「心臓マッサージは強く速く、全力で」ーー救急医が教えるイザという時の応急処置
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年10月10日 12時0分
10月5日(水)、全国で最も救急車搬送を受け入れている湘南鎌倉総合病院の救急総合診療科部長・関根一朗先生が、ジャーナリストの笹井恵里子がパーソナリティを務めるラジオ番組「ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」(ニッポン放送・毎週水曜21時~21時20分)にゲスト出演。「目の前で人が倒れたときに、あなたができること」をテーマに、“居合わせた人”が心臓マッサージをする重要性、心臓マッサージのやり方について解説した。
意識なし、呼吸なし、頸動脈で脈がふれない「心肺停止時」は、1分経過するとともに救命率がみるみる低下する。心肺停止後3分で死亡率50%といわれるが、119番に連絡してから救急車が現場に到着するまでにかかる時間は全国平均でおよそ9分。その間、居合わせた人が心臓マッサージを行えるかによって、傷病者の生存率が変わってくるという。
■居合わせた人が心臓マッサージをする重要性
関根先生:心臓マッサージは医療従事者だけでなく、一般の人にもやれるようになってほしいと、強く思っています。
笹井:はい。
関根先生:病院の外で心肺停止になった人の救命率、“命が復活するかどうか”はその場に居合わせた人が心臓マッサージをやったかどうかで、生き返る率が大きく違うんです。
笹井:ただ、傷病者が女性だったりすると躊躇する人も多いし、私も以前に心臓マッサージの訓練を受けましたが、10年以上前なので、『やっても大丈夫かな?』と不安になります。
関根先生:結論から言うと、やっていいです。どんな場合も、『やった方がいいかな?』と思ったらやる。
笹井:はい。
関根先生:心臓が止まっているかは分からないことが多いので、「やってみる」というのが大事です。やってみて、本人が「痛い、やめて!」と嫌がる素振りがあれば、やめればいいんです。
笹井:確かに、そうですね。
関根先生:逆に、躊躇してやらないのは、科学データからも「命が復活する可能性は下がる」と言われているので、「迷ったらやってみる」。これが大事です。
■心臓マッサージのやり方
関根先生:1分間に100回ちょっとのペースでやる……などいろいろな目安はありますが、いざという場合、一般の方が冷静に数字を思い出すのは難しいので、「胸の真ん中を、全力で強く速く押す」と、シンプルに覚えていただければなと。
笹井:分かりやすいですね。
関根先生:“胸の中心”とは、「胸骨」という乳首と乳首の間にある骨があるので、そこに自分の手の平の付け根の辺りにある「母指球」を当ててやる。基本的には、体重を乗せて全力で押す、これで大丈夫です。
笹井:はい。
関根先生:一般的には、全力で心臓マッサージをして、やっと5センチ沈み込むくらいなので。
笹井:ああ、そうなんですね。
関根先生:難しく考えず、胸の真ん中にある骨を、自分の手の付け根で強く速く全力で押す。これくらいシンプルに覚えておいた方が、いざという時にアクションできるかなと思います。
科学データでも、「手が疲れてきた時にはすでに有効な心臓マッサージはできていない」と言われているので、疲れを感じる前に、1分とか2分とか短いスパンで周りの人と交代し、継続してやるのがいいです。決してやめない。これは例外なく、絶え間なく続けることが大事です。
笹井:以前、私が関根先生に取材で伺った時も、「心臓マッサージは10秒以上中断すると、予後が悪くなってしまう。心臓マッサージは、救急隊員にバトンタッチするその瞬間まで続けてほしい」と言われていました。
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