を絶する、桁違いのレベルです。その結果、命を失うこともまれではないのです。体重を減らすということが大命題で、24時間起きている間は、そのことが頭から離れない。朝、予定より1口パンを多く食べてしまったということを、ずっと1日中思い悩んでいるわけです。
飯田)あそこで1口多く食べてしまったと。
平川)その結果、学業や仕事に集中できない。とにかく尋常でないくらいのこだわりです。
神経性過食症と「大食い」の違い
飯田)一方で摂食障害の過食、「食べすぎる」という場合は、通常の「大食い」とはどう違うのですか?
平川)代表的な過食症である「神経性過食症」の場合、「食べたい」という衝動が始まると止まらないのです。「同時に食べなければならない、食べつくさなければならない」という衝動が自分でコントロールできない。胃袋は満タンどころか、喉元までいっぱいに詰め込みます。そしてぽっこりと出たお腹を見て、強い罪悪感を覚え、「自分を責め続ける」ということが起こります。その結果、体重を減らすための行動として、指を喉奥に突っ込んで強制的に吐き出そうとしたり、下剤を大量に服薬することになります。
自覚することが難しい摂食障害 ~体型や体重が重要視されるハイリスクなスポーツも
新行)当事者は「自分は摂食障害だ」という自覚を持ちづらいものですか?
平川)病気が進行すれば進行するほど、自分が病気である自覚や、とんでもないことをやっているという認識が乏しくなる特徴があります。ですから、自分から進んで援助を求める、また治療をしようという方は少ないですね。
飯田)少ない。
平川)家族も「年ごろだから」くらいの感じで、なかなか気付かない場合があります。学生さんであれば、学校健診や養護教諭の先生が気付く場合があります。特に学生時代ですと、体型や体重が重要視されるハイリスクなスポーツがあります。
飯田)そうですね。
平川)体操や新体操、ダンス、フィギュアスケートなど。あるいは持久力系の長距離ランナーなども痩せた体型が求められます。柔道やレスリングのように体重自体が種目の階級になっているスポーツもあります。
飯田)体重が1つの目標になってしまうわけですものね。減らさないと試合に出られない。
摂食障害になりやすい子どものタイプ
飯田)摂食障害の人は、どのような心理状態だと考えられますか?
平川)以前は典型的な例として、子どものころから生真面目で心配性で頑張り屋さん。完璧主義で意地っ張りでそれなりに成績もいい、いわゆる「いい子」が多いとされてきましたが、最近では一概にそうとも言えないケースも見られます。ただ、共通するのは自分自身の評価が低い方ですよね。自尊心が低い方です。
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