「たった一言」から思わぬ売り上げに 内田線香店「杉葉線香」の魅力
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年8月17日 17時20分
![「たった一言」から思わぬ売り上げに 内田線香店「杉葉線香」の魅力](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_379923_0-small.jpg)
それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2022/08/image0RS.jpg)
内田線香店の杉葉線香(内田線香店提供)
「ご縁の国」というキャッチフレーズで観光キャンペーンを行っている島根県。その東にある安来市は、「どじょうすくいの街」として知られています。
街の玄関・JR安来駅では、週末を中心に東京からの夜行列車や観光列車が到着すると、地元の皆さんが安来節の「どじょうすくい踊り」で歓迎。旅で訪れた人たちとの「ご縁」を大切にしています。
そんな安来市にある「内田線香店」は、100年以上続く老舗。線香の製造から販売までを一貫して手掛ける、全国的にも珍しいお店です。今年(2022年)で喜寿を迎えた4代目の内田貴子さんは、いまも現役。2人の娘さんと一緒に、毎日線香づくりに励んでいます。
内田線香店がつくる線香は「杉葉線香」。文字通り、杉の葉っぱを粉にしたものを、時間をかけて水や糊と一緒に練り合わせ、気温や湿度に注意を払いながら1本1本手づくりしています。
その繊細な技術が認められて、「杉葉線香」は島根県の「ふるさと伝統工芸品」にも選ばれました。
内田さんのこだわりは、線香に香料を使わないこと。線香に火をつけると、杉の葉っぱの自然で優しい香りがフワッと広がります。地元の方はもちろん、のどが痛くなりにくいことから、全国でぜんそくなどの持病がある方にも重宝されてきました。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2022/08/image1RS.jpg)
1本ずつ手作業で切り揃えてつくる杉葉線香(内田線香店提供)
そんな内田線香店の「杉葉線香」が、いまから2年前、突然売れなくなってしまいました。線香屋さんの大口取引先・お寺からの注文がパタッと途絶えてしまったのです。
コロナ禍でお葬式は家族葬、法要は簡素になり、遠方からのお墓参りは自粛。線香に火を灯す機会がことごとく失われ、内田線香店でも1ヵ月に売れた線香がわずか「2個」という月も出てきてしまいました。
去年(2021年)の夏、たまたま地元のケーブルテレビ局が安来の伝統工芸品を紹介するため、内田線香店へ取材にやって来ました。売り上げの激減に苦しんでいた内田さんは、スタッフの女性に思わずこぼします。
「実は、もうやめようと思っているんです」
しかし、内田さんのこの一言から、思いもよらない事態が起こり始めました。
『「コロナで大口取引がなくなって廃業寸前」と話してくれた、全国で数軒しかない手づくり線香のおばあちゃん。100年以上続く伝統的なお店です。家族3人で手間暇かけてつくった天然の杉の香りの線香は、煙でのどが痛くなりません。このなかに、お寺の関係者の方はいらっしゃいませんか?』
去年8月、そんな旨のツイートがインターネット上を駆け巡りました。投稿したのは、内田線香店を取材したケーブルテレビの女性でした。程なく、お店に安来駅の物産館から電話が入ります。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2022/08/image2RS.jpg)
杉の葉の粉を混ぜ合わせる内田貴子さんと娘さん(内田線香店提供)
「理由はよくわからないんですが、先ほどから線香が飛ぶように売れています。とりあえず、線香をあるだけ持ってきてくれませんか?」
さらに、インターネットから注文できるホームページにも注文が殺到。あまりにアクセスが多すぎて、サーバーがダウンしてしまいました。内田さんの悲痛の叫びとも言える「つぶやき」に全国の人たちが反応して、お店やネットで「杉葉線香」の購入に動いてくれたのです。
在庫はあっという間に捌けてしまい、内田さんは嬉しい悲鳴を上げながら、お盆休み返上で線香づくりに追われました。その盛況ぶりを地元メディアや全国紙も追いかけて報道したことで、「杉葉線香」は広く知られるようになりました。
それから1年、内田線香店には、いまも全国から線香の注文が入ります。話題になったことで、安来随一の観光名所「足立美術館」の土産物売り場にも「杉葉線香」を置いてもらえるようになりました。「プレゼントにしたいのでお線香を下さい」と、お店を訪ねてきてくれる若い世代も増えたそうです。
「何だか去年の夏から、ずっと夢を見ているような気がするんです」
いまも戸惑いが隠し切れない内田さん。それでも、お店が辛いときに線香を買い求めてくれた全国の皆さんとのご縁を大切にして、「これからも親子3人、ケンカしないで伝統の線香をつくり続けていこう」……内田さんは、そう固く心に決めています。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
バレー女子、福岡工大城東を支える小柄なリベロ…3回戦の強豪・就実戦へ「持ち味して戦う」
読売新聞 / 2024年7月27日 21時44分
-
<超希少>夏のひんやりスイーツ。出雲で152年老舗和菓子屋が作る国産流通0.1%の超高級小豆を使用した出雲ぜんざいみつ豆を7月25日よりMakuakeで先行販売開始
@Press / 2024年7月25日 12時0分
-
「教わった技能や技術を忠実に守り、伝統を継承していきたい」 たたら製鉄の総責任者「村下」の後継者に島根県奥出雲町の男性が委嘱 6月に亡くなった前「村下」・木原明さんの弟子
日本海テレビ / 2024年7月19日 19時10分
-
「葉っぱ」を使った独特な手法で注目! 切り絵アーティストが地元工芸とコラボ 鳥取県鳥取市・ あおや和紙工房
日本海テレビ / 2024年7月19日 18時59分
-
赤松も夏仕様で少しでも涼しく 足立美術館で夏の風物詩となっている赤松の剪定開始 島根県安来市
日本海テレビ / 2024年7月18日 19時42分
ランキング
-
1恋人としては良いけど… 男性が「結婚をためらう女性」の特徴とは
ananweb / 2024年7月27日 20時15分
-
2年金15万円・81歳の母だったが、55歳長男が「私の老後は絶望的です」と悲観する「親の老人ホーム請求額」に驚愕
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月28日 10時15分
-
3女性から自然と「好かれる/嫌われる男性」に共通している“6つの特徴”
日刊SPA! / 2024年7月28日 8時52分
-
4これは今すぐ試したい!岡山県が提唱する、驚くほど簡単で綺麗な桃の切り方とは。≪実際にやってみた≫
東京バーゲンマニア / 2024年7月27日 19時9分
-
5出会った男性は100人以上…「婚活中毒」な35歳女性。目当ての男性から避けられる“残念な理由”は
女子SPA! / 2024年7月27日 15時47分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)