ドイツ空軍が24時間以内に戦闘機をアジア太平洋地域へ移動させる訓練を行った理由
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年9月14日 17時35分
![ドイツ空軍が24時間以内に戦闘機をアジア太平洋地域へ移動させる訓練を行った理由](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_386652_0-small.jpg)
日本など各国国旗が塗装された独空軍の戦闘機「ユーロファイター」[独空軍提供]
慶應義塾大学総合政策学部准教授の鶴岡路人が9月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ドイツ空軍による展開訓練「ラピッド・パシフィック2022」について解説した。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2022/09/jpp042644249RS.jpg)
日本など各国国旗が塗装された独空軍の戦闘機「ユーロファイター」[独空軍提供]=2022年8月4日 写真提供:時事通信
ラピッド・パシフィック2022
ドイツ空軍は8月、24時間で戦闘機をドイツ本国からアジア太平洋地域へ移動させるという「ラピッド・パシフィック2022」と名付けた展開訓練を行った。インド太平洋地域へ派遣したユーロファイター戦闘機を含む総勢13機の編隊は、無事シンガポールに24時間以内に到着した。その後、部隊はオーストラリアまで行き、多国籍空軍演習「ピッチ・ブラック2022」に参加。9月12日からは多国籍海軍演習「カカドゥ2022」に参加している。
飯田)資料を見ると飛び続けています。途中、空中給油を11回行ったそうで、すごいことをしますね。
二手に分かれ、1機を除き24時間以内に無事シンガポールに到着
鶴岡)24時間で着かなければならなかったので、着陸も1回しています。ユーロファイター「タイフーン」の戦闘機が6機です。実はトラブルで1機の到着が遅れたのですが、二手に分かれて、最初の部隊が24時間以内に着いたということが重要だったのだと思います。もちろん計画通りに全部の機体が24時間以内に着ければ、もっとよかったのですが、機体トラブルにも柔軟に対応できたということで、訓練の効果としては高かったのではないでしょうか。
飯田)有事の際に即応展開するのは大事なことですが、ドイツがアジアを視野に入れながら訓練したという。
フランスも南太平洋へのラファール戦闘機の展開訓練に本腰を入れている ~台湾有事などが起きた場合、船では数週間かかるので空軍の機動力が重要
鶴岡)昨年(2021年)はドイツのフリゲート艦「バイエルン」が日本に来ましたし、イギリスの空母打撃群「クイーン・エリザベス」も来ました。いままではヨーロッパ軍がインド太平洋に来る場合、海軍が主体でした。しかし、ここにきて空軍もということです。実は新しい試みではなく、フランスでは南太平洋へのラファール戦闘機の展開訓練に相当、本腰を入れて取り組んでいるのです。
飯田)南太平洋にもニューカレドニアなど、海外領土がありますね。
鶴岡)有事が発生したときは船が来るのを待てないのですよ。
飯田)なるほど。
鶴岡)船をヨーロッパから出すと数週間かかりますので、その間に軍事的なアセットを出すというときは、やはり空軍の機動力が重要です。フランスの場合は、南太平洋に海外領土があります。台湾有事や南シナ海で何かがあったときに、フランスからすれば南太平洋に波及する可能性がある。そのときに艦艇は常にいるけれど、飛行機も展開するということは十分考えられると思います。
オーストラリア主催の空軍演習「ピッチ・ブラック」 ~世界最大の訓練空域があるオーストラリアでの演習は重要
飯田)今回、ただ来るだけでなく、その後の演習にも参加しているということですが、この演習の意味はいかがですか?
鶴岡)「ピッチ・ブラック」という演習は、オーストラリアが主催して定期的に行っている空軍演習です。オーストラリア北部にあるダーウィン基地を使うのですが、そこには世界最大の訓練空域があります。アメリカなどにも大きな訓練空域はあるのですが、オーストラリアの訓練空域は日本からすると重要です。日本の訓練空域の広さは限定されているので、できることにも限界があります。今回、日本は初めてピッチ・ブラックに参加しています。
飯田)日本も参加しているのですね。
鶴岡)ドイツ・日本・韓国が初参加です。今回は17ヵ国が参加していて、オーストラリアやニュージーランドは当たり前ですが、ヨーロッパからはイギリスとフランスも参加しています。
参加国は17ヵ国だが、国によって訓練の度合いには濃淡がかなりある
鶴岡)真剣に訓練していますが、17ヵ国が集まるので、国によってかなり濃淡があると思います。どういうアセットを持ってくるかということもありますし、相互運用性(インターオペラビリティ)の問題もあるので、できる国同士はかなり高度な訓練を行いますが、そうではない国は見学するような感じでしょう。
飯田)オブザーバーのような感じで参加する国もある。
鶴岡)レベルは国によってかなり違いますが、総体として多国間の訓練を行っているのです。
日本はF2戦闘機を6機出して総勢150人での参加
飯田)日本の濃淡はいかがですか?
鶴岡)微妙なところです。日本はF2戦闘機を6機出し、総勢150人が参加するということなので、参加の度合いとしては高いです。防衛省・航空自衛隊のリリースを見ると、「目的は防空戦闘訓練と戦術攻撃訓練」と書いてあります。拡大解釈すれば、かなり高度なことも行っているのだろうと思います。
飯田)高度な訓練を。
鶴岡)微妙なのは、アメリカとオーストラリアとの間では、相互運用性の向上を目的として挙げていますが、他の国とは「相互理解の深化」と一気にレベルが下がるのです。ですから、17ヵ国との多国間訓練に参加しつつ、アメリカとオーストラリアとは高度な訓練を行って、他の国とは「そうではない」ということを示しているのか、どうなのか。その辺りは実際の訓練の中身を見ないとわかりません。
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