「子どもの描く絵を静かに見守って」 画家・ハマダユキオが親御さんに伝えたいこと
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年8月3日 17時20分
それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
千葉県習志野市にお住まいの画家・ハマダユキオさん。絵を描いたり、メディアの仕事をするときはこのペンネームを使っています。
ハマダさんは普段、全国的に有名なカー用品のお店で、大型車のタイヤのメンテナンスに従事しています。タイヤのメンテナンスということは、仕事場は常にトラックやバスの下。真夏の蒸し暑い日でも、汗だくになりながら配管むき出しの車の下に潜り込んでいます。
ただ、その腕前は、車のメンテナンスコンテストの全国大会で常に上位に入賞するほど。素晴らしい腕が評判を呼んで、車雑誌のウェブサイトで定期連載を持っています。
そんなハマダさんには1日4時間、車のことをまったく考えない時間帯があります。朝は午前7時前~9時前まで。夜は午後10時~12時まで。実はハマダさんは、この時間帯に「絵」を描いているのです。
ハマダさんは、昭和42年(1967年)、福岡・北九州市小倉生まれの54歳。小さいころから車と絵が大好きでした。新聞チラシの裏側は、いつも車やバイクの落書き三昧。でも、あるとき隣にいたお母様も、チラシの裏に落書きしているのに気付いたそうです。
「どうして自分の絵はのっぺりなのに、お母さんの絵は飛び出すように見えるんだろう?」
ハマダさんは、このふとした疑問から「絵」の世界へのめり込んでいきました。中学からは、美術の時間に目にした油絵に衝撃を受け、本格的に絵を描き始めます。さらに学生時代は大好きな車のイラストを描いて、車雑誌の投稿の常連になりました。
社会人になってからは車関連の仕事をしながら、貯めたお金で絵を描いて、絵の腕前もみるみる上達していきました。
ハマダさんは現在、お勤めの傍ら、創作者の団体「クリエイターズアパートメント」に所属し、絵を描いて欲しい人からの依頼を受けてアクリル画をメインに描いています。アクリル画は、油絵と水彩画の中間のような存在。描いたあとの乾燥が早く、色のバリエーションが多いのが特徴です。
描いた絵は、依頼主に手渡したところで忘れてしまうことが多いというハマダさんですが、1枚だけ忘れられない絵があります。
それは、あるカープファンのインディーズバンドのメンバーから頼まれた、若くして病に倒れた炎のストッパー・津田恒美投手の絵。何気ない気持ちで描いた絵が、バンドファンの皆さんの間で大きな話題となり、SNSで拡散されていきました。
「あれ? この絵、どこかで見たことが……あっ、自分の絵だ!」
ハマダさん自身もSNSで気付いてビックリしたそうです。自分の描いた絵が巡り巡って、多くの人に愛されていることに嬉しくなりました。
ハマダさんは、この春から「デジタル画」への挑戦を始めています。「デジタル画」とはスマートフォンのアプリを使って、指1本でスマホをタップしながら描いていく絵のことです。まだ描くものにカーブをつけたり、影をつける操作が上手くできません。
「でも、上手く描けるようになりたい」と、ハマダさんの向上心は満ち溢れています。というのも、「若い世代を発掘したい」という夢があるからです。そのためにも若い世代のセンスを肌で感じたいと、朝、出勤前の2時間をデジタル画の時間に充てて、スマホと格闘しています。
ちょうどこの時期、子どもたちは夏休みを迎えています。絵や絵日記の宿題を通して、絵に触れる機会が多い時期です。ハマダさんは子育てに携わるなかで、多くの子どもたちが親の言葉で絵の才能をつぶされてしまう様子を目の当たりにしてきました。だからこそ、1人の絵描きとして親御さんたちに伝えたいことがあります。
「子どもたちは感じたままを描くことができる絵の才能に溢れています。だから親は、子どもが描く絵を静かに見守って欲しいんです」
ハマダさんは、今朝もスマートフォンの画面と自身の心をカラフルに埋め尽くし、タイヤのゴムで真っ黒になる1日が始まります。
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