ジェームズ・ボンドと「共演」した エリザベス女王の「すごさ」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年9月11日 11時35分
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が9月9日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。9月8日に逝去したエリザベス女王について解説した。
エリザベス女王が即位されたのは1952年 ~果たした役割は大きい
宮家)昨日(9月8日)の夜の段階で医師団が懸念を表明し、関係者がみんな静養地まで行ったということですから、「もしかしたら」とは思っていましたけれど。イギリスの王様・女王様、1人ひとりがイギリスのその時代を示していると思います。そして彼女の場合は、1952年2月6日に即位され、1953年にウェストミンスター寺院で戴冠式が行われました。1953年というと、私が生まれた年です。振り返ってみれば、彼女が生まれたのは1926年ですから、あの時代はそろそろ大英帝国が傾き始めたころです。
新行)即位されたころは。
宮家)彼女が女王になってから、徐々に世界的な地位はイギリスからアメリカに移っていきました。現代のイギリスには昔のような栄光はないけれど、「さすがイギリス」というような国を代表してきたという意味では、彼女の果たした役割はとても大きいと思います。もし違う人だったら、世界でこれほどイギリスに対する尊敬の気持ちはなかったと思います。
新行)そうですね。
宮家)イギリスの女王は、いい意味で君主としての威厳を持ちながら、決して国民から遊離していません。媚びを売るわけではないのですが、イギリス人の感性にぴったりで、ジェームズ・ボンドと一緒に動くというような発想は、日本では考えられません。そこが彼女のすごいところだと思います。
イギリスにエリザベス女王の時代は返ってこない
新行)(番組をお聴きの方からいただいた)メールをご紹介します。「エリザベス女王の在位年数は70年間ですか。哀悼の意を表します。イギリスは民族的な事件があったりと、複雑な環境ですよね。激動の時代を生きてこられたのだと思います。これからイギリス王室も変わっていくのでしょうね」といただきました。
宮家)そうですね。変わっていくと思いますし、先程も申し上げた通り、イギリス最後の栄光の時代を担った女王です。その次がいいとか悪いというわけではありませんが、彼女に比べたら、チャールズさんはどうなのだろうと。フレッシュかと聞かれたら、それはフレッシュではありませんよね。
新行)チャールズ新国王は。
宮家)その意味で彼の即位はイギリスの役割、イメージが変わっていくことを象徴する即位だと感じます。イギリスにエリザベス女王の時代はもう帰ってこないのだなと。そういう意味でも感慨深いものがあります。
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